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勢いだけでとりあえず開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。DDFF及びFF6にて魔導の少女を溺愛する駄文を羅列いたします。
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2024/04/27 (Sat) 11:33
Posted by シスターM
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ジャンル追加ということで、さっそくFF6的創作をアップさせていただきます。
実は過去作品のサルベージ(爆)

この拙い作品が、冒険家×少女の創作第一号でございまして…(照)
多少改行等も修正しておりますが、ほぼ当初アップ時のままです。
実際のところ、これが一番出来が良かったように感じております。
文章力に全く成長の跡が見られない、駄目人間だとお笑い下さい。

「……いよいよ、か」

フィガロ城の屋上で。
俺はひとり、夜空を見上げながら呟いた。



3日後、俺たちは、最後の決戦に赴くことになっていた。
戦勝祈願のためとの名目で、今夜はここで、エドガーが主催したささやかな宴が催されている。
広間で仲間たちが、ひとときの歓談に心を和ませている中、面倒が嫌いな俺は、とっとと抜け出した。
見張り台から離れた一角で、窮屈な衣装を着崩して、やっと人心地つく。
「早く終わらねぇかな……」
溜息混じりに、呟くと。

「……ロック?」
俺の名を呼ぶ、聞き慣れた声。
月明かりでも鮮明に浮かび上がる、白い肌に、端整な顔立ち。
翡翠色の髪は、影を帯びて濡れたような艶を見せて。
「ティナ。どうしたんだ?」
問いかけると、彼女は少し微笑んで、俺に告げた。
「空を、見に来たの」
そしてそのまま、俺の隣に腰を下ろした。

そっと横目で、盗み見る。
いつもの戦闘服を脱ぎ、淡い薔薇色のドレス姿。
碧の髪が結い上げられ、軽く化粧まで施されて、彼女の魅力がより際立っている。
鼓動の高鳴りと、顔が紅くなるのを自覚する。


 


互いに無言のまま、時が流れる。
沈黙を破るのは、俺。
「ティナ、その服似合うな」
「そう……?ありがとう」
ティナは、ふわりと微笑んだ。
笑顔がこんなに自然に出るようになったのは、最近のこと。
「ロックも、似合ってるわ、それ」
「そうか?でも俺、嫌なんだよな、こんなの窮屈でさ。ティナは?」
俺が答えると、ティナは首を傾げた。続けて、そっと横に振る。
「……。わからないわ、初めてだから」
ゆっくりと言葉を選ぶ。

その態度で、思い出した。
帝国兵、いや兵器として扱われていた頃は、人としてまともに扱われることなど一度もなかった、と。
増してや盛装なんて、有り得るはずもない。
以前、セリスから聞いていたのに。
「そっか、悪い」
「いいえ。でも、綺麗よ、この服。嫌いじゃないの」
ティナはそう答えると、また空を見上げた。
「綺麗だね、空……静かで」
「ああ、そうだな」

ティナは夜の闇の中、いつもより儚げに見えた。
幻のように。
俺は一瞬、彼女が消えてしまいそうな錯覚に襲われる。
「ティ…」
思わず声をかけようとしたとき。
「ロック、あのね。わたし、幸せだったと思ってるの」
ティナが空を見つめたまま、語り始めた。
「え?」
俺は聞き返す。
「帝国から逃げ出して、皆と出会って。
 世界が悲しいことになったけど、わたしはとっても幸せだったんだ、って思う」
ひとこと、ひとこと。噛み締めるように。ティナは言葉を紡ぎ出す。
「可哀想、だよね。ケフカ……」

あまりに意外な彼女の言葉に、俺は呆れる。
「ティナ?どうしてあんなヤツが可哀想なんだ」
多少声を荒げてしまったが、ティナは気に留めることなく話を続ける。
「ケフカは、初期の魔導実験体なの。セリスの前の。
 生まれつき力を持っているわたしと違って、あの人は強い力を注入され過ぎて、
 心が壊れてしまったって……前、誰かが教えてくれた」
「……」
俺は黙って、話を聞く。
「私は心を凍らされたけど、皆のおかげで取り戻せた。
 でも、ケフカは最初から壊れてしまった。治してくれる人も、いなかった。
 わたしも……もしかしたら、同じ道を歩いていたかもしれないの」
そう言って、彼女は溜息をついた。
「だからって、ケフカのやってきたことが許されるはずはないだろ?」
俺が尋ねると、ティナはこくり、と頷いた。
「もう彼は、止められない。力の源を、倒さないと」
そう答えて、一度目を閉じ。少し経って、目を開ける。

「どんなことがあっても、ケフカを止める……」


 


彼女の言葉の裏には、とても深いものがあった。
でもそのときの俺には、全くわからず。
「そうだな、絶対にヤツを倒さないとな。三闘神を倒して」
空を見上げたまま、答えていた。

すると、ティナの返事はなく。
また、そっと盗み見ると。
切ないような、悲しいような。
辛さがにじみ出る顔だった。
「どうしたんだ?」
ティナが心配になり、声をかけると。
彼女ははっとして、次に微笑んだ。
何故か、淋しそうな微笑み。
「なんでもないわ。ね、ロック……お願いがあるの」
そう言うと、俺の肩にそっともたれかかる。
「少しだけ、こうさせて」

華奢な体の柔らかい感触が、俺を無意識に惑わせて。
俺は、ティナの体を引き寄せて、自分の腕に閉じ込めた。
「ロック……?」
怪訝そうなティナの声。
「風邪引くといけないからな。このほうが、暖かいだろ」 
「……ええ。ありがとう……」
消え入りそうな、細い声。
柔らかな重みと香水の香りが、俺の体に染み込んできて。
俺は、彼女を抱く腕に力を込めた。

あのとき、ティナはきっと泣きたかったんだろう。
俺の服を小さな手できゅっと掴み、肩が小刻みに震えていた。
愛おしさが、俺の中に溢れて。
俺は、そっと手を添えて、彼女の顔を上げさせた。
翡翠の瞳に、真珠の涙。
一粒だけ、流れ落ち。
手で涙を拭ってやると、唇が微かに動いた。
(ありがとう)
声にならない言葉が届く。
何かを隠す、ティナが辛そうで。
悲しみが、溢れ出そうで。
少しでも、掬い取ってやれたら。

そっと顔を近づける。彼女が瞼を閉じる。
柔らかな、唇の感触。ほんのりと、温かく。
そのまま、俺たちは動かなかった。

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プロフィール
HN:
シスターM
性別:
女性
自己紹介:
とうとう40代になった専業主婦。
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。
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