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勢いだけでとりあえず開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。DDFF及びFF6にて魔導の少女を溺愛する駄文を羅列いたします。
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2024/04/26 (Fri) 22:42
Posted by シスターM
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こんばんは。実はひっそり絵チャにお伺いしてましたが、年寄りは集中力に限界があって断念。
やはりイベントは若人のものですね(オイ)
さて本日は6月7日、管理人の本命的カップリングである兵士と少女です。
扱いの贔屓っぷりは他の追随を許さない、ということで、どこぞの少女漫画にも劣らぬご都合主義展開というのはご容赦を。

本作品は現代パラレル設定です。嫌悪感を抱かれる場合は、閲覧をご遠慮願います

人気ロックバンド「J-E-N-O-V-A」。
彼らの存在ぐらいなら、私も知ってはいたけれど。


『ベーシストとわたし。』


友人のティファが熱狂的なファンという事で、無理矢理連れて来られたライブ。
焦りつつ開演を迎えた彼らのステージに、気がつけば釘付けだった。
カリスマ的な存在感のボーカリスト、セフィロス。
軽妙なトークが得意な、ギタリストのザックス。
ザックスとの掛け合いで観客席を沸かせる、パーカッションのレノ。
そして、寡黙なベーシストのクラウド。
揃いも揃った美形のバンド、しかも彼らの曲はとても綺麗で、歌も上手。
ハードな曲だけではなく、心に沁みるようなバラードまで、驚く程のレパートリー。
いつの間にか身を入れて聴き入り、アンコールまで、夢のようなひと時を過ごした。
『……ああ、本当に最高だったわぁ!じゃ、ティナ、またね』
「ええ、ティファ、おやすみなさい」
ティファと別れて帰宅した後、携帯で少しだけ話していたけれど、明日が早いという彼女は就寝。
私はヘッドフォンを耳へ装着して、さっきダウンロードしたばかりの曲を聴く。
流れるメロディーは、ライブで特に心に残ったバラードで、ベーシストのクラウドが作詞作曲したというもの。
瞳を閉じて耳を澄ますと、思い出すのは幼い日の記憶。
(……不思議ね。いつもなら、こんなに鮮明に、思い出す事ないのにね)
もう顔もほとんど思い出せないけれど、優しかった亡き母親が歌ってくれた子守唄。
病気がちで床に伏している事が多かった母の、淡い笑顔とか、白くて細い手と指とか。
驚くぐらい鮮やかに、蘇ってきた大切なものたち。
彼が持っていた言葉や音が、私にこんな素敵な贈り物をしてくれたんだ、なんて。
勝手な思い込みなのは重々承知だったけれど、心の中で感謝の言葉を繰り返した。

──ありがとう。


   *


いつものように、仕事へ行く準備は万端整って。
「お父さん、お母さん、行ってきます」
海外に単身赴任中の父と、亡き母が笑顔で並ぶ写真に挨拶して。
マンション玄関を出た時に、気付いた変化。
(……お引越し?誰かしら。やっぱりうちのお隣、だよね)
大きなトラックに、『フェンリル運送』の文字が眩しい。
そういえば、お隣の格闘家さんが先月お引越しして行ったよね、なんて思い出す。
駅から近くセキュリティも万全のうちのマンション、新たに入居する人には所謂有名人も多いけれど。
正直なところ、喧騒が苦手な自分としては普通の方がいいな、何て勝手な望みを抱きつつ出勤。
──そして夕刻、身体を引き摺るように帰宅。
(はぁ、足がパンパン)
料理教室のアシスタント業っていうのも、思った以上に立ち仕事で結構大変。
でも先生のお仕事をサポートできるのは楽しいし、何よりお料理は大好きだから、毎日充実してる。
(さてと、明日はお休みだから、今日は少しだけお料理頑張っちゃおうかな?)
撮影用の料理に使った高級食材の残り物を、多数お裾分けしてもらえたので、実はかなり気分がいい。
管理人さんに笑顔で挨拶してから、エレベーターに乗り込んで、自分の部屋の前に辿り着いた。
すると。
「あの」
「はい?……!」
小声で呼び止められて振り返った私は、目の前の光景が信じられなかった。

