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残業してる夫を待ちながらTV観賞しつつ、うっかりネタが浮かんだ管理人です<長いよ
せっかくなのでアップします。
ホワイトデーっぽいネタその2。
確か5の人はラブ度高めを目差してた筈ですが、正直全然少女と絡んでません(汗)
期待して下さってた方たちには、心からお詫び申し上げます。
今宵、星明かりの下で。
『Shall we dance?』
ティナへのホワイトデーのお返しについて、僕は目下お悩み中。
華美なものを贈れるような環境でもなし、第一ティナという少女はそんなものを喜ばない。
たまたま思いついたのが、運よく見つけたあの花畑だったのだけれど。
こういう事に関しては思いっきり疎そうなリーダーへ、先程譲ってあげた次第。
(さてと、どうしようかなあ)
まあ、どうせホワイトデーにはまだ間があるから、ひょっこり何か思いつくかもしれないな、と。
ふと賑やかな一角に近付けば、バッツとジタン、ティーダに加えてフリオニールの姿まであって。
僕はそちらに足を向け、ひょこっと顔を出してみた。
「お、セシルじゃん!暇なの?入れよー」
満面の笑みで迎えてくれたのは、僕と同い年とは信じ難い程快活に笑うバッツ。
彼はいつでも無意識に、誰かを迎える空気を自然に作り出してくれて。
人に合わせるのが苦手な僕でも、簡単に受け入れてくれた。
僕も自然に笑顔になって、フリオニールに声をかけてみる。
「珍しいね、フリオニールがバッツたちと一緒なんて」
「そうだったかな?」
僕の言葉に彼は首を傾げていたけれど、そうやって見ると年相応に幼さが見える。
「フリオニールは、大抵色んな雑事仕切ってくれてるもんな。ありがとな」
いつもお疲れ、と笑顔で言うのは、案外目配りもしっかりとしているバッツで。
正面切って褒められて照れ臭いのか、フリオニールが照れて頬を掻く。
するとジタンやティーダも、フリオニールを労った。
「これからはもう少し手伝うよ、俺も」
「俺もっス!ばんばん使ってやってくれっスよ、のばら!」
「ありがとうなジタン、ティーダ。だがティーダ、いい加減名前で呼んでくれよ」
「えー、せっかくいい名前なのにー」
「名前じゃないだろ『のばら』はさ」
途端に沸き起こる笑いと、流れる温かい空気。
戦場にあって、これ程穏やかな時を過ごせるのは、彼らの人柄に拠る所が大きいと、いつも思う。
「そうだ、セシルって確か王様だったよな?」
不意にジタンが声を上げ、僕は戸惑いつつも頷いて見せると。
彼はにやりと笑みを浮かべ、身を乗り出して来た。
「んじゃワルツとか、踊れるか?」
「え?まあ、一通りは習ったからね、嗜みだって。でも、どうして急に?」
首を傾げた僕に、ジタンが説明してくれた。
「うん、実はさ、ティナちゃんに先月バレンタインのチョコもらったろ?だから、そのお返し考えててさ」
「……ふぅん?」
「ここじゃあんまりモノも調達できないだろ。だから俺、ちょっと考えたんだよ」
ジタンは少しもったいぶった言い方をして、頭をちょいちょい、と指し示す。
頭の回転が早く機転の利く彼の事、何かアイディアがあるのだろうと推量して、僕は続きを促した。
するとジタンは「さっすがセシル、話が早いぜ!実はさ……」と声を潜め。
居合わせた仲間全員、そのアイディアに思わず拍手。
褒められた当のジタンは、得意満面で仲間たちを見回すと、にやりと笑って。
「でさ、せっかくだから、お前らも一口乗らない?つーか、頭数は多い方が助かるんだよなあ」
その言葉に、僕は即座に賛成の声。
「面白そうだね、きっとティナも喜ぶよ。僕は乗った」
「セシルが!?めっずらしー事もあるもんだなあ。あ、俺も勿論乗るからな」
「頭数が必要なら、俺も参加するぞ。実は俺もちょっと困っていたからな」
「バッツものばらも乗るんスか?へー、何か本格的な事できそうっスね!もち俺も参加で!」
「だからティーダ、いい加減のばらはよしてくれ」
「……よっしゃ、決まりっ!んじゃ早速野郎ども、役割決めるぜ!」
