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タイトルはド○カムの曲から、ですが内容は全くの別モノです、ご了承を。
そして何より、救いがない(汗)
ティナ愛を叫ぶ管理人、何故こんな痛文にっ!
…と、皆様からご不興を買うこと間違いなしの文です。
念のため申し上げておきますが、この話のティナに関する設定については、管理人の個人的な捏造です。
このため公式とは無関係です。
また、表現方法については留意したつもりですが、不適切な表現が含まれておりましたら、お知らせ下さい。
王子様の優しいキスで、眠りにつきたいの。
……貴方は、笑う?
舞うように紡がれた言葉は、あまりに。
『スノウダンス』
二柱の神々が争う世界の中であっても、四季は存在しているようで、今日は朝から雪模様。
活発なティーダやバッツ、ジタンは颯爽と外へ飛び出し、雪合戦の真っ最中。
……あ、良く見たら、スコールまで巻き込まれてる。
彼は何だかんだと言っても付き合いのいい人間だ、なんて僕は呑気に部屋の中から観戦していた。
室内に視線を移すと、ティナとフリオニールがゆるりと立ち上がったところ。
「フリオニール、そろそろ、お茶の支度をしておいた方が良さそうね」
「そうだな。ポットは俺が運ぶから、ティナは茶葉を用意してくれるか?」
「ティナ、僕も手伝うよ!」
「ありがとう、ルーネス。それじゃ、あなたはカップを用意してくれる?」
仲間たちを気遣う2人と、少しでもティナを助けようとするルーネスの微笑ましさに、不思議と安らげる。
「珍しいな、あんたがそんなに気を緩めているのは」
不意に声をかけられて、そちらに目を向けると、クラウドが微笑していた。
「そうかな?」
「ああ。あんたは雰囲気が柔和な分、見破りにくいが……俺以上に他者を寄せ付けないだろう」
違うか、と半ば肯定しつつ尋ねてくる彼の指摘は、その通りで。
僕が笑顔のまま微かに頷いたのを見て、彼は少しだけ笑みを深めた。
「君だって、他者を寄せ付けないのは一緒だと思うよ」
「……そうかもな。俺は単に、臆病なだけだろうが」
やんわりと僕の指摘を肯定する、神秘的な蒼の瞳が見つめる先には、ふんわりと笑みを浮かべる少女。
「ああ、でも君の場合、彼女だけは無条件で受入れるんだっけ?」
「なっ……」
ほんの少しの意趣返し、のつもりだったのに、まともに顔色を変えるクラウドに。
僕は正直驚いて、何となく笑えてしまった。
比類なき魔力と反比例するかのような、年齢不相応な程純真な魂のためか、とかく少女は不安定。
彼女を執拗に追う道化から『僕の人形』と常に呼称されるのだって、理由は不明。
日を追うごとに元の世界を思い出しつつある仲間が、それぞれの世界の記憶を語り合う事だってあるのに。
ティナはその輪の中にいる事はあっても、決して口を開かない。
皆が不審がっている節も多少はあるが、聞いてはいけない、そんな気がして。
「……何故だろうな……」
「何を気にしているんだ?」
うっかり口をついて出た言葉をクラウドが聞きとがめ、しまったと思った心が表情に表れたのか。
彼はあからさまに眉を顰め、ちらりと横目でティナを見た。
「俺も、確かに気にはなっている。しかし、尋ねられる事を、望んではいないだろう」
「……うん、きっとそうだよね」
だからバッツやティーダですら、あの子には尋ねない。
『元の世界で、何をしていたの?』と。
彼女の不安定な精神の安定を図る糸口が見つけられるかもしれないから、本来は質すべきだけれど。
常に仲間の安全を重要視するあのウォーリアですら、無理強いしていないのだから。
それでも。
時に、あまりに悲しげに笑うのが、目に焼きついて。
彼女が入手したクリスタルは、初めて目にするような、不思議な形状。
緑と赤の不思議な石は、「魔石と同じ形」だと、教えられた。
「魔石?」
「幻獣の、力そのもの。彼らにとっては……魂を留めておくための器、のようなものかしら」
