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勢いだけでとりあえず開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。DDFF及びFF6にて魔導の少女を溺愛する駄文を羅列いたします。
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2024/11/22 (Fri) 06:01
Posted by シスターM
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2009/02/28 (Sat) 01:16
Posted by シスターM

同一タイトルで書き続けてきて、今回も6の冒険家を絡めてみようとしたところ。
驚く程に…できませんでした(爆)
ということで、6タイトルはCP色薄めのものでアップします。
プレイ経験のある方にはお分かりでしょうが…。
一応ロック一人称。


君に、笑って欲しいから。


   *


どこか不思議な空気が漂う、サマサの村。
その正体を知ったのは、この夜だった。
魔物の力で起こされた火の消火に、人々が使ったのは、魔法。
しかし、炎のロッドを保管してあったというこの家の火は、鎮火しない。
孫を助けに行く、と意気込むストラゴス老人に、俺とティナとで同行を申し出た。
目の前の燃え盛る家は、入口も激しい炎に包まれて、先程村人たちが施した氷の魔法も効果が見られない。
(入口の火だけでも、何とかしないと……このままじゃ突入もできないな)
俺が舌なめずりした時、一歩進み出たのは、ティナ。
「今、入口を凍らせるわ。その隙に飛び込みましょう」
凛とした声と、その身の内で高められている魔導の力を感じる。
通常ならば、自身が持つ魔導の力を人前で行使する事を好まぬ筈なのに。
「───よし、わかった!」
俺はストラゴス老人に声をかけ、ティナに合図を送った。
「……ブリザラっ!!」
キィィィン!と高い音が響き、ティナの手から放たれる氷の矢が、扉付近の炎を封じ込めた。
「おおっ!?」
「凄い魔法だ!」
周囲の村人が上げる、感嘆の声を、ティナはどう感じたのだろうか。

無事にリルム救出に成功した俺たちは、翌朝ストラゴス老人同伴の元、幻獣を探す旅へと出発する事になり。
村長への報告後に村内を歩いていると、幾人もの村人がティナや俺に話しかけてきた。
「お嬢さん、昨日は大活躍だったね!あんたの魔法でリルムちゃんが助かったんだ、ありがとう!」
「この村の人間でもないのに、あんたたち、凄いよ!本当に、あんたたちがいてくれて助かった!ありがとう」
当惑するティナにも構わず、村人たちは笑顔で礼を何度も繰り返して。
あまりに続くそれを解放してくれたのは、ストラゴス老人。
「お前さんたち、わしらはこれから出かけるからの、そろそろお嬢さんを返してくれんかの」
「ああ、ごめんな、じいさん!じゃあ、お嬢さんもそっちの人も、気をつけて行きなよ」
「戻ってきたら、ストラゴスじいさんの家だけじゃなくて、うちにも寄っておくれ。歓迎するよ」
村人たちは快活に笑いながら去って行き、俺たちはストラゴス老人の家に戻って、一息ついた。
「……いい人たちですね」
「そうじゃな、田舎の村じゃから、お人好しは多いかもしれんゾイ」
俺の言葉に老人は苦笑いし、それからティナへ語りかけようとして。
「お、お嬢さん!?どうしたんじゃ?」
慌て気味な声にティナを見ると、俺も声を上げずにはいられなくなった。
「ティナ!」
ティナが大きな瞳から、ぽろぽろと真珠のような大粒の涙を零していたのだから。
「どうしたんだ、ティナ!」
「……ロック。不思議なの……わたし……」
彼女の両肩をぐっと抱き、強く声を上げると、ティナは涙を浮かべたままで俺を見た。
それから、ゆっくり言葉を紡ぎ出す。
「初めてよ。この力を使って、初めて会う人からたくさん、『ありがとう』って言ってもらえたの」
「ティナ……」
「あたたかいの、心が……。これが『嬉しい』って事よ、ね」
ころりと涙を一粒零して、ティナは。
今まで俺が見た中で、一番の笑顔を見せてくれた。

俺たちが、何となく和んだ雰囲気になっていたのを綺麗にぶち壊したのは、甲高い叫び声。
「ちょっと、ちょっとぉ!何でお姉ちゃんが、泣いてんのよっ!」
「へ?」
「お?」
「……?」
俺たち3人の動揺なんぞお構いなしで、確か昨夜の疲労で寝ていたはずのリルムその人が。
やたらと元気に叫んだかと思えば、力強い足取りでティナの所へやって来たと思ったら。
いきなり眉を吊り上げて、俺たちに向かって啖呵を切った。
「どうしたの?お姉ちゃん、もしかしてこの2人が何か、変な事でもしたの?」
「おい!?」
「リルム!お客様に向かって何という言い草じゃ!」
「だって、お姉ちゃんが泣いてんじゃないの!じゃあ、何よ!?」
……確かこの子は、昨夜あんだけぐったりしてた筈なのに……。
呆れるほどの威勢の良さに、どこかで安堵する自分がいて、おかしいと思った。
そして、ティナはというと。
「……あの、リルム。私なら大丈夫、よ。だって、悲しいわけじゃないんだから」
手を腰に当てて、威嚇でもするかのように俺たちを睨みつけているリルムに対して、慌て気味に弁解。
「え?そうなのぉ?マジメに?」
「ええ、本当なの。ありがとう、私を気にかけてくれて」
言うなり、白い手を伸ばして、リルムの頭をそうっと撫で始める。
「あなたはとても優しい子なのね」
「え、あ、う、ううん、そ、そんなんじゃない、よ」
正面切って褒められるのは、リルムにとっても羞恥心が沸くようで、彼女はたちまち赤面し。
俺はそんな彼女が、案外可愛らしいもんだと呑気に考えていた。
リルムはそのままティナに頭を撫でられていたが、急にはっとして、ティナに向き直ると。
「そうだ、ティナ、ゴメン!あたし、これ渡したかったんだ!」
「……え?」
「ハイ、これ!昨日のお礼、って言うにはちょっとしょぼいけど、さ」

はにかんだ表情で、良かったら使ってね、とリルムがティナに手渡したものは。
綺麗な押し花で作られた、栞。
「あのね、カンパニュラの花なんだよ。えーとね、『感謝』って意味があるんだ」
助けてくれたお礼だよ、と少し頬を染めながら、リルムが話す。
「結構綺麗にできたんだよ、ソレ。良かったら、使ってね」
「まあ、リルム……」
ティナは言葉を失って、俯く。
その様を見て、リルムは不安になったのか、彼女の顔を覗きこむと。
「ティナ?あの、もしかして、気に入らなかった?それなら別に……わわっ」
ティナの唐突な抱擁に、身動きが取れなくなった。
「リルム、ありがとう。本当に、嬉しいのよ。ありがとう」
リルムが少し動きにくそうにしていた事などお構いなしで、ティナは精一杯の感謝を伝え。
ずっと見ていた俺とストラゴス老人は、互いに目を合わせると、微笑みあった。


   *


ありがとう、と伝えます。
君には笑ってもらいたくて。

 

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シスターM
性別:
女性
自己紹介:
とうとう40代になった専業主婦。
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。
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