◆05・おとうさん（５+６）

devil+angel様から拝借したお題「ティナで10題」、バッツの番ですが。
このタイトルで真っ先に思いついたのが、彼の話でした。
ＦＦ歴代主人公の中でも珍しく、両親が健在だった頃の記憶をしっかり持っているバッツは。
ティナと対極の位置にいるのかも、しれません。

05・おとうさん（５+６）

どんな人だったの？と。
訊ねたら、貴方は笑った。

　　　＊

「親父は、強かった」

そこにいるのは、知らないバッツ。
遠い目をして、懐かしそうに。
ほんの少しだけ、目を潤ませて。

きらきらした、あたたかい記憶を、語ってくれる。

「素敵なおとうさんだったのね」
「ああ」

ティナの親父さんは？と訊ねられて。
私は、笑った。

「素敵なおとうさんよ」

そっか、とバッツが笑って。
私は、頷いた。

だって。
最期まで、私とおかあさんを、愛してくれた人だもの。

　　　＊

おとうさんは、素敵。

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◆04・希望になれたら（４+６）

devil+angel 様から拝借した「ティナで10題」、次はセシルの出番です、が。
どうにも彼の立場を暗く重くしてしまうのが、好きなようです。
一生罪を贖って生きる、という点は、2人の共通点なのかな、と。

04・希望になれたら（４+６）

結局、手を血で染めるのは、おなじ。

　　　＊

「綺麗なままでは、いられないよ」

誰よりも綺麗な、白が似合う人は、寂しそうに笑う。

「自分の手を汚してでも、守らなくてはいけないものが、あるからね」

 

「……そうね」

私の手も、既に血まみれ。
生きるために、守るために、生命を奪ってきた。
それを否定するつもりなんて、ない。

だから、せめて。

「未来に生きるひとたちが、未来を夢見る事ができる世界を、つくりたいわ」

 

「……そうだね」

静かに頷いてから。
セシルは、ゆっくりと兜を被って。

その表情は、もう、見えなかった。

　　　＊

希望を作るために。
この手を、汚してでも、生きる。

貴方も、私も。

【配布元：devil+angel 様】

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◆03・種族のはざまで（９+６）

devil+angel 様から拝借した「ティナで10題」3作目、いきなり相手が飛びました（苦）。
何と言いますか、ジタンの立場を私はどうも勘違いしている気がします。
一番世慣れてて、ティナを含めた仲間たちへの助言をできそうな、大人な部分がありそうな。
そんな感じでございます。

03・種族のはざまで（９+６）

ひとりだけ、のわたし。

　　　＊

「ひとりだけなの」
「そっか」
「だから、ひとりぼっちなの」

「そりゃ違うよ、ティナ」

え？と首を傾げたら、貴方は。

「俺たちがいるだろ」

仲間がいれば、ひとりぼっちなんかじゃない、って。
笑ってくれた。

 

そうね。
私の種族は、もう、私だけで。
私しか、いないけれど。

ひとりだけの種族の、私は。
ちゃんと、仲間がいるんだね。

　　　＊

ひとりだけ、は。
ひとりぼっちじゃない、って。

教えてくれて、ありがとう。

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◆02・愛する事の意味（２+６）

devil+angel 様から拝借した「ティナで10題」その２です。
フリオとティナは、同い年という事もあり、ラブ度も案外上げやすいような気がします、が。
今回の駄文は、仲良しお友達同士的な雰囲気です。

02・愛する事の意味（２+６）

色々な、愛が、あって。

　　　＊

難しいわ、と声を漏らしたら。
難しいな、と返された。
悲しげに眉を寄せて、困ったように笑うのは、あなたの癖なのかしら。

「あのね、フリオニール」
「ん？」
「いつか私も成長すれば、愛するという事の意味が、理解できるのかしら」

「勿論だよ」

何の根拠もなさげだけれど、彼が「大丈夫」だと言ったのならば。
きっと大丈夫なのだろう、って不思議と力が漲って。

「フリオニール」
「ん？」
「ありがとう」

あの時の私は、きっと自然に、笑顔になれていたのだと思う。

　　　＊

大切な人、全てを守り、愛するために。
私も誰かを、愛するだろう。

いつか、きっと。

 

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◆01・秘められた力（１+６）

久々の駄文創作は、devil+angel様から拝借した「ティナで10題」により書かせていただきました。
ライトさんとティナに関しては、やはり兄妹的なノリになるのが拙宅の限界かもしれません。
相変わらずの駄目っぷりです。

01・秘められた力（１+６）

世界のために、選ばれた、人。

　　　＊

クリスタルの導きにより、我らは戦う、と。
迷いのない心のままに、あの人はいつも前を向く。
記憶が一切ないと言っていた、戦士。

「怖くないの？」
訊ねてみると、彼は不思議そうに、首を傾げた。
「怖いとは、一体何を以って、そう思うのだ」
「え？」
彼から逆に問いかけられて、私が困惑してしまう。
記憶のない世界で、ずっと不安だった自分とは、目の前の人は違い過ぎて。

彼は私の困惑を見抜いたのだろう、済まなかった、と口に出して。
ぎこちない手つきで、私の頭をそっと撫でてくれた。
幼子に対するあやし方なのかもしれないけれど、私には妙に嬉しくて。
いいえ、と静かに答えてから、ありがとう、と言い添えた。

彼は、微笑んでいた。

　　　＊

迷いなく、前を向いて進むことができる、彼のその強い心。
それこそが、何よりも大切な、彼に秘められた力なのかもしれない。

【配布元：devil+angel様】

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