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勢いだけでとりあえず開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。DDFF及びFF6にて魔導の少女を溺愛する駄文を羅列いたします。
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2024/03/19 (Tue) 19:08
Posted by シスターM
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こんばんは、管理人です。皆様いかがお過ごしでしょうか?
梅雨時ということで、洗濯物が乾かぬ事に溜息をついておられる方も多い頃でしょう。
しかし掃除はサボれても、洗濯ってサボれなくて困りますよねー…と主婦ネタ話してどうする(汗)

とりあえず6月ですので「雨」的な小噺をひとつ。
別の雨的小噺を「ロクティナアンソロ計画」様へ投稿させていただいてますが。
正直、かなり微妙な話になりました(汗)<いつもだろ

こんな日にも楽しい事があるのだと、知った。

 

『雨の日』

 

ブラックジャック号の、甲板の上。
「……マズイな」
舵をマッシュへ任せ、空を凝視していたセッツァーが、ぼそりと呟くのが耳に入って。
ロックは目に見えて眉を潜め、私は首を傾げた。
「どうしたんだ?セッツァー」
「雲行きがヤバいんだ。もうすぐ嵐が来るかもしれねぇ」
セッツァーは機敏な動作で伝声管まで駆け寄ると、艇内へ指示を飛ばす。
「着陸準備!」


かくして、彼の読みは当たり。
飛空艇が草原へ着陸して間もなく、空は一面灰色の雲に覆われ、窓に雨が叩きつけられ始める。
遠雷が、段々とその感覚を狭めている。
「……やっぱりな。しばらくは動かない方が良さそうだ」
船室では、世界地図と睨めっこをしながらセッツァーが渋い顔。
エドガーも頷き、優雅な仕草で溜息をひとつ。
「この雨では、外への散策にも行けないね。ロック、お前も自重してくれよ」
「へーい、へいっ。ったく、俺ってどんだけお前らに信用ねえの?」
彼が釘を刺すのに肩を竦めると、ロックはわざとおどけた声を発してから、私に向き直り。
「ティナ、ここにいても仕方ない。ちょっと、俺の暇潰しに付き合ってくれるか?」
「……ええ、わかったわ……」


ロックに先導されて連れて来られたのは、展望が開けた一室。
「ロック、何があるの?」
「んー、と……ちょい待ち」
首を傾げる私に向かって、彼は人差し指を口の前に立て『静かに』と合図。
私はそれに従って口を噤み、すると彼は周囲を見回しつつ、室内をゆっくりと移動して。
一箇所で立ち止まり、何度も何かを確認すると、笑顔で私を手招きした。
「?」
首を捻りつつも彼に近付き、隣へ立つと。
「いいか、ティナ。目を閉じて、耳を澄ましてみて」
「え、ええ」
小声で彼が囁くのに戸惑いながらも同意して、目を閉じる。
耳に神経を集中させると、やがて色々な音が飛び込んで来た。
低い唸りを上げる飛空艇のエンジン音や、部屋の外から漏れ聞こえる仲間たちの声らしき音。
でも、何より鮮明に届くのは、窓ガラスをしきりに叩く雨音で。


「聞こえるか?雨の音」
ロックがそうっと話しかけてきたのに、目を開けて頷いた。
「ええ。不思議ね……不規則な音の連続なのに、どこか心が落ち着くような響きだわ」
「だろ?俺は結構、この音好きなんだよな」
彼は悪戯が成功した子どものように、無邪気な印象を与える笑みで。
「雨音なんて、なかなか聞こうと思って聞くもんじゃないんだけどさ。でも、案外いいもんなんだよ」
そう言うと窓の外へ視線を向け、目を細める。
彼の様子は、心からこの音を楽しんでいるように見受けられて。
「本当ね。私、知らなかった」
私はそう答えると、再び目を閉じた。
耳に飛び込む不規則な旋律は、初めて聞く筈なのに、心が凪いでいくようで。
雨というものは、軍における作戦行動の中では、単なる厄介者のような扱いしか受けていないのに。
こうして、雨が降る事によってのみ聞ける音なんてものが、あったのだと。
初めて、知った事実。
「ロック」
「ん?」
私の声に反応し、こちらを向いてくれた彼に、私は伝える。
「私、本当に何も知らないのね。あなたや皆が教えてくれる、初めての事がとても新鮮」
「ティナ」
「初めての事をたくさん知る事ができるのは、とても幸せな事なのね。だって、心が弾むような感覚だもの」

 

「ありがとう、ロック」

 

    *

 

雨音は、いつも。
あの時のあなたが見せた、はにかみながらの笑顔も一緒に思いだせるから。

私は、大好き。

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◆ 雨の日
ロクティナお熱い!
私 彼等が一番好きです。
読ませて頂きましたが、面白いです。
バツティナも気になりますが、頑張って下さい。
ティファ・ロックハート 2009/06/19(Fri)06:40:13 編集
ありがとうございました!
彼らをお好きだと言って下さって、嬉しいです。
今もロクティナは管理人の中で鉄板です(断言)。
お読みいただき、ありがとうございました!
シスターM  【2009/06/19 11:56】
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シスターM
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女性
自己紹介:
とうとう40代になった専業主婦。
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。
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