◆火葬（冒険家×少女 冒険家視点）

モニカ様の「選択式御題」から、新たに拝借したお題「葬－funeral」 。
引き続き、タイトルから本来受けるであろうイメージ無視の駄文です。
火なら不死鳥だ、絶対そうだ！と見事に決め付けているのは、頭の固い管理人故ご容赦を。

火葬（６×６　６視点）

 

不死鳥の力を借りて。
不死鳥に心を託して。

あいつは、逝った。

 

　　　＊

 

「……ロック」
そうっと俺に声をかけ、久し振り、と笑う少女。
かつての不安げな、揺れる瞳はそこになくて。
「ティナ。元気そうだな」
「うん」
頷く動作に、明確な自我の表現が見て取れる。

自分の中の、安堵と、動揺。
少女に自我を持つよう促したのは、確かに自分。
なのに今、何故自分の心が揺れるのか。
理由が全く、思いつかない。
そんな俺を見て、少女は笑う。

「よかった」
「え？」

「ロックの心が、見える」

「心？」
「うん」
少女は、頷いて。
「明日を見てる。未来を見てる。前を、向いてるわ」

 

「……ああ、そうだな」
俺は彼女へ頷いて、宣言した。
「俺はもう大丈夫だ。守るべきものがある限り、戦う」
「──うん」

過去の失いしものは、永遠の夢。
守るべき存在は、確かにこの目の前にあって。
躊躇う事も、心惑わす必要もない。
ただ前を向いて、共に進めば。

あいつが蘇らせた、転生の炎が。
俺の止まったままの時を、葬った。

未来へ、進むために。