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勢いだけでとりあえず開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。DDFF及びFF6にて魔導の少女を溺愛する駄文を羅列いたします。
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2024/04/26 (Fri) 09:17
Posted by シスターM
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空飛ぶ青い何か。様から拝借した「空と青で33のお題」、14作目にして久々かも、ライトさんです。
つーか、ティナとの絡みが久々だってだけですね、失礼いたしました。
そして意味がわからなくなったのが相変わらずです(涙)。


14 吹き抜ける青の湖上

少女がそこに、佇む。


   *


全てを圧倒する程の魔力を帯びた、戦士と呼ぶにはあまりに儚い少女。
時折、誰にも何も告げずにふらりと出て行く事があり。
仲間たち皆、気を揉んでいる事があるのは、事実。
事実今も、同じ事象が発生していて。
居合わせた者のひとりとして、他の者と同様に、探索に出た。

周囲に目を配りつつ、考えるのは、彼女への指導方法。
(一度、ティナにきちんと言い聞かせなければならない、か)
記憶を一切持たぬものの、恐らくは仲間内で、己が最年長ではないかと思われて。
気がつけば統率役を引き受けていた、自分がいる。
彼女の場合は集団行動が苦手というわけではなく、感覚で行動してしまうだけで。
悪意がないのは承知しているが、だからこそ性質が悪いという事もあるわけで。
単独行動が危険である事も、女性がひとりでいる事の危険度も。
全く理解できていないのだから、こちらが困惑してしまう。
(ん……?)
唐突に、ティナの魔力の気配を感じる。
気配に導かれるままに歩みを進めると、開けた視界の先には。
満々と水を湛えた泉があって、その上空に。
緋色の衣装を身に纏った少女が、佇むように浮いていた。
静謐な湖面に、その鮮やかな色彩を映し、水面を見つめる表情は。
不思議な程にどこか虚ろで、ここに魂が存在していないかのように希薄で。

「ティナ!」
思わず声を上げてしまったのは、少女が消滅するかもしれない、などと。
愚かな疑念を、抱いたためであろうか。
声をかければ彼女ははっとして、こちらへ視線を向けて。
私の姿を認めると、ふわりと音もなく移動し、その場へ降り立った。
「ウォーリア、どうしたの?」
首を傾げる様子は、年相応の少女のそれではなく、幼い子どもにも似ている。
ふう、と大きく息を吐いて、私は眉間に皺を寄せた。
「きみがいなくなった、と全員で大騒ぎだ。すぐに戻ろう」
するとティナは目を大きく見開いて、思いも寄らぬ事だった、という表情。
「まあ、そうだったの。ごめんなさい」
「わかればいい。しかし、きみはもう少し気をつけることだ」
「え?」
私の隣を歩く少女に、危機感はまるでない。
内心溜息をつきたくもなるが、私は話を続けた。

「単独行動は危険だろう、いつ敵に遭遇するかもわからないのだから」
「そう、ね」
ティナは素直に私の言葉に頷いて、気をつけます、と答えてくれた。
とりあえず単独で出歩かないように、と言い含めてから、私は更に言葉を続ける。
「何よりきみは女性なのだぞ、ティナ。自らの身を守る必要がある」
「……何故?」
首を捻る様子は、全く無自覚であるとしか思えない。
適切な表現を頭の中で探してみて、結局あまりいい案も思いつくことができず。
私は頭を抱えたくなったが、順序立てて説明を試みた。
「ティナ。混沌の戦士たちの中には、野蛮な男共も多い。わかるか?」
「え、ええ」
確かに男性は多いわね、と頷いてくれた少女に。
「彼らがきみのような少女に対して、邪な気持ちを抱かないとは限らないんだ」
「……え」
「我が身を守るためにも、頼むから単独行動は避けてくれ、頼む」
一気に言いたい事だけを言ってから、私は少女を見つめ、はっとした。

彼女は、じっと自らの両手を見つめていた。

「ティナ?」
声をかけると、目に見えて少女は肩を震わせ、それから私を見上げる。
真剣な瞳に宿るのは、強い光。
「ティナ」
「──ウォーリア。教えて」
硬い調子の声は、微かに震えていた。
「私は、女性に見えるのかしら」
質問の意図を理解できず、私は返答する事ができなくて。
すると彼女は、再び自らの両手に視線を落とし、ぎゅっと握って。
「私は魔導の力だけを求められた、それだけの存在。なのに、何故かしら」
「ティナ?」
「人として認識される事なんて、ないと思っていたのよ。なのに、どうして」
戸惑っている調子の声も、震える肩も、確かにいつもの彼女ではなくて。
でも、愚かなる私には、何を告げれば良いのかなど、わからなくて。
握り締めた両手を見つめる少女を、ただ見守るしかできない、自分がいた。


   *


湖上に浮かぶ少女に、声をかけたとき。
希薄に見えた存在を失う事が、怖かった。

でも、今、私の目の前。
俯いて肩を震わせ、自らの両手を見つめる少女の気配は。
先程よりも不安定に揺れていて、消えてしまいそうな程儚げで。

何もしてやれない自分が、歯痒かった。


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プロフィール
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シスターM
性別:
女性
自己紹介:
とうとう40代になった専業主婦。
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。
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