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勢いだけでとりあえず開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。DDFF及びFF6にて魔導の少女を溺愛する駄文を羅列いたします。
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Posted by シスターM
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2009/03/12 (Thu) 12:52
Posted by シスターM
こんにちは、管理人です。

えー、拙宅を開設後、少女の痛いマイ設定については小出しで書いてみていますが。
本編でその辺を書いてみたら、こんなかなー、と前から構想だけはしっかり練ってた痛話をこっそりアップ。
別サイト様ではおめでたい話もかなり書いているのですが、実際には暗い設定考えてるんですよね。
自分のブログだし…一度きちんと形にしたいと思ったので、書いてみました。
なお、ここで終わらせると救いもないですから、いつかは何とか、続きを書いてみたいと思います。
ハッピーエンド好きな管理人の悪あがき、とお笑い下さいますように。

と、いうことで、注意書きをひとつ。
↓をお読みいただいた上で、ご了承いただける方のみ本文をご覧くださいませ。

本文章に関しては、少女に関して独自設定に基づく記載があります。
納得できない場合は、閲覧をご遠慮下さい。

※ 注意書きをお読みいただきましたか?
  大丈夫だと仰るお客様は、どうぞご覧下さい。
  なお本作品に関するご意見等ありましたら、是非コメント等でお知らせ下さい。


 





ガストラとの会食の後、大三角島への出発前。
私を呼び止めた、その人を見て。
「ティナ」
「……あなたは」
あの時、私はきっと、険しい表情だったに違いない。

その人も、そうだったから。

 

『邂逅』

 

「済まないな、出発前に」
「……」
険しい表情のまま、その人は告げるけれど。
私は何故か返答できず、その人を凝視するだけ。
本当は、見たくもなかった人だから。
「心配ない。手短に用件だけを済ませるつもりだ。お互いその方が良かろう」
私の状態についてはその人も理解できているのだろう、さほど気分を害した様子も認められない。
「実は、お前さんに渡しておきたいものがあってな」
そう言って、その人が示したものは、一冊のファイル。
他の一般的なファイルと違い、機密扱いの表示がなされていたそれには、見覚えがあって。
「!」
「お前さんにも見覚えがあるかもしれんな。このファイルは……」
息を飲む私にその人が説明しようとした時、ちょうどロックが私を呼びに来た。
「ティナ!そろそろ出発し……!」
ロックは歩調を速めると、まるで私をその人の視線から守るかのように、ふたりの間に立った。
「シド博士。ティナに何の用だよ?」
警戒心を露わにした、いつもの彼からは想像できない程のきつい口調。
そして、彼はいつの間にか、後手で私の手を握ってくれた。
彼の手の感触だけが、今私をここへ繋ぎ止めているような気持ちになる。
かつて魔導研究所に潜入した、彼だからこそ理解してくれる、今の私の心情。
シド博士は、父や幻獣の仲間たちの、仇。

ロックの問いかけに、その人は、苦笑いをひとつ。
「大した用ではない。いや、ティナにとっては重要じゃが。用件はこれじゃよ」
「何だ、これは?」
その人が示したファイルに、ロックは手を伸ばそうとして。
(!)
私は慌てて、繋がれたままの彼の手を引いた。
「ティナ?」
怪訝そうな声で、ロックが私の方に振り返るけれど。
「……お願い。手を、触れないで」
彼に告げてから、意を決してファイルに歩み寄り、手を差し出した。
その人は、そんな私の様子を見て、私の手にそれを掴ませる。
「そうじゃな。これは、お前さんだけが見ることができるものじゃ」
用はそれだけじゃ、と告げ、彼は踵を返して歩み去った。
私の視界から消えていくその背中を見つめつつ、私は手の中のファイルをぎゅっと抱き締めた。
そんな私を後ろから見ていたロックが、不意に私の両肩に手をかける。
「!?」
突然の行動にびくりとした私に、彼は背後から囁いた。
「俺はそれを見るべきじゃ、ないんだな?」
責めているのではなく、確認するようなその口調に、私は振り返らないまま頷いて。
彼も納得したのだろうか、両手を外すと。
「落ち着いたら出発しよう。とりあえず、ここから移動しないか」
いつものような口調を心がけ、声をかけてくれた。
彼の優しさが嬉しくて、私は彼に振り向いてから告げる。
「いいえ、大丈夫。すぐ出発しましょう」
「……ああ」
一瞬戸惑いを見せながらも、彼は頷いた。

 

