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10月といえばコレだろう!という感じになってしまいまして。
ロクティナは甘くしたかった、のになあ。
本当に、申し訳ありません。
※現代パラレル的な要素がありますので、苦手なお客様は閲覧をご遠慮願います。
ティナの誕生日は、ほぼ毎年お決まりのように、昼間に仲間うちで盛大に祝ってから、夜は2人でささやかにディナーを囲む。
それから(ティナが楽しみにしてくれている)俺の手作りケーキで、お茶を楽しむ。
今年は秋らしく栗のシフォンケーキを作り上げ、大好評を博してかなり気分も良い中。
「ねえ、ロック」
マグカップ片手に、ティナが。
「私ね、この日が来る度に思うのよ」
「何を?」
「自分の誕生日が18日で良かった、15日じゃなくて良かった、って」
彼女にしては大変珍しいことに、ずいぶんと悪戯っぽい笑みを浮かべつつのたまった。
「何で?」
唐突な台詞の意味を理解できずに、首を傾げる俺。
15日と18日じゃ3日しか違わないのだし、星座だって一緒だから、大して変わりはないだろうに。
すると、俺があまりに不思議そうにしていたのがおかしかったのだろう、紅茶を置いたティナが吹き出す。
「まあロックったら、うふふ」
「仕方ないだろ、気になっちまうんだから」
付き合いも長い恋人同士とはいえ、一応年下である彼女に、自分の行動を笑われるのはあまり気分の良いものではない。
(実際のところ、ティナに関してはこんな事が滅多にないので、むしろ驚きすら感じるが。)
「で、何でそんな事言うんだ?」
ティナのくすくす笑いが治まったところで、改めて質問すれば。
彼女はちょっと眉間に皺を寄せ、困ったような笑みを見せた。
「あのね、ごめんなさい。先に謝っておくわ」
「は?」
ますます意味がわからない台詞に、間抜けな返答をしてしまった俺を、何故か気の毒そうに見つめ。
ティナは口を開くと、正解を教えてくれた。
「10月15日って、『キノコの日』なんですって」
「………………マジで………………?」
単語を耳にしただけで悪寒が走る、俺にとっては天敵ともいえる『ヤツ』。
もし万が一にでも、恋人の誕生日が『ヤツ』の日と一緒だったというならば、俺は盛大に祝うなんて事できないかもしれない。
考えただけで、吐き気をもよおしそうだった。
「ロック、ごめんなさい」
耳に届くティナの優しい声と、頬にそっと当てられた手の温もりを感じて、俺ははっとする。
いつの間にかティナが俺の目の前に立ち膝でいて、顔を覗き込んでいた。
「顔色が良くないわ。私がおかしな事を言ってしまったせいね、本当にごめんなさい」
悲しげな色を宿した紫水晶が、どうやら青ざめた顔をしているらしい俺を、映す。
(実際にモノが目の前にあるわけでなし、ヤツを想像するだけで具合悪くしてる俺って、どんだけだ……)
最愛の彼女の誕生日だというのに、この体たらく。
己の情けなさに心の中で反省しつつ、ティナの華奢な体をぎゅっと抱き締めた。
「きゃ、」
唐突な抱擁に軽く上がる悲鳴も、愛する人のものなら可愛らしく聞こえて、しかもその子は自分の腕の中で。
さっきまでどん底だった気分もすっかり浮上し、口角も自然と上がる。
「俺こそごめんな、ティナ」
「え?」
可愛らしい耳元にそっとキスしてから、俺は。
「とりあえず、ヤツの形の菓子ぐらいは克服すっから」
恋人を抱き締めたまま、今ひとつ決まらないけれど俺にしては壮大な決意を、口にした。
すると、腕の中で。
「……無理、しないでね」
小春日和の如き優しさを称え、ティナが、笑った。
*
おめでとうを、君に。
そして。
頑張れを、俺に。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。