忍者ブログ
Admin / Write / Res
勢いだけでとりあえず開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。DDFF及びFF6にて魔導の少女を溺愛する駄文を羅列いたします。
[40]  [39]  [38]  [37]  [36]  [35]  [34]  [33]  [32]  [31]  [30
[PR]
2024/04/20 (Sat) 04:41
Posted by シスターM
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

今回選んだ花「サンダーソニア」は別名クリスマス・ベル。
花言葉だけで選んでみてます。
高山帯とかに生えていそうな植物だから、ファブールとかにあるかしら、と勝手に妄想。

セシルとティナとは、懺悔の人生を歩みそうな印象があるという点で、似ているような気がします。

儚いひとのための、花なのかもしれない。


   *


新月の夜の、火の番人。
話し相手は星たちか、などと、元の世界の吟遊詩人が言いそうな事を考えて、自嘲気味に笑う。
(元気かな、彼)
大地を震わせるような美声と竪琴の旋律を、懐かしく思い出した時。
「……セシル」
恐る恐る話しかけてくるのは、玉を転がすような声。
「ティナ、どうしたの?眠れない?」
「ええ……。あの、いてもいい?」
「勿論構わないよ。話し相手がいてくれるなら、僕も嬉しい」
「……うん」
夜であっても、驚く程の軽装のまま、ティナが僕の隣へそうっと腰を下ろした。

むき出しの白い肩が寒かろう、と思ってマントを被せると、驚きの表情を浮かべる。
「あなたが寒いわ。私は平気」
「僕こそ平気だよ、鎧のままだからね。君こそ身体を冷やすのは良くない」
マントを返そうとするティナに、僕は少々強い調子で答えると。
彼女は一瞬躊躇ってから、それでも素直に頷いた。
「元の世界の仲間たちもそうだったけれど、慣れないわ、まだ」
「何がだい?」
「私の体調を、人のように気遣ってもらう好意が。優しさが」

───ああ、まただ。

世界でたった一つの、生命体としての孤独。
そして、あまりに苦し過ぎる、全てを与えられなかった環境。
凍りついたままの人生を、取り返す術はなく。
少女はずっと、自らを否定し続けている。
「ティナ」
僕にできるのは、少しでも、その苦しみを減らすように願う事だけで。
何を言ったとしても、彼女の孤独を分かち合う事などできるはずもないのだが、それでも。
「優しくされている、って思うと、君は嬉しい?」
尋ねてみると、ティナはしばし視線を彷徨わせてから、頷く。
「嬉しい、と思うわ。だって、温かいもの」
心が、とティナは言い、目を閉じて、自分の胸の前に両手を組んだ。
まるで祈りでも、行っているかのような。

 


数日後、遠出した先で偶然見つけた花を見て。
僕は彼女を、思い出した。
「……君に似ているね、この花は……」
そっと呟いて手を伸ばすと、ふるりと揺れるその姿が。
人の優しさに戸惑い、心震わせるティナにも見えて。
「こんな所まで、一緒なんだね。わかったよ、今度ティナをここに連れて来よう」
僕は花に囁いてから、背を向けた。


   *


ふるりと震える、サンダーソニア。
花言葉は、祈り。
 

拍手

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
最新トラックバック
プロフィール
HN:
シスターM
性別:
女性
自己紹介:
とうとう40代になった専業主婦。
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
Copyright ©  違うところの夢を語る。 All Rights Reserved.
*Material by Pearl Box  * Template by tsukika
忍者ブログ [PR]