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えー、クラウド絡みになると途端に糖度が上がり気味な、駄目管理人です。
申し訳ない限りです…。
ちなみにネタで使った茶は、ウータイから送られていたとか適当に考えています。
そしてクラウド絡み最大の悩みは、無駄に長いことですね(爆)
守りたいのは、いつでもだから。
*
(………?)
真夜中に目が覚めたのは、久々で。
それ自体は別に、珍しくも何ともないのだけれど。
本当にごく微かに、だけど確実に、感じている誰かの気配。
限りなく儚げで、しかしながら決して消えたりはしない、強い心。
もしや、と思い寝室の扉を開くと、そこに。
「やっぱり、あんたか」
「……ごめんなさい」
消え入りそうな程に細い声で謝罪の言葉を述べつつ、モーグリの縫いぐるみを抱えた、ティナがいた。
「とにかく入れ、身体を冷やすのは良くない」
「う、ん」
夜着にストールを羽織っただけの細い身体は、引き寄せただけで冷たい。
俺はやや強引に彼女を部屋に引き込むと、ベッドに腰を下ろさせて、毛布を上から被らせた。
室内の明かりをつけて、改めてティナを見つめる。
白く華奢な肢体をシンプルな夜着で包み、心細げにこちらを見ている様は、どこまでも儚げで。
被せた毛布の上から包み込むように抱き寄せると、恐る恐る体重を預けて来た。
あわよくばこのまま、という邪な想いには蓋をして、揺れる瞳を見つめながら尋ねる。
「怖い夢を見たのか」
「……うん」
ぎゅ、と俺の服を掴む白い手が、小刻みに震えている様が、痛々しい。
一時期行動を共にしていて把握した、彼女が時たま魘される、悪夢。
意思を奪われ、文字通り『道化の人形』として存在させられた日々の、破壊の記憶。
いつからか、彼女が魘される悪夢を見た夜には、こうして身を寄せ合うのが習慣づいた。
正直なところティナに対して、個人的に抱く感情は、日増しに大きくなる一方。
しかし、掛け値なしの信頼を寄せてくれる純粋な彼女を、絶対に傷つけたくなどなくて。
俺にできるのは、彼女が語るまで何も聞かずに、細い身体を包み込むだけ。
「……赤いの。私の手も、服も、みんな」
「うん」
「息をして動いているのが、私だけ、なの」
「……うん」
「でも操られてる『私』は何も思わない。ただ、全身に返り血を浴びたまま、佇んでるだけ……」
ティナは大きく身震いし、俺の胸の辺りで顔を伏せた。
そこがじんわりと熱を持ち、服を握る力が強くなったのは、気のせいではない。
「………ティナ」
俺はなるべく静かに、彼女に言い聞かせる。
「眠ろう。明日も戦いがある」
「………っ」
幼女のように首を横に振り、拒絶の仕草を見せる彼女の、柔らかな髪がふわりと揺れて。
俺の頬を軽く撫でていくのですら、苦しい程に愛しく思える時がある。
元来違う世界にいた者同士、ここで出会ったのはひと時の邂逅であろうと、予感しつつも。
この細い肩を、ずっと包み込んでいたいと思う、自分の我侭な欲望が渦巻いて。
でも今は、何より彼女に少しでも、心の平穏をもたらしたくて。
「ティナ、身体が冷えてしまっている。珍しい茶があるから、飲むといい」
「………え?」
唐突に俺が口にした言葉に、彼女は即座に反応し、涙を溜めたままこちらを向いた。
「興味があるのか。なら、見ているといい。ちょっと面白いものが見られる」
俺はゆっくりと身体を離すと、ベッドサイドに用意していた透明な茶器に、丸い形の茶葉を入れて。
横に置いてあった容器から湯を注ぐと、途端に、花の香りがふんわりと広がって。
「うわあ……!」
涙など忘れたような、ティナの声が上がった。
茶器の中で緑の茶葉がふわりと開くとオレンジ色の花弁が広がり、更にその中から無数の小さな花弁が舞い上がる。
「工芸花茶、というんだ。元の世界の俺の知人が送り付けてきたものだが」
「初めて見たわ!とても綺麗ね、不思議なお花。これは飲んでもいいものなの?」
「ああ、勿論だ。元々茶だからな。ホラ」
俺はガラス茶器からカップへ出来上がった茶を注ぐと、ティナへ差し出す。
彼女は素直に手を伸ばし、小花が浮かんだ香りの良い茶を見つめて微笑むと、一口含んだ。
「美味しい……」
「ゆっくりで構わない、飲んでおけ。温まった方がよく眠れるだろう」
自分の分をカップに注ぎながら言うと、ティナはこくりと頷いて、カップを両手で握り締めて。
一口一口、香りも楽しみながら味わうと、やがてほうっと息を吐いた。
「何だかとても温まったわ、クラウド。ありがとう」
「礼には及ばない。さあ、眠れなくとも身体を休めた方がいい」
「ええ。あの、まだここにいてもいい?」
「今更だな」
俺は毛布に包まったままの彼女を抱き寄せたまま、ベッドへゆっくりと身を横たえて、更に上から毛布を被り。
ティナの耳元で「おやすみ」と囁くと、彼女を胸に抱き寄せた。
抱き寄せられたティナは少しだけ身を捩って、安定したポジションを確保したのか、身体の力を抜いて。
「ありがとう、クラウド。おやすみなさい」
小声で囁いてから目を閉じると、やがて小さな寝息を立て始めた。
(……眠れたか。何よりだな)
自分の腕の中、安堵しきって眠る女と何もせずに過ごすのは、正直生殺し状態ではあるが。
何かと焦り、がっつくような10代の餓鬼でもあるまいし、無理強いは趣味ではない。
いつか、合意の下で彼女を手に入れられる機会を得られれば良い、と俺は納得し、目を閉じて。
柔らかな温もりを、体中で味わいながら、夢の世界へと旅立った。
*
願わくば、夢の中でもこうしていたい。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。