◆10・未来を信じて（冒険家+少女）

devil+angel 様からお借りした「ティナで10題」、最後は冒険家に締めてもらいます。
場面は所謂最終決戦前、です。
この場面は、いろんな描き方が可能ですし、実際私も幾度か書かせていただいてますが。
年を重ねたためなのか、ものの見方が変わったためなのか、新たな書き方がまだ見つかるような気がしたり。
元のゲーム自体の魅力なのでしょうね、と思ったりします。

10・未来を信じて（冒険家+少女）

きっと、明日がやって来る。

　　　＊

最後の戦いは、もう目の前。
逃げたりしないって、決めていた。

鏡の前で、髪を結う。
リボンは貴方が贈ってくれたもの。
私の一番の、宝物。
（もう、ここに戻る事はない。最後の、身支度ね）
密かな思いを託して、鏡にそっと手を触れた。

短い間だったけれど、私が人として暮らした、この部屋は。
私の人としての時間を、知っているから。
ありがとう、と心で告げた。

「ティナ」
ノック音と、仲間の声。
「そろそろ瓦礫の塔に着く。準備はいいか？」
「ええ、ロック。大丈夫よ」
私は答え、扉を開く。
武装を整えたロックが、そこにいた。

「いよいよだな」
「ええ」
「頑張ろうな」
「ええ、もちろんよ」

「俺たちの手で、未来を、掴み取ろう」

「……ええ」

　　　＊

貴方の掴み取る未来には、私はきっといないけれど。
貴方が未来を掴み取るまで、貴方を、守る。

大切な仲間へ、そして貴方へ。
明日を、贈るために。

【配布元：devil+angel様】

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◆09・架け橋（10+６）

devil+angel様から拝借した「ティナで10題」、ティーダの番です。
久々に書いていて、一番扱いに苦しんだ方です（苦笑）。お好きな方、申し訳ないです。
彼へのイメージが、かなり曖昧になってしまった感があります。

09・架け橋（10+６）

カッコつけてるかな？って。
貴方は、笑った。

　　　＊

「最後まで、諦めたりなんか、したくないんだ」

地平線の向こうを見つめ、貴方はまっすぐに立っている。

「きっと何かが見つかるだろ？」

だからティナも、一緒に行こう、と。
笑顔で、手を出してくれた。

光を浴びて、きらきら輝く笑顔が素敵で。

「ティーダ」
「ん？何っスか、ティナ」

「ありがとう」

 

「どう、いたしまして」

私たちは、手を繋いだまま、歩いた。

　　　＊

貴方と共に、歩く道こそが。
未来への架け橋になる、と。

私は、信じてる。

【配布元：devil+angel様】

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◆08・好きってどういうこと？（８+６）

devil+angel様から拝借した「ティナで10題」、このタイトルで相手をスコールにしてみました。
意外に違和感ないなあ、としみじみ感じた1作です。
いや、パラレルも書いているのですけどね、もちろん。
この度のリハビリ的創作の中で、一番糖度高めかもしれません。
…この程度でかよ、という突っ込みはどうぞご容赦を…。重々承知しております（涙）。

08・好きってどういうこと？（８+６）

質問相手を選べ、と言われた。

　　　＊

「なぜ？」
「俺には答えられないから」

彼はそう言ってから、ゆっくりと視線を外す。
それは、彼が誠実だから。

「貴方は誰かを、好きになった？」

「……たぶん、な」

憶えていない、と彼は言う。
それから、私を見つめて。
不意に腕を伸ばして、引き寄せた。

 

貴方の胸の、鼓動が速い。

「スコール？」
「……すまない」

貴方の腕が、きつく絡む。

苦しさじゃない感情で、私の心が軋んで。

「スコール」

そっと名前を呼んでから、貴方の背に、しがみついた。

　　　＊

好きって、こういうこと？

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◆07・あやつりの輪（７+６）

devil+angel様から拝借した「ティナで10題」クラウドさんですが。
久し振りに彼を動かしてみて、まあ驚くぐらい動かないですね（汗）。
うちは元々彼とティナを推してたはずなのですが、愛も甘さも欠片もないですどうしましょう（汗）。
リハビリ必要です。

07・あやつりの輪（７+６）

奪われた時間は、戻らない。

　　　＊

「空白がある」
「……」

「どうやっても思い出せない、時間がある」

彼は、形見の剣を眺めて、悔やむ。
私は、彼に何もしてあげられない。

 

「あんたには、わかるか」
「わからないわ」

「私には、奪われた時間しか、ないから」

何もなかったの。
何も生まれていなかったの。

奪われていた事すら、知らなかったの。

「……すまなかった」

クラウドが、私を抱き締めて、頬を拭ったとき。
自分が涙を流していたことに、気付いた。

　　　＊

知らなかった事なのに。
悲しいのかしら。

涙の理由も、知らない私。

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◆06・守るための戦いへ（３+６）

devil+angel様から拝借した「ティナで10題」、たまねぎをここで出してみました。
彼の位置もすんなりと、このタイトルにおさまりました。
大事な人を失って、それでも立ち上がる強さは、キャラクターに共通していると思いますが。
３本編のストーリーは、特にそれを感じております、はい。

06・守るための戦いへ（３+６）

力は、ひとを守るためのもの。

　　　＊

守れなかった人がいた、と。
目を伏せるのは、痛々しい。

だけど、かけられる言葉がなくて。
私はそれを、知らなくて。
ただ、小さな体をぎゅうっと、抱き締めた。

「……ありがとう、ティナ」

彼はそっと囁いて、私の腕から抜け出した。

「僕はきっと、ティナを守るよ。だって君の騎士なんだから」
「ありがとう。頼りにしてる」

小さな体の中に、宿っている大きな意志を。
小さな体の中に、息づいてる強い心を。

私は、頼りにしてるから。

　　　＊

貴方の、まっすぐで、きれいな心が。
私を、守ってくれている。

【配布元：devil+angel様】

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