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彼は絶対器用だ!という思い込みが過多な管理人です。
それは俺のちょっとした、思いつきだったのだけれど。
「ティナ、これやるよ」
「……あの、フリオ」
「ん?」
「これは、何?」
彼女の質問に、正直戸惑った。
*
幼い頃、幼馴染たちと一緒に遊んだ野山や花畑。
当然のように花冠や花の指輪を作っては、互いを飾って楽しんでいた、記憶。
子供ならば誰もが一度は通る道、と想い込んでいた自分。
家族がいて、家があって。
食事をして、時には遊び、時には学んで。
そんな『日常生活』というものが、彼女の人生においては、全くなかったという現実。
18年もの、空白。
改めてその重さを、知らされる。
「───これはね、花冠って言うんだよ、ティナ」
俺が教えてやると、彼女は微かに「はなかんむり」と唇を動かし、言葉を反芻して。
「とても、綺麗ね」
ふんわりと、笑う。
同年代の他の少女、例えば元の世界の自分の幼馴染と比べて、その笑みはまだぎこちないけれど。
心を凍らされていた少女にとっては、漸く会得した、自分の素直な表現。
例えようもなく、湧き上がる想い。
「気に入ってくれた?」
「ええ。ありがとう、フリオニール」
声の調子が普段よりも弾んでいて、本当に嬉しいのだろうと思えた。
するとティナは首を傾げて、こちらを見る。
「ねえ、フリオニール」
「ん?どうしたんだ」
「花冠の作り方、教えてもらえる?」
素直な好奇心を秘めた、瞳に映る俺の表情は、思わず苦笑いしてしまいそうな程に緩んで。
自分で自覚している以上に、ティナと一緒にいる時間を楽しんでいるのだと、自覚した。
「勿論だよ、ティナ」
「本当?ありがとう」
ティナは目元も綻ばせ、本当に嬉しそうに、笑った。
そして、彼女の初めて作ったちょっと歪んだ冠は、俺の頭上に。
「ありがとうな、ティナ」
礼を言うと、ティナはふるりと首を振り、言った。
「私が『ありがとう』なの。だって、誰かに手作りの贈り物をしたのは、初めてだから」
こんなに温かくて、嬉しい気持ちを教えてくれて、ありがとう、と。
ティナは柔らかい声で、教えてくれたから。
俺は不思議な程に、涙を堪え、頷いた。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。