ティナは俯いたまま手を触れて、感触を確かめる。
「さすがに本物じゃないから、温かさはないけれど」
「温かい、の?」
僕の問いかけに、彼女は頷いて、続ける。
「魔石であれば、私はお話もできたわ。声を聞き取ったり、伝えたりできたから」
その表情は穏やかで、彼女にとっては当たり前のことだったのだろうと、僕は何も考えていなかったのだけれど。
不意に、ティナは様子を一変させる。
「ティナ?」
「……」
名前を呼んでも何も答えず、クリスタルをきつく抱き締め、瞳をきつく閉ざす。
何故だろうか、普段よりも更に気配が希薄で、今にも消えてしまいそうな程に不安げ。
「どうしたんだい?」
なるべく穏やかに声をかけつつ、細い両肩をゆっくり包んで引き寄せる。
「……」
それでも彼女は答えずに、震え続けているだけ。
「大丈夫?熱でもあるの?」
「………………平、気」
見るとティナはこちらを見ながら、寂しげに笑っていた。
「思い出しただけよ、ほんの少しだけ」
それは、何を、と問いかけるのが躊躇われる程、苦しそうな笑顔。
だけど、今尋ねなければきっと、この先もまた聞けないかもしれない、と自分の気持ちを奮い立たせて。
「ティナ。話してもらえる?」
僕は、彼女に残酷な質問を投げかけて。
彼女は視線を彷徨わせてから、微かに頷いた。
魔導の力を源に生命活動を行う、人とは全く摂理の違う存在が幻獣。
その幻獣と、人との間に生を受けた、世界でたったひとりの生命体。
それが、ティナ。
「……だから私は力を持っている。そして、彼らによって操られた……」
自分の事であるからこそなのか、冷静に第三者のような目線で語られた過去は、あまりに重い。
繰り返されるのは、実験と、破壊。
そこに日々の生活の営みなど、あろうはずもなくて。
あまりに過酷な歴史を淡々と語ると、ティナは遠い目をした。
「だから私は、愛を知らない。お父さんとお母さんのような『愛』を、知る事はできないわ」
「ティナ、そんな事はないよ。君はまだ若いんだ、これからいくらでも」
必死に語る僕の脳裏に浮かんでいたのは、クラウドの視線。
普段あれ程クールな彼が、その表情をあからさまに変える程、ティナを気遣っているのだから。
きっと、彼は。
しかしティナは首を振り、淡々と、虚ろな瞳を向けて、告げた。
「駄目なの。だって、お父さんとお母さんには、私が生まれたけれど……私は、駄目なんだもの」
「え……」
「──思い出したの。私には『子供を産むための機能がない』って……だから、駄目」
「!」
ティナは目に涙まで浮かべ、呟く。
「自我を取り戻して、かつての帝国で科学者をしていた人から、教えてもらったわ」
生まれながらに魔導の力を持つ、当時唯一の人間として、身体の隅々まで検査を繰り返されて。
その中で判明した、生命としての欠陥とでも言うべき、人間的な機能の欠如。
恋や愛をまともに知らず、それでも憧れは抱いていたかもしれない少女に対しての、残酷極まりない事実。
思い出してしまうには、あまりに酷すぎる記憶で。
僕にはかけられる言葉など、全く思いつかず、唇を引き結ぶだけだった。
「……セシル」
蚊の鳴くようにか細い、ティナの声。
そして、彼女は潤んだ瞳を向けて、言った。
「私ね、いつかは恋をしてみたい、って思った事があったの」
子供たちが憧れた物語のように、素敵な王子様のような人が現れて、愛し合う幸福を得ることができて。
王子様の優しいキスで、眠りにつきたいの。
歌うような、舞うような調子で紡がれる言葉は無邪気で、苦しい。
「……貴方は、笑う?」
首を傾げた拍子に、一粒頬を伝う雫がきらりと輝いて。
僕は何も言えず、ただティナを引き寄せて、柔らかい髪に顔を埋め、嗚咽を堪えるだけだった。
*
雪よりも儚げな、白き魂を癒す術など、僕にはなく。
ただ、細い肩を包み込むだけ。
ただ、祈るだけ。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。