ファイルを大事に仕舞い込んだまま、私はロックと共に、アルブルクへ。
帝国の船での出発前夜、レオ将軍が手配していた宿で、不意に誰かの気配で意識が鮮明になる。
(……ロック?)
ロックが私の様子を観察しているのが感じられて、眠っている振りをしていると。
彼が遠ざかる気配と、部屋を出る微かな物音。
(眠れないのかしら。いいえ、違うわ……)
レオ将軍との打合せの際、同行すると告げられた、セリスの存在。
彼女との再会が、きっと彼を困惑させているのだろう。
ひとの心は複雑で、私には理解し得ないような感情が渦巻いているのだろうから。
……でも、今ならば。
(きっとロックは、私が受け取ったファイルについて、関心を払っていないはず)
ふと閃いて、寝床から飛び出すと、自分の荷物から件のファイルを取り出した。
見覚えのあるその表紙には『機密扱い』としか記載がなく、魔導の封印もかけられていて。
開封できたのは、確かケフカだけ。
(確か彼は、こうして……)
おぼろげな記憶を頼りに手を翳し、意識を集中すると、封印が外れた。
魔導力を感知して開封するこの仕組みは、ケフカ自身が開発したものだったように思う。
表紙をぱらり、と開いたそこには。

《魔導の少女に関する資料》

「……やっぱり」
思わず呟きが漏れ、自分の顔が引き攣る感覚がした。
生後間もなく母の手からガストラに奪取された、私という特異な存在の記録。
魔導研究所の責任者であるあの人ならば、在り処も知っているとは思っていたけれど。
あの人にとって、いい結果を招かない筈なのに。
(……)
彼の中に渦巻いていたのは、私の父を結果的に死へ追いやった、悪魔のような研究の責任者としての悔恨の情か。
それとも自我の芽生える前の赤子の頃から『実験体』として扱ってきた、私への。
先程の視線から、推量する事はできなかったけれど。
それでも。
(見ておく方が、いいわね)
自分に関する記憶すら曖昧なままの私にとっては、数少ない過去につながる大事なものである事は事実。
意を決して、神経質なケフカの筆跡で記載された書面を読み進め……。
「……そんな……」
漏れる呟きを聞く人がいなかったことに、安堵しつつも。
身体が小刻みに震えるのを止められず、ファイルをうっかり取り落とした。
───『私』は。

(……!)
不意に扉の外に感じた、ロックの気配。
(帰ってきたんだわ)
慌ててファイルと共にベッドへ潜り込み、息を潜めた。
出て行った時よりも少々大きな音を立てて戻ったロックから、アルコールの臭い。
(お酒?なぜ)
毛布に包まった中で不審に思う、私の事には関心を払わぬまま、彼は乱暴にベッドに倒れこんだようで。
少し高い音を立てたが、全く気にかけない様子だった。
「ふぅ……。ちょっとペースがヤバかったかな、水でも飲んで来るか」
彼はぼそりと呟いて、それから。
「……セリス……」
たった一言だけ言うと、沈黙し、やがて寝息が届く。
そうっと身体を起こしてみると、やっぱり彼は口を開けたまま寝入っていて。
私はこの隙にファイルを荷物の中へと隠し、彼に予備の毛布をかけて、寝顔を見詰めた。
(……ロック)
アルコールのせいで少々赤らんだその顔は、年上とは思えない程無邪気で。
乱れた髪を直してあげると、表情が少しだけ綻んだ。

セリスに、会ったのだろうか。
彼が先程眠る前に、彼女の名を呟いた声が、蘇る。
苦しげな、切なそうな、それでいて、別の感情を秘めた声。
そして、昼間に会った彼女の表情。
私には理解できない、人と人とが惹かれあう、心。
(……私、は)
そう、『私』は。
「………………っ」
胸が苦しくて、視界がぼやける。
感情の混乱だろうか、声を潜める事ができなくなりそうで。
私はベッドに崩れ落ちてから、枕に顔を埋めた。
(……私には、きっと、わからないわ)
目がじんわりと熱を持つのを、自覚する。
溢れる雫を枕に吸い込ませ、私はぎゅっと目を閉じる。
思い出してしまうのは、さっき読み進めていたファイルの中の一行の記述。

「基本的な身体機能は人間と酷似。しかし生殖器官不全であるため、少女の純粋な血統を持つ子孫の誕生への道は閉ざされている」

恐らく、魔導の力の血統を絶やさぬ事で、帝国の優位性を確固たるものにしたかったのだろう。
だからこそ、幼い頃から徹底的に調べ上げられた、私の詳細な記録。
その中で判明した、身体機能の不全。
私の母が私を産んだように、子を産む事は不可能であるという、現実。
人を愛し、愛される中で行われる生命の営み。
子を産み育む、私の父と母との愛。
私には、できない。

その事実は。
私が思っていた以上に、私の心を、打ち砕いた。


   *


知るべきだった事実だから、あの人は私にこれを託した。
それは、感謝すべき事。
でも、知りたくなかったとも思ってしまう、身勝手な自分。

こんなに苦しい気持ちを、ずっと。
私は抱えていくのだろうか。

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とうとう40代になった専業主婦。
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。
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