◆あなたへ。（７×６的、６視点 ８８８８番キリリク）

※　本創作は、白眉さまのみお持ち帰り可とさせていただきます。
　　　よろしくご了承願います。


度々のご無沙汰をお詫びせねばならない管理人です、こんばんは。

まずは、先月唐突に開催しましたキリ番「８８８８」について、漸く文章をアップできます。
えー、「FF6の世界での７×６の邂逅」という内容で承っていたのですが…。これを書こうとすると、どうしても以前と同じようなネタになってしまいました（涙）
最近創作をしていないためなのか、何より管理人のトホホな作文能力がイカンのか。
イヤ、両方なんですけれどね…。
せっかくキリ番ご報告してくださったというのに、白眉さま申し訳ありません。
それから、この場で失礼しますが、先日拍手にて温かいお言葉もいただき、ありがとうございました。
ご期待に添えない駄文ではございますが、とりあえずお納めいただけますように。

空を見上げて、思い出す蒼が、変わった。

初めて私を助けてくれた、鮮やかな青ではなくて。
そっと見守り助けてくれた、優しい蒼。

 

　『あなたへ。』

 

神々が争う世界。
異なる場所から召還された仲間たちと、因縁の相手たち。
二度と取りたくなかった剣。
失ったはずの魔導の力。
再びこの手にしたとき、私の表情は歪んでいたに違いない。
また、繰り返したくなかった。
もう誰も、傷つけたくはなかった。
でも、私はまた傷つけて、迷った。

助けてくれたのは、あの、蒼。
彼自身も迷いながら、悩みながら、それでも私を支えてくれた。
だから私は、手に入れる事ができた。
守りたい未来。
大切な仲間。
負けない心。

そして、この、気持ち。

　　　＊

戦いが終わって、皆それぞれの世界へと戻った。
ひとりひとりと別れを惜しむ間も与えられず、ただ空気に溶け込むように運ばれて。

希望を取り戻した私の世界は、少しずつだけれど確実に再生の道を歩んでいた。
暇を見つけては散歩に出て、生命の息吹を感じる。
今まで袖を通す事がなかった、軽い生地のワンピースにストールを羽織って。
結う事をやめた髪が、時折風に遊ばれる感覚が好き。
手頃な大きさの岩に腰掛け、呟いてみる。
「みんな、元気……？」
真っ先に脳裏に浮かぶのは、この世界の仲間たちではなく、異なる世界で巡り会った彼ら。
声を届ける手段などないのは知っているけれど、いつか届くような気がして。
「きっと、元気だよね。私も、大丈夫だよ」
ひとりひとりに語りかけるように囁き、思い浮かべる全員の顔。
そして最後に思い出すのは、必ずたったひとり。

見上げる空は、青い。
あの人の瞳のような、蒼。
（元気だよ、ね。クラウド）
声には出さずに、心の中で呼びかけた。

初めて抱いた、感情だった。
声を聞ければ嬉しくて、姿を見たら顔が綻んで。
自分で制御できない感情に戸惑ったけれど、決して不快じゃなかった。
端整な顔やきらきら輝く髪、大剣を振るう姿も。
たまに見る事ができる、灯火のような淡い笑みも全部、覚えてる。
戦いが終われば、二度と逢えなくなるのがわかっていたから、ひたすらに見つめていた。
いつまでも傍にいることはできないなら、せめて覚えていたくて。

（……でも、逢いたい……）

我侭でしかない願い事を、もう幾度繰り返したのか、わからない。
けれど、優しい蒼をもう一度、見つめたくて。

見上げていた蒼が、滲んだ。

 

「何を、泣いてる？」

 

耳に届くのは、優しい声。
背中に感じ取るのは、温かい鼓動。
「どうしたんだ？ティナ」
私をふわりと抱き締める、逞しい腕。
記憶の中のかたちと、そっくり同じグローブ。
「ティナ。泣くな、ティナ」
クラウドが静かな声で繰り返すのは、私の名前で。
私の手を包んでくれるのは、彼の大きな手。
ああ、でも、どうして？
「……っ」
「ティナ？」
止まらない雫が、溢れて。
嗚咽を堪えるために、ぎゅっと唇を噛み締める。

だって、あなたがここにいる事が、信じられなくて。
ここにいる理由とか、こんな所まで来た理由とか、尋ねたい事だらけで。
でも、私は自分でも呆れる程、精神が混乱していて。
「ど、う、して？」
震えて詰まる声が問う意味を、彼は正しく理解してくれたみたいで。
私を抱き締めたまま、囁いてくれる。
「ここに来る事ができた理由はわからない。だがきっと、俺が願ったからだろう」
「願った、の？」
「ああ。俺はあんたに……ティナに、逢いたかった」
クラウドの腕の力が、ふっと緩んだかと思ったら、体の向きを変えられて。
彼の指で涙を拭われ鮮明になった視界には、穏やかに微笑む姿。
私の唇を、彼の指が優しくなぞって。