と、いう事で。
僕の当初の計画とは違ったものの、総勢5名による計画が、発足。
実行は、今夜。
そして、遠くの地域へ偵察中のオニオン・クラウド・スコールを除いた7名での夕食を終えた、その後に。
フリオニールと僕とで、ティナをとある場所へと連れ出す。
勿論もう1人─ウォーリア─には予め僕から事情を説明し、彼にも同席を促してみたけれど。
「私は火の番を務めよう、皆で楽しんでくれ」と笑顔で言われ、大人しく従う事にした。
僕たち3人は、静かな草原をゆっくりと歩く。
「セシル、フリオニール、どこまで行くの?」
「もうすぐだから大丈夫だよ、ティナ」
「ああ。ほら、あの明かりの所、見えるか?」
「え?……わあ」
フリオニールが指差した一角に、仄かな明かりが点されて、よく見ればバッツの手作りらしきランタン。
本当に器用なものだ、と感心しきり。
「ようこそお越し下さいました、麗しきレディー」
明かりの下でティナの手を取り口付けるのは、魅力的な笑顔と仕草のジタンで。
ティナは不思議そうな、でも嬉しそうな表情になっていた。
ジタンが案内した場所にティナがゆっくり腰を下ろすと、フリオニールがバッツの隣へ移動して。
さっと手で合図したジタンに合わせて、ふたりはゆったりと音楽を奏で始めた。
ふたりの竪琴で合奏されるのは、可愛らしい旋律のワルツ曲で。
それと同時にティーダが大きなランタンに火を点し、辺りがほんのりと照らされる。
幻想的な色とりどりのランタンと、満天の星に彩られた草原は、まるで屋外ステージ。
「まあ……」
美しさに感嘆の声を漏らすティナに、僕は笑顔で手を差し伸べる。
「さあレディー、お手をどうぞ?」
「え?」
「初めて聴く曲かな?これはワルツって言って、ダンスの曲なんだよ。さ、踊ってみよう?」
僕の誘いに、ティナは躊躇して、俯いた。
「ティナ?」
「できないの。私、ダンスなんて踊った事がないわ」
困ったように眉根を寄せる表情に、罪悪感を掻きたてられてしまうのだけれど。
そんな時、天の声ならぬジタンの声が高らかに届く。
「レディー、そんなの心配ご無用だぜ!」
「そうっス!こっちのレディーの真似っこすれば、いいだけっスよ!」
「え、ジタ……?」
声の方に振り向いたティナが、思わず言葉を失って。
同じく振り向いた僕も、絶句するとは不覚だった。
いつの間にやら、ジタンがひらひらのスカートを身に纏い、ティーダとペアを組んでいた。
普段の服には花をつけ、短時間のうちに髪型までしっかり替えてある辺り、さすがは役者である。
相手のティーダまで服に花がついてる辺り、ジタンの拘りが見て取れて、凄い。
そんなふたりは軽い足取りでこちらへやって来ると、ティナに向かって話しかけた。
「さっ、今宵はティナ嬢のダンスデビューの日。俺の真似で構わないからさ、折角だからやってみようよ」
「そうっス!大丈夫、ダンス素人の俺と違って、セシルならしっかりリードできる筈っス!」
「どう?ティナ、せっかくのお誘い、受けてみてくれない?」
ふたりに続いて、僕はもう一度ティナに手を差し出してみる。
するとティナは戸惑った視線を彷徨わせ、それから少しだけ困惑しながらも。
「……うん、やってみたい」
しっかりと意思表示をしてから、立ち上がった。
そんな彼女に頷いてから、僕はティナをリードして、明かりに照らされた空間へ歩む。
「ティナ、足ぐらい踏んでも構わないから、思いきって動いてごらん」
「え、で、でも」
「大丈夫。実は僕も、ダンス教師や妻の足を何度も踏んで叱られて、それで習得したんだから」
だから思い切りやってごらん、とおどけた調子で話してみると、ティナは笑みを零してくれて。
顔を少々赤らめながらも、やってみる、と呟いてくれた。
ティナの笑顔を見て、僕を含めた全員が頬を上気させたのは、当然。
*
心の篭った贈り物には、想いの篭ったお返しを。
星明りの下の一夜を、君が少しでも楽しんでくれますように。
僕らはいつも、君の笑顔を祈ってるから。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。