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花言葉だけで選んでみてます。
高山帯とかに生えていそうな植物だから、ファブールとかにあるかしら、と勝手に妄想。
セシルとティナとは、懺悔の人生を歩みそうな印象があるという点で、似ているような気がします。
儚いひとのための、花なのかもしれない。
*
新月の夜の、火の番人。
話し相手は星たちか、などと、元の世界の吟遊詩人が言いそうな事を考えて、自嘲気味に笑う。
(元気かな、彼)
大地を震わせるような美声と竪琴の旋律を、懐かしく思い出した時。
「……セシル」
恐る恐る話しかけてくるのは、玉を転がすような声。
「ティナ、どうしたの?眠れない?」
「ええ……。あの、いてもいい?」
「勿論構わないよ。話し相手がいてくれるなら、僕も嬉しい」
「……うん」
夜であっても、驚く程の軽装のまま、ティナが僕の隣へそうっと腰を下ろした。
むき出しの白い肩が寒かろう、と思ってマントを被せると、驚きの表情を浮かべる。
「あなたが寒いわ。私は平気」
「僕こそ平気だよ、鎧のままだからね。君こそ身体を冷やすのは良くない」
マントを返そうとするティナに、僕は少々強い調子で答えると。
彼女は一瞬躊躇ってから、それでも素直に頷いた。
「元の世界の仲間たちもそうだったけれど、慣れないわ、まだ」
「何がだい?」
「私の体調を、人のように気遣ってもらう好意が。優しさが」
───ああ、まただ。
世界でたった一つの、生命体としての孤独。
そして、あまりに苦し過ぎる、全てを与えられなかった環境。
凍りついたままの人生を、取り返す術はなく。
少女はずっと、自らを否定し続けている。
「ティナ」
僕にできるのは、少しでも、その苦しみを減らすように願う事だけで。
何を言ったとしても、彼女の孤独を分かち合う事などできるはずもないのだが、それでも。
「優しくされている、って思うと、君は嬉しい?」
尋ねてみると、ティナはしばし視線を彷徨わせてから、頷く。
「嬉しい、と思うわ。だって、温かいもの」
心が、とティナは言い、目を閉じて、自分の胸の前に両手を組んだ。
まるで祈りでも、行っているかのような。
数日後、遠出した先で偶然見つけた花を見て。
僕は彼女を、思い出した。
「……君に似ているね、この花は……」
そっと呟いて手を伸ばすと、ふるりと揺れるその姿が。
人の優しさに戸惑い、心震わせるティナにも見えて。
「こんな所まで、一緒なんだね。わかったよ、今度ティナをここに連れて来よう」
僕は花に囁いてから、背を向けた。
*
ふるりと震える、サンダーソニア。
花言葉は、祈り。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。