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勢いだけでとりあえず開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。DDFF及びFF6にて魔導の少女を溺愛する駄文を羅列いたします。
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2024/04/20 (Sat) 18:00
Posted by シスターM
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こんばんは、管理人です。
珍しくまともに1×6っぽい感じの話になったぞ、と思います。
…イヤ、大いに物足りないとは思うのですが、管理人にはこれが精一杯でございますのでご容赦を…。
一応ホワイトデーを意識してみました。

きっと、何かが残るよね、と。
貴女は言った。

 

『メモリィ』

 

先月ティナから貰った菓子に対して、お礼の品を贈る日があるそうで。
懇切丁寧に説明してくれた仲間に感謝し、思案する。
されど、全く妙案が浮かばずに、顎に手をあて首を傾げた。
(……弱ったな)
記憶喪失とかそういった問題ではなく、自分は元来このような事は苦手だったのではあるまいか。
腕には少々覚えがあっても、とんだ唐変木である。
「………さて、どうしたものか」
「あれ、どうしましたウォーリア?悩み事?」
腕組みをして呟いたところに丁度やって来て、声をかけてきたのは、仲間のひとり。
「セシル。私に何か用か」
「いいえ?あなたの声がしたので、来てみただけですよ」
聖騎士の称号を持つ美丈夫・セシルが、私へにっこりと笑いかけた。

「……と、いう訳だ」
「成程。状況は理解できました」
私の話をひととおり聞き終えてから、セシルはうん、と頷く。
中性的な美貌と柔和な印象の彼を見ていると、とても一国の政(まつりごと)を預かる者とは思えない。
それでも、強い意思を宿す瞳と、人の心を解し和を作り出すような空気を持っている、彼。
上に立つ者が持つべき人望は、恐らくカオス側の暴君とは大違いだと思う。
いや、あれと比較対照する事が既に、セシルにとって失礼だろう、と凡そ無関係な思索に耽っていると。
「ウォーリア、何か思いつきましたか?」
唐突に尋ねられ、内心焦りを覚えた。
されど案など全く浮かばないので、正直にそう告げると、彼は苦笑いをひとつ見せて。
「ではウォーリア。これは僕からの提案というか、参考意見として聞いて下さいね」
案をひとつ、授けてくれた。

 


(結局、セシルの提案に完全に乗ってしまったな)
内心申し訳ないな、と思いつつティナの姿を探す。
するとちょうど良い間合いに、少女の華奢な後姿を発見できた。
「ティナ」
声をかけると、彼女はゆっくりと振り返り、小首を傾げた。
年齢の割に幼いようなその仕草も、彼女であればさほど気にならないのが、不思議である。
「ウォーリア。あの、何か?」
「ああ、早急にではないのだが、少し時間を貰えるだろうか?」
「後からの方がいいのかしら?私、今でも大丈夫だけれど」
私へ気を遣ったのだろう、ティナは共に談笑していたオニオンナイトに目配せし、微笑みかけてきた。
「では、今にしようか。すまないが、ついて来てもらえないか」
「ええ」
こうして、私はティナを伴い、秩序の聖域内を歩き始めた。

隣を歩くと、ティナの気配がいつもより強く感じられる。
その気配はいつもどこか不安定で、気遣いたくなるような脆さすら覚える。
剣技や体力では他の仲間に劣るものの、決して足手纏いではなく、むしろ我が方では貴重な魔導の力を操る者。
己の力を誇示する必要はないが、もう少し自信を持っても良いのではないか、と思う。
さりとて、その勇気を持つには己を変える必要が生じるが。
「あの、ウォーリア。どこまで、歩くの」
「もうすぐだ。疲れてはいないか」
「ええ、平気」
そこでやっと気付いたのは、少女がやや息を切らし気味である事。
私の歩調に合わせていたがために、ティナを疲れさせてしまっては申し訳ない。
意識して歩幅を刻み、ティナがついて来やすいようにした。
「……ありがとう、ウォーリア」
「何がだ」
「歩幅、合わせてくれて。人が気を遣ってくれるのは、嬉しい気持ちになれるのね」
ティナはそう話し、微笑する。
その笑みは、コスモスの如き慈愛に溢れたものとは違う、幼女が持つような純粋な感情。
殺伐とした戦場の中でも咲こうとする、野の花の蕾にも似た生命の息吹。
安堵と癒しと希望を感じる、温かな、輝き。

「───着いたぞ」
「まあ!」
ティナの声が弾んだ事を感じ、心が温かくなるのを自覚した。
目の前に広がるのは、私には名もわからぬ花々がひっそりと咲く、花畑。
穏やかな日差しを浴びて、花々が輝くように鮮やかに色を見せる。
きっと彼女なら綺麗なものを好みますから、連れて行って上げて下さいね、と助言をくれたセシルに感謝する。
確かに隣で、少女は目を細めていた。
「綺麗ね。とても嬉しいわ、ありがとう、ウォーリア。でも、どうして?」
どうして連れて来てくれたのか、と最もな疑問を口にした少女に、私は戸惑う。
はて、このような際にどんな表情で話せば良いものだろうか。
記憶が皆無である分、蓄積された経験が皆無だという事が、これ程日常において不便であろうとは。
されど、期待感を秘めた表情で見つめられては答えないわけにも行かず。
私はセシルから教授された単語を、かろうじて思い出し、そのまま口にした。
「ちょっと早いが、ホワイトデーのお返し代わり、という事だ」
「え?」
「私には皆のように、君が喜ぶものを贈るなどできない。だから、これで勘弁してもらいたいのだ」
素直に告白し、頭を下げると、しばし沈黙が流れて。
それから、私の胸にどん!とぶつかって来る圧力。

顔を上げると、ティナが私に抱きついてきていた。
「ティナ?」
突然の少女の行動に動揺しつつも、半ば無意識に頭を撫でると、彼女が顔を上げた。
その表情は、かつて見たことがない程に輝く笑顔で。
「ありがとう、ウォーリア!」
「ティナ」
「とても嬉しいの。私、この世界でこんなに綺麗な花畑を見たの、初めて。ありがとう!」
こんなに素敵なものを見せてもらえるなら、最高のプレゼントだわ。
ティナは弾むような声で繰り返し、花畑を見つめていた。


   *


こんなに綺麗な花畑を見た事は、きっと私の心に残る。
元の世界に帰っても、必ず。

そう語って、少女は、笑っていた。

今も忘れぬ、過ぎ去りし日の中。
あの日の花畑のように、鮮やかな、ひと時。

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HN:
シスターM
性別:
女性
自己紹介:
とうとう40代になった専業主婦。
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。
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