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勢いだけでとりあえず開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。DDFF及びFF6にて魔導の少女を溺愛する駄文を羅列いたします。
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2024/04/25 (Thu) 13:07
Posted by シスターM
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過去作品連続サルベージです、すみません。
所謂病気ネタ。定番です。

昨日から、頭が痛い。
でも、戦えないぐらいひどくはなかったから、予定どおり出発した。


「ふぅ、そろそろ街に着くな」
エドガーが戦闘での服の乱れを直しながら息を吐く。
 「そうだな、今日はもう休んだほうがいい。な、ティナ」
ロックが私に振り向く。私は無言で頷き、歩こうとした。
でも、そのとき……体がぐらりと揺れた。
 「───ティナ!?」

誰かの、声……。
でも、もう、答えることも、でき、な、い……。


目覚めると、ベッドの上だった。
真っ白なシーツと、暖かな毛布。
どこかの宿屋か、とぼんやりと思う。
「気がついた?」
ベッドの脇で、セリスが私を見下ろしていた。
「……セリス。私……?」
「大丈夫、熱を出しただけ」
彼女はゆっくりと、話してくれた。
「慌ててロックがあなたを抱きかかえて、お医者さんに直行したら、『こんな状態の人を  連れて旅に出るなんて!』って、叱られちゃったわ、彼」
そう言って、くすっと笑う。

「……ごめんなさい」
私が謝ると、セリスは笑顔のまま首を振った。
「謝るなら、ロックにしてあげて、しょげてたからね。それにティナ、私たちもあなたの不調に全く気づけなかったなんて……。本当に、ごめんなさい」
そう言うと、すっと椅子から立ち上がる。
「軽い食事ぐらい、しておいたほうがいいわよ?今、持ってくるから」
「うん。ありがとう」
ぱたん、と扉が閉まる音がして。
セリスの軽やかな足音が、次第に遠ざかっていった。

(ロックに、悪いことしちゃったんだ)
ぼんやりした頭で、ふっと考える。
 (後で、謝らないと……)
その時、コンコン、と躊躇いがちなノックの音。
「どうぞ」
声をかけると、ロックがすっと入ってきて。
ベッド脇の椅子に、ゆっくり腰掛ける。
「……気分、どうだ?」
何となく、沈みがちの声。
「うん、もう平気。ごめんなさい。私のせいで、迷惑かけて」
先程考えていた言葉を、口にした。

すると、ロックは意外そのものといった表情で、目を見開いた。
「迷惑なんかじゃないさ!仲間なんだぞ、そんなのは気にするなよ、ティナ」
「でも、お医者さんに怒られたって。あなたがしょげてたって、セリスが」
私が言うと、ロックは一瞬考え込んで、それから微かに頷いた。
「ああ、あれな。でもそれ、ちょっと違うぜ、ティナ」
彼はそう言うと、不意に私の頬に触れた。
大きな掌と、温かい感触。
「?」
私の頭に浮かんだ疑問符を、彼はちゃんと察したらしい。
「俺が落ち込んだってのはさ、君の体調に気づいてやれなかった、ってこと」
私の頬に手を当てたまま、彼は続ける。
「あの時ちゃんと『俺が守る』って言ったのにな。……情けないよ、全く」
「ロック……」
「ごめんな。ティナ」
彼はそう言って、寂しげに微笑んだ。


       

ロックの笑顔、いつもお日様みたいで、大好きなのに。
今は、泣きそうな顔。悲しいのを隠してるみたいな。
こんな表情を作らせたのは……私?
 「!?お、おいティ、ティナ?ど、どうしたの?どこか痛むのか?」
ロックの慌てた声がして。
私の顔をじっと覗きこんで、両手で頬を拭う。
それで初めて、自分が涙を流していた事を、自覚する。
「……痛いんじゃないの」
私は自分の手を伸ばし、そっとロックの頬に触れた。
「悲しいの。ロックの笑顔、曇らせちゃって。私が……私のせい、だから」
「ティナ」
「ロック、ごめんなさい」 
私が謝ると、ロックは優しい笑顔になって、また首をそっと横に振った。
さっきとは違う、暖かい笑顔で。

「ありがとな、ティナ」
そう言って、ロックは私の頭をそっと撫でた。
「さて、と。腹減ってるだろ?今メシ持ってくるから」
ロックが言ったちょうどその時、ノックの音がして。
「ティナ、入っていい?食事持ってきたわよ」
セリスの声と、扉の開く音。
「あら、ロック、いたのね。じゃ、これお願いするわ」
彼女はそう言うと、有無を言わせずロックにお盆を渡してから、私に手を振り、扉を閉めた。
ロックは苦笑いをしつつ、ベッドの隣のテーブルへ、お盆を置いて。
「セリスの奴……ま、いいか。ティナ、どうする?起きられるか?」
「ええ。大丈夫よ、一人で。ロックも、ご飯食べに行ってきたら?」
私が答えて起き上がろうとすると、ロックが慌てて私を制した。
「ほら無理をしない!……いいか?今俺のメシ持って来るから、それまで寝てな?ティナ」
「え?」
「一人で食うより、二人のほうが美味いだろ」
ロックは器用にウィンクをすると、さっと扉を開けて出て行った。



ロックと二人でご飯を食べて、薬を飲んで、ベッドに横になった。
朝ほど頭痛もしなくなって、きっと明日は大丈夫。
だから明日は、晴れるといいな。

ロックの笑顔みたいに。

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プロフィール
HN:
シスターM
性別:
女性
自己紹介:
とうとう40代になった専業主婦。
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。
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