◆２４ 未だに根を張る青い山脈

新年度も始まって既に桜前線も東北へ到着ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
積雪未だに５０㎝を記録している北の地から、管理人ですこんにちは。
超だらだら運営サイトとなっておりますが、ご訪問して下さるお客様、いつもありがとうございます。
拍手コメントまでいただけて、本当に管理人は幸せ者でございますね…！
せめてもっと精進せねば。

で、超久々に空飛ぶ青い何か。様から拝借した「空と青で33のお題」を更新。
素敵お題をなぜこんな曖昧な小噺へしてしまったのか…今日がアースデーと知ったのが一因です。
地球の環境について考えるための日、なんですけれど。
アースから大地へ、大地っつったら崩壊後の世界を思うティナでしょう！となってしまった残念な思考回路の持ち主がおりましたよ、ここに。
で、相手特定させてはおりませんが、まあ男性ですね。
口調がアレなんで、限定されるとは思いますが、ご容赦願います。

２４　未だに根を張る青い山脈

緩やかに、終わろうとする世界。
それでもあの場所は、守りたくて。

 

　　　＊

 

飛空艇の甲板で、目を閉じて感じる。

生命の息吹を感じさせない、乾いた風。
どこまでも荒涼とした空気の、静寂なる大地。
死んでいく世界を、包むのは黄昏。

それでもまだ、人は希望を抱き。
心の中に残るかつての麗しい世界を、願う。
青空と太陽が輝く草原を、青く連なる山々を、心に夢見て生きている。

はるか彼方にそびえ立つ、瓦礫の塔を見据える。
思い出すのは、強過ぎる力をその身に受け、心を壊された哀れな人。
どこまでも歪んだ、破壊への憧憬で瞳を輝かせて踊る、悲しい道化。

（きっと、止めて見せるから）

悲しい男の哄笑が、一瞬だけ聞こえた気がした。

 

「何を見てるんだ？」
舵を取る仲間が、尋ねてきたから。
「塔を見てるわ」
静かに答え、指を指す。

「……あそこに、アイツがいるんだな」
「ええ」
「なあ、ティナ。俺たちは、勝てると思うか？」

え、と思わず声を上げそうになる。
いつも仲間を鼓舞するような、強い目をした人が。
不安げに揺らす瞳に、私を映して。
切羽詰まった表情と声とが、彼の迷い。

私の心は、決まっていたから。
「決めているの」
素直に思ったままを、口にする。

「この戦いを必ず終わらせるって。みんなの未来を、守るって」
「未来……」
「ええ」
彼の声に私は頷き、繰り返した。

「必ずこの戦いを、終わらせる」

 

　　　＊

 

私は、勝ちたいわけではない。
終わらせたいから、戦うだけ。
世界の滅びを、止めたいだけ。

心の中の山脈を、再び取り戻すため。