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不思議なくらい、幸福なカップル文を書けずにおります管理人です。
そして本日投下する話も、また片想い。
お題は一応「嫉妬」なのですが、大変にわかりにくい文章だと思われます。
元の世界の、記憶。
互いの事を話していた、その時に。
ぽつり、と。
彼が零した、悲しい思い出。
『彼女は、もう、笑わない』
そう話した、瞳は。
どこまでも、冷たくて。
*
(大切な人を失う……。それはとても、悲しい事)
元の世界の仲間のひとりを、思い出す。
大切な人を失ったときから、自分の時を止めてしまっていた人。
現在も、そして未来も、全て切り捨てて。
ただひとつだけ、失った魂を呼び戻すためだけに、壊れた世界の中でさえも彷徨い続けていた人。
彼の瞳には、狂気にも似た強い感情があった。
あの人には、それすらもないけれど。
何故、今になって、思い出すのか。
その理由もわからぬままに、目を閉じる。
(本当は、あの人も、そうなの?)
凍てつくような寒さの、冬の海にも似た青。
時に全てを拒む壁のように、心を閉ざしてしまう。
清冽な、青。
あの奥深く、本当は。
どんな寒さでも凍てつくことのない、紅蓮の炎が燃え続けているのだろうか。
二度と取り戻せない、大切な人を思う、心が。
(……)
無意識に、手を握り締める。
そして、唐突に気付いた。
(これは、何?)
ちりり。
ちりり。
何だかわからないけれど、自分の胸に宿るもの。
それはどこか歪で、禍々しくて。
でも、悲しくて。
「何をしてる?」
「!?」
唐突に声をかけられて、あまりに過敏な反応をしてしまったのだろう。
息を飲む私を見て、珍しく彼の表情が崩れる。
少しだけ下げられた眦が、珍しく柔らかな印象を与えて。
「済まない、驚かせたか」
「……いいえ。ごめんなさい、私こそ」
彼の声の調子から判断しても、私の反応は明らかに不自然だったのだろう。
私も謝意を告げて、それから改めて口を開く。
「あの、クラウド。どうしてここに?」
「ん、ああ。飯だそうだ、だから呼びに来た」
「そうなの?ありがとう」
彼の言葉に頷いて、私は足早に歩き始める。
何故だか今は、彼をまともに見つめることが、できなくて。
ちりり。
ちりり、ちりり。
また正体不明の何かが、胸の中で動き出す。
快さではなく、不快な何か。
かつて仲間に感じた恐怖ではなく、怒りにも似たもの。
(……何故?)
自問自答してみても、答えなど出るはずもない。
だけど、このまま閉じ込めておくことも、できそうになくて。
また、強く手を握り締めた。
*
どこか歪な、苦しさの正体を。
私は、知らない。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。