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ティーダがヘタレてますが、ご勘弁を。
そして、週末はちょっとスキーに行くらしいので、更新はできません。ご容赦を。
きっと、覚えていて。
*
集まっていくクリスタル。
終わりが近付いている事を、皆が何となく、感じていて。
自分の心の中に渦巻く不安を、抑えることができない自分がいる。
(……駄目ッスね、こんな事じゃ)
元の世界へ戻った時、あの世界から一度消えた筈の自分が、どうなっているのか。
本来の姿には戻れなくとも、せめて人の姿形をしているのだろうか。
「……ティーダ」
「!」
躊躇いがちな声に振り返ると、そこには言わずと知れた、コスモス陣営の紅一点。
「ティナ。どうしたんスか?」
「あのね、食事なんだけれど……何か、あったの?」
ティナはおずおずと近付いてくると、俺の頬に不意に手を伸ばして、そっと撫でる。
その柔らかい感触に驚くと同時に、頬に触れられた事で初めて自覚したのは、涙。
「泣いていたのね……」
「……ティナ、悪いけど、もう少しだけ離れてて欲しいっす……」
自分の声が震えるのを自覚して、俺はぎゅっと自分の手を握る。
すると。
「ティーダ。お願い、ひとりで泣くのだけは、やめて」
ティナの柔らかな声が届いて、俺はゆっくりと頭を撫でられ始めた。
「……ティナ」
「大丈夫。今ここには、私しかいないから。今のうちに、きちんと泣いておきましょう」
「………。……ありがと、っス……」
俺はあろうことか、ティナに縋りつくかのように抱きついて、ぼろぼろ涙を零し始め。
ティナは何も言うことなく、俺の抱擁を許してくれて、頭をなで続けてくれていた。
ひとしきり泣いた後は、案外すっきりするものだ。
「ごめんっス、ティナ」
「謝ったりしないで、ね?そうだ、ティーダ、いいものあげる」
「え?」
俺が首を傾げたのを見て微笑むと、ティナは可愛らしい押し花の栞をひとつ、出してきた。
「元の世界で仲間に教わったのよ。このお花、大好きだから」
「へぇー、凄いっスね、ありがとうっス!」
彼女から受け取った栞の中には、蒼っぽい花の、小さな花弁が無数にあしらわれていて。
自然の中でもこんな光景があるのだろうか、なんて余計な事を考えていた。
「ティナ、この花、何なんすか?」
俺が尋ねると、ティナは笑って答える。
「勿忘草よ、ティーダ」
「勿忘草……」
「そう。『私を忘れないで』って言う名前のお花なの」
ティナは笑って、話してくれた。
時が満ちれば、戦いが終わるから。
その時、皆が互いにみんなを忘れることがないように。
だから、渡すの、と。
*
きっと、忘れないよ。
誰よりも優しい、貴女を。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。