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勢いだけでとりあえず開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。DDFF及びFF6にて魔導の少女を溺愛する駄文を羅列いたします。
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2024/04/20 (Sat) 01:04
Posted by シスターM
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不慣れ、と申しますかどうしてもキャラがつかめていない盗賊の彼。
口調などもかなり曖昧で、ファンの方にも申し訳ない限りです。
香水とかお化粧とか、そういったものにも詳しいようなイメージを抱いております。

ふんわりと漂うのは、優しさ。


 『甘い香りと君の笑顔と』


(……あれ?)
陣地内をうろついてた俺の目に留まったのは、小瓶を片手に困惑顔の我等がレディー。
「ティーナちゃーん、どうかした?」
「あ、ジタン」
俺が声をかけると、ティナちゃんの極上サファイアが、俺をじいっと見つめる。
ああ今日も可愛いよなあ、と心の中で頷きつつ、尋ねてみると。
ちょっとだけ首を傾げてから、差し出されたその形状には、見覚えがあって。
「ん?香水かな?ちょっと貸して」
俺はその小瓶を掴んで、顔の近くに持って来ると鼻を蠢かし、ムスク系の香りかと見当をつける。
「これ、どうしたの?」
「あのね、クラウドから渡されたの」
軽い気持ちの質問に、ティナちゃんが発したのは、まさに予想外な名前。
「………………えええー!?」
意外な言葉に大声を上げてしまったけど、物凄く心は穏やかじゃない。
確かにイケメンだけど物凄く無愛想、かつ根暗っぽそうなクラウドが。
よりによって『レディに香水』だなんて、そんな知恵が回るのかと思いっきり失礼な思考。
するとティナちゃんは、唐突に声を上げた俺の事を見つめ、言葉を続ける。
「ジタン、これって、あなたたちが昨日彼に持って来た装備一式の中の、装備品よ」
「へ?あ……ああ!成程、アレねー」
彼女の言葉で思い出したのは、バッツと共に手に入れた『女装セット』。
何故か《クラウド装備可能》というこの奇妙な一式を、発見したからには是非!と俺とバッツが共謀して。
「「クラウドー、これ、俺たちからプレゼントだぜっ!」」
「!!!」
奴に押し付けた時の、正に顔面蒼白な状態は、正直言って面白かったが。
(ティナちゃんが着てもなあ、女装にならないじゃんかよぉ)
イヤ、確かに上質なシルクのふんわりしたワンピースは、彼女にとても似合うんだが。
俺たちが思い描いた『女装クラウドを見て爆笑』というささやかな夢は、見事潰えたわけで。
畜生あのチョコボヘッドめ考えたな、などと内心舌打ち。

「……あの、ジタン?」
「え、おわあっ!?」
自分を呼ぶ声にはっとして、思いがけずティナちゃんの顔がドアップだった事に、思いっきり驚愕。
いかん、よりによってレディとの話中に、レディを放って自分の思考に没頭してしまうなんて。
一生の不覚じゃんか、俺!
「ご、ごめんねティナちゃん、話中にぼけっとして!んで、これがどうしたんだい?」
俺は慌てて謝罪をし、ティナちゃんに話の続きを促すと。
元来素直な気性の彼女は、特に気分を害した様子もなく、話を続けてくれた。
「ええっと、ジタンなら知ってるかしら?この、香水の使い方」
「え?」
「ごめんなさい。私、こういうものってどう使ったらいいのか、知らなくて」
俺の反応は予想の範疇だったのか、ティナちゃんは申し訳なさそうに目を伏せて。
レディにこんな顔させるのは、また不覚を取ってしまったと、後悔が募る。
「あ、イヤ、そんな事ないよ!ホラ香水なんてさ、案外名前だけ知ってても、使い方なんて気にしてない奴多いから」
「そう、なの?」
俺の言葉に、ティナちゃんは顔を上げてくれて、少しだけ安心。
このチャンスは逃がしちゃいけない、と俺は即座にまくし立てた。
「そうだって!あ、俺は違うよ、元の世界でも使ってた事あるからさ。ホラ、前に話したよね?俺の話」
俺の言葉を聞いてから、彼女は少しだけ間を置いて頷いた。
「え、ええ。確かあなたが、元の世界で旅の役者さんだったってお話よね?」
「そう、ご名答!だから俺の場合、化粧だってお手の物なんだよ。ティナちゃん、使ってみたいの?コレ」
先程から俺が持ったままの小瓶を掲げてみると、彼女は少しだけ視線を彷徨わせて。
「……うん。おかしいかな?」
微かに頷くその様は、(こう言っちゃ何だが)うっかりこちらが赤くなりそうな程、可愛らしかった。
───ああ、この顔間近で見られたなんて、俺って役得。
何て思考はおくびにも出さず、俺は瓶の蓋を開いて匂いを確認。
ムスク系とフローラル系が調和したその濃厚な香りは、どちらかと言えばカオス陣営のレディーズ向きな印象で。
天然無自覚な清楚さ溢れるティナちゃんには、正直言うと似合わないような気がする。