夢じゃない。
あなたの温もりが、ここに。
「クラ、ウド」
「ん？」
「私、逢いたかった」
また、視界が涙でぼやける。
「本当に、逢いたかったの、クラウド……クラウド！」
自分にできる精一杯の力で彼にしがみつき、広い胸に顔を埋める。
同時にきつく抱き締められて、隙間なんてない程に、ふたりの体がぴったりと合わさる。
ずっとこうしていたいと思う程に、溶け合う体温が心地良い。
「……ティナ」
しばらく経って、私を抱き締めたまま、クラウドが静かに問いかけて来る。
「なあに？」
顔を上げると、彼は柔らかく微笑んだまま、私の額をそうっと撫でて。
「印象が変わったな。何というか、綺麗になった」
「そう、かしら」
「ああ。あの世界での服も悪くはなかったが、今の格好も似合ってる」
そう言うと、薄い唇を私の額へ押し当てて、短く付け足した。

「これからは絶対に、ひとりにはしない。俺がずっと、傍にいるから」

　　　＊

空よりも、誰よりも、一番近くにいてくれるあなたへ。

私も、あなたと一緒にいたい。
だから。
だからお願い、傍にいさせて。

ずっと、ずっと、離さないで。

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◆大変ご無沙汰しております

お久し振りです、管理人です…。
すみません、サイト一時更新停止をかける間もなく転居準備に突入してしまっていました。
真面目にほぼ徹夜で転居日まで休みなく荷造り＋各種手続きに追われ、ようやく転居先でのネット環境が整ったところです。実際には家にまだ段ボールが複数積まれてますが（爆）
４２０ｋｍの旅路は伊達じゃなかったなあ、と。

そして、お詫びを兼ねてご連絡です。
アンケート作品・頂戴したリクエスト作品とも現在執筆中なのですが、大変勝手ながら今しばらくご猶予を頂戴したく思います。来週ぐらいには時間が取れるようになってくると思うのですが…。本当に申し訳ありません。
また、サイト放置中にもかかわらずコメントを下さいました皆様、本日ようやくこちらもチェックできました。不甲斐ない駄目管理人に、温かいお言葉を本当にありがとうございました。御返事については、こちらも勝手ながら今しばらくお待ち下さいませ。

大変申し訳ありませんが、本日はお詫びと現況のご報告のみさせていただきます。

◆アンケートへのご協力ありがとうございました！

こんばんは、大量のゴミに頭痛が起こった管理人です…。

リアル引越恐るべし、でしたよ（汗）
現在大きなゴミ袋のゴミが、既に８袋に達していますが、まだ先が見えません（爆）＜片付け
本当に不安です。
創作に耽る暇もないのがトホホですが…。
明日、と申しますか、今日寝て起きてからちょっと時間を取ろうかな？と思っています。

そして、アンケートへのご協力ありがとうございました！
兵士・旅人・義士の三つ巴での争いとなりましたが、今回最終的に接戦を制したのは兵士さん。
（詳しくは右の「アンケート」欄内の「結果」をご参照ください。）
ただこのお三方、本当に僅差でございましたからね。
旅人さんと義士さんの話も、ちょっと考えてみようかな？と思っています。
少数となってしまったその他の相手へのご投票も、本当にありがとうございました！

大変申し訳ありませんが、本日もとりあえずこれにて…。

◆８８８８番ご報告ありがとうございました！

こんにちは、転居準備しててゴミの量にギブアップ気味な管理人です。
どうすんだろう（汗）

えー、唐突に「更新停止に間に合いそうだから」と、とんでもない理由の元で設定していたキリ番８８８８。
本日無事にゲットされた方からのご報告を頂戴できました！ありがとうございます！
そしてリクエスト内容も、確かに承りました。
間に合えば週末までにアップできるといいなあ、と思います。
駄目な場合は相当にお時間を頂戴しますが、どうぞお待ちいただければ、と思います。

そしてこれも、もう少しで締め切りですが、アンケートは面白い事になっておりますね。
他の素敵サイト様の影響があるのか、思いのほか旅人大健闘！現在兵士と同着です。
更には義士もいい位置につけていますね。
一応一位のカップリングのみアップしようとしていたのですが、同着の場合は…両方書きますね。
残り僅かな期間ではありますが、気の向く方は是非１票投じてやって下さいませ。

本日は更新が無理そうです…申し訳ないですが。これにて。

◆【夜５題】５．君にコール（５×６的、５視点 現代パラレル）

酸性キャンディー様から拝借したお題、これでラストです。
タイトルを見て、勝手に現代パラレル的な曖昧文章にしてしまいました…。
どうぞご容赦を。

５．君にコール

僕からの想いを、君へ。

　　　＊

いくら相手が恋人だろうと、守るべきマナーはある。
例えばこんな真夜中に、メールではなく電話をかける、とか。
だけど今の自分には、到底できそうにない事だった。

「……」

お決まりのコール音ですら、もどかしい。

 

音が６回鳴ったところで、気配が変わる。
『もしもし？どうしたの、バッツ？』
「あ、ティナ。悪いな、こんな時間に」
『ううん、バッツだから大丈夫』
屈託のない声は、彼女らしくて。

「あのさ」
『うん』
「……今から、そっち行っても、いいか」
柄にもなく、恐る恐る問いかける俺の声は、超掠れててみっともない。
だけど彼女は、一呼吸だけ置いてから、答えた。

『待ってる』

　　　＊

コールで届けた、君への想いをいっぱい抱えて。
俺は今から、君のところへ行きます。

待っていて。





【配布元　酸性キャンディー様】

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