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ずっと旅暮らしだったお父さんの分も、お母さんを助けていたのかしら?と妄想してみました。
高級感漂う花ではなく、ご家庭の花壇で咲く花が似合いそうなふたりです。
「……へぇ」
春の花と言えば、チューリップで。
家の周りでも、たくさん植えてあったけれど。
目に止まったのは、思い出したから。
*
幼い頃母親が、家の前の花壇で育てていた。
雪が降る前に球根を植えるのを、毎年手伝って。
春には必ず色鮮やかに咲いたから、花壇の周囲を跳ね回って喜んで。
たまに帰ってくる父親も、花を見て笑っていた。
かつて確かにあった、幸せの象徴。
(……ティナも、喜ぶのかな?)
花を見ながら微笑んでいた、母親の笑顔を思い出して。
幼い頃の記憶のままに、少しずつ手折る。
丁度持っていた紐でさっと束ねて、形もそれらしく整えて。
「ん、よっし!」
我ながらいい出来だ、と満足した。
「たっだいまー!」
「バッツ、お帰りなさい」
コスモス陣地で元気に叫ぶと、ティナの高い声が届く。
ポニーテールがフワフワ揺れてるのが、ちょうど花みたいに見えた。
「バッツ、どうしたの?それ」
早速俺の持っていた花束に目を留めて、ティナが尋ねる。
俺はにかっと笑うと、ティナにそれを差し出した。
「綺麗だろ!これ、ティナに土産!」
「え、私、に?」
「そ!ホラ、手ぇ出して」
「え、きゃ!」
戸惑うティナの白い手に、ばさりと花束を渡すと。
ティナは瞼をぱちぱちと瞬かせ、かなり驚いている様子。
もしかして、嬉しくなかったのかな?との疑念が、俺の頭にわいたとき。
「バッツ」
ティナの声がして、ん?と思うと。
驚いたことに。
「……!」
「あのね、とっても嬉しいわ。ありがとう」
瞳がじんわりと潤んだティナが、優しい笑顔を向けていた。
*
思い出したのは、母親の笑顔。
父親が帰って来たときや、春に満開の花がさいたとき。
そう、目に涙を溜めて、笑ってた。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。