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勢いだけでとりあえず開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。DDFF及びFF6にて魔導の少女を溺愛する駄文を羅列いたします。
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2024/04/24 (Wed) 21:51
Posted by シスターM
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ようやく7の人に辿り着けたホワイトデー創作です。
・・・管理人の贔屓炸裂です、本当に申し訳ないです。でもどうしてもこうなりました(涙)
毎度ながらの捏造設定の嵐ですが、ご容赦を。

ちなみにアーモンドを選んだのは、ティナの誕生日の花という説があったりするので。

それはさながら、貴女のようだと。
柄にもなく思ったことに、苦笑いしたのは。
もう、随分と前で。

 

 『アーモンドブルーム』

 

(……ん?)
スラム街を抜けて、いくらも走らない場所に、その木が佇んでいた。
近付いてみると、所々に蕾が膨らんできていて、既に色づいてきているものがあって。
(これは……)
桜にも似た、可憐な色に思い出したのは、儚げな笑顔の少女。
少女のような純粋な魂を、強い力の内に秘めて、儚げに笑う少女。
光の加減で夢幻のように色合いを変える髪に、残雪のような白い肌に、魅せられて。
衝動に身を任せてしまいたくなった事も、一度ではなく。
その度に、無垢な瞳に諌められた。
どんな運命の徒か、少女は自分を慕ってくれて。
体中を駆け巡る歓喜のままに、抱き締めた感触は、今もこの手が知っている。

少女に花を見せたのは、かつての戦場で迎えた日。
『特別』な親愛の情を示してくれた、可憐な姿に報いるものを探していた、あの日。
たまたま目に留めた花の蕾が気になって、彼女を伴って向かった。
「どんなお花が咲くのかしら」
彼女は子供のように歓声を上げ、好奇心旺盛な輝く瞳で木を見つめていた。
「俺にはわからんが、恐らくピンク色だろうな。ほら、見てみろ」
俺が示した色づく蕾をじっと見つめ、納得したように頷く。
「本当だわ。ありがとう、クラウド」
「……別に」
ぶっきら棒に答えた俺にも、彼女は嬉しそうに微笑んで。
「とても楽しみだわ。この花が咲く頃、また見られるといいわね」
心からそう思っているのだろう、歌うように語る少女に。
「……ああ、そうだな」
珍しく俺も、微笑しつつ答えていたのは、間違いない。
後に咲いた花を見て、他の仲間たちと歓声を上げていたのも、懐かしい記憶。
花に詳しい男が言っていた、花の言葉は、希望。
まるで、最後まで逃げずに運命と戦い抜いた、少女のようだと思った。

今はもう逢えない、心まで交し合った、ただ一人の相手。
「………」
唇だけで呼ぶ名に対して、答える者はいない。
目を閉じて記憶に面影を辿り、ぎゅっと手を握り締める。
夢であっても、逢えたなら。
──二度と、離しはしないのに。

 


日を置いてから、また来てみると、明らかな変化。
(咲いたのか……)
満開の花が咲き乱れ、風に乗って甘い香りを周囲に漂わせる様子は、目にも美しく鮮やかで。
きっと彼女がこれを見れば、子供のように純粋に感激するのだろうと思う。
目を閉じて思い出す、たったひとりの面影。
(……ティナ)
あんたに逢いたくて、仕方ない。
あんたがいない世界というものが、こんなに無味乾燥なものだとは、知らなかった。
あんたがいないこの場所に、もう俺は、いたくない。

逢いたい。

 


『クラウド』

「!」
幻聴かもしれなかったけれど、確かに、今の声は。
辺りを見回しても、何もないのに。

『クラウド……。あなたに、逢いたい……』

風に乗せて届く声は、記憶の中で少女の唇から紡がれたものと一緒で。
視線が止まった先には、あの木。
ちょうどその時ふわりと一片、淡い色の花弁が、舞った。
それはまるで、彼女が涙を流すようで。

「ティナ……。俺も、逢いたい……」

思いきって、言葉にしたとき。
風が急に渦を巻いて、自分の周りを取り巻いた。
「!」
あまりの突風に、両腕で顔を覆って、目を閉じた。

 


「………………え?」

目を開けた視界には、先程の木。
そして、人影。
こちらを見て目を丸くし、一言発したまま、言葉を失っている様は。
「!?」
風に靡く髪も、細い肩も、宝玉の如き瞳も。
全て、記憶そのままの形で。

お互いに、これは夢かと疑ったとき、一陣の風。
「きゃあ!」
「ティナ!」
咄嗟に身体が動いて、突風から少女を守るために、抱き締める。
ああ、その感触も、あの時と同じ。
「………そんな」
腕の中の少女が、震えながら顔を上げ、瞳と瞳がぶつかり合う。
お互いに目を見開き、無意識に相手にしがみ付いて、ぬくもりを確かめて。

「クラウド?本当に、クラウドなの?」
「ティナ、あんたこそ、本当にティナなのか?」
同時に口にした互いの名に、その声に、確信。
そして。
「夢じゃ、ないんだな?あんた、本当に」
「ええ、あなたも本当に……本当にクラウドなのね」
「ティナ……逢いたかった」
「わ、たしも……っ、クラウドっ!」
震える腕で、しがみつく力を強めたティナを、再びしっかりと抱き締める。

もう二度と、絶対に離さない。


   *


持ち続けた想いと、抱き続けた願い。
たったひとつの、希望。

『あなたと共にいたい。』

叶える花は、希望の花。

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シスターM
性別:
女性
自己紹介:
とうとう40代になった専業主婦。
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。
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