(でも……)
横目でちらりと見たティナちゃんの表情は、好奇心旺盛な少女のそれに似ていて。
自分から話しはしないまでも、その言動から推測される、彼女の決して幸福ではない生い立ちは。
年頃の少女が自分を飾るような知識を得る余裕さえ、なかったのだろうか。
そんな彼女が興味を覚えているのであれば、経験させてあげたくなるってのが当然で。
(ま、とりあえず試してみるだけだし、あるやつでいいよな)
俺は自分の中でそう結論づけてから、ティナちゃんに笑いかけた。
「よしティナちゃん、両手こうやって出してみて?」
「えっと、こう?」
ティナちゃんは俺がやって見せた通り、両掌を見せてくれた。
「OK、んじゃちょっと動かさないでね。あ、もちょっと腕伸ばして」
「ええ」
白い両腕が伸ばされて手首が露わになったところで、俺は両手首の付け根部分に一滴だけ瓶の中身を垂らした。
途端にふわん、と広がる甘い香り。
「わあ……」
ティナちゃんの顔が綻んで、満足げな印象になった事が嬉しいと思う。
「どう?嫌な香りじゃない?」
「ええ、とても甘い香りね。不思議だわ、ほんの少ししかつけていないのに」
「人の体につけるとさ、体温とか心臓の鼓動で香りが引き立つんだってさ。俺も詳しくは知らないけど」
「そうなのね、全然知らなかったわ。ジタンって物知りね」
俺の解説に納得したのか、思いがけずに褒められてしまって面映かった。
「たまたま詳しかっただけだって!でも良かったよ、レディのお役に立てたんだからさ」
「まあ、うふふ」
ティナちゃんは口元を綻ばせ、いい笑顔になってくれる。
ああ、やっぱり今日の俺、役得だよマジで。

ティナちゃんに香水瓶を返すと、どうもありがとう、と笑顔で受け取り去って行った。
さっきの香水の残り香が、微かに香る。
(意外に、気になんないな)
瓶を開けた時には、むしろ甘ったるくてきついと感じた香り。
いざ彼女につけてみると、過剰な甘さは粗方削がれ、むしろ爽やかな印象すら感じた。
確か香水は、つける人によって複雑に香りを変えるものだそうだが。
(これも、ティナちゃんだからかなぁ)
カオス側のレディたちを、今が盛りの大輪の花と例えるなら、満開手前の綻ぶ蕾。
だからこそ俺たちは惹かれ、守りたいと。
大輪の花を咲かせるのを見てみたいと、思うのかもしれない。

最後の残り香が、徒な風に流れて消えたとき、そんな事を思った。


   *

 


甘く優しい残り香は、彼女の笑顔そのままに。
人を惹きつけて、放さない。

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シスターM
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女性
自己紹介:
とうとう40代になった専業主婦。
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。
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