私の目の前にいたのは、数日前に観客席から見上げたスクリーンの中、ベースを弾き続けていた人で。
「……その、ここの部屋の人、か?」
「え、あ、はい、そうです。あの、あなたは」
頭の中では『クラウド=ストライフ』ってわかりきってるのに、口から飛び出した言葉はやけに詰まってて。
相手もどこか困ったように頭を掻きつつ、ぼそぼそと話す。
「俺はその、隣に越して来た者で。一応挨拶を、と」
「……まあ!そうですか、すみません、私ったら。あの、ティナ=ブランフォードです」
私は必死に早口で自己紹介し、ぺこりと頭を下げる。
「ティナさん、か。俺はクラウド=ストライフ。その、よろしくお願いします」
向かいの人も慌てて頭を下げたのがわかって、少しだけ緊張が解けた。
「ふふ、クラウドさん、私よりも年上でしょう?丁寧語なんていらないですよ」
「え……あんた、俺の事知ってるのか?」
私の言葉に思い当たる節があったのか、彼の態度もやや変化して、私は頷き説明する。
「友達が大ファンで、先週のライブにも一緒に伺いました。お疲れ様でした」
「そう、か。ありがとう」
すると彼の態度は更に変化し、緊張が解けたのか、微かに笑みを浮かべて。
(……わ、あ!)
ティファに何度も言われるまでもなく、綺麗な人だと認識してはいたけれど、笑顔も綺麗だと再認識。
そんな事を考えながら、彼の顔をうっかり見つめていた。
「済まなかったな、家に入るところを呼び止めて。じゃ、俺はこれで」
「あ、はい」
クラウドさんはそう告げると、エレベーターへ向かうのか、こちらに背を向けて。
私はその背中を見送っていたけれど、手にしていた食材の事を思い出し、家へ入った。
(いけない、早くお料理してあげないと!せっかくの美味しい食材、駄目にしちゃう)
頭の中ではメニューをいろいろ算段しつつ、せっかくだからワインでも空けちゃおうか、なんて考えて。
せっかくの高級食材を一人で食べるのは勿体無い、と携帯を取り出してティファへメールを送る。

……ただし。
(ティファには悪いけど、きっと大騒ぎしちゃいそうだから……ごめんね)
クラウドさんが引っ越してきたのは、内緒にして。


   *


その後、アーティストとして時間的に不規則な生活を送る彼と、私とが。
頻繁に顔を合わせる機会はそうなかったけれど、それでも会えば多少の会話は生まれるもので。
私はずっと伝えたかった言葉を、やっと言えた。
『素敵な曲を、ありがとうございました。』と。

彼は私の話を聞いて、とても穏やかに。
「そう感じてもらえたなら、俺も嬉しい。ありがとう、ティナ」
静かに呟いて、笑ってくれた。

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◆ ベージストとわたし。
ティファとティナの会話、とても良かったです。
電話で少しでしか話せなかったみたいですが、2人供満足してましたね。
クラウドったら、ティナと会ったのが初対面だと勘違いしてましたね。
彼女達はきっと、親友みたいな関係なんでしょうね。
ティファ・ロックハート 2009/07/24(Fri)11:58:40 編集
コメントありがとうございました
ティナとティファの二人については、できれば続きも書いてみようと思います。
そしてクラウドですが、一応人気バンドの一員ですから、ステージ上から観客ひとりひとりを判別するのは大変厳しいかと思いますよ。
ですから、あくまでも彼の方から見れば初対面という事で、ご理解ください。
シスターM  【2009/07/24 21:06】
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シスターM
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女性
自己紹介:
とうとう40代になった専業主婦。
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。
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