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で、クリスマス的小話には、基本に戻って7×6で。
『本編後6で同居』の脳内設定を引きずる拙宅ではあるのですが、この小話では7の世界でも支障なし。
と申しますより、クラティナで幸せそうだったなら、万事OKだと思っています(爆)。
『オラシオン』
聖夜の夜、降る雪を、眺める。
*
救世主がこの世に生まれし、その日に。
懺悔の祈りを捧げるのは、私だけの習慣。
操られていた、意識すらなかった、弁解はいくらでもできるけれど。
それでも消えない、私の行い。
せめて魂が、光を見つけられるように。
ただ、祈るだけ。
「俺も行く」
「クラウド?」
例年と同じように支度を整え、出かけようとした私を引き留めて。
彼は、コートを引っ掛ける。
「あんたと共に、生きると決めたんだ」
一緒に背負わせろ、何もかも。
「……ありがとう」
「礼はいらない」
軽く、でもしっかりと握った手が、温かい。
静かな空間に、滑るようなオルガンの音色。
蝋燭の明かりが、溶けていく。
自分の隣、目を閉じるクラウド。
心のうちには、何を思っているのか、わからないけれど。
きっと彼も、祈っている。
(私も、)
自分で奪ってしまった、命のために。
戦いの中に散った、大切なひとたちのために。
今は欠片すら残らない、同胞たちのために。
……心壊され、愛を忘れた、悲しい男のために。
ただ、光を。
「熱心に祈っていたな」
「え?」
「大事な相手がいたのか?死んだものの中に」
クラウドの問いに、頷く。
「一緒に戦ったひとたちも、同じ血を持つ仲間たちも」
そして私が、この手で止めた、あの人も。
「……そうか」
彼は一言だけ呟いて、空を見上げる。
「ティナ、寒くないか」
「ええ」
「……顔色が悪い」
「え?」
強く引き寄せられ、気づけばクラウドに包まれて。
胸から直に、穏やかな声が届く。
「俺はずっと、あんたと一緒だ」
「クラウド」
「苦しさも悲しみも、隠すな」
「……」
「ずっと、こうして傍にいる」
───だから今は、何も隠さないでくれ。
諭すような優しい声は、泣きたくなってしまう程で。
ありがとう、と吐息のように呟いて、目を閉じる。
凭れ掛かった胸から届く、規則正しい鼓動。
傍にいてくれる証に安堵して、涙腺が緩んだから。
少しだけ、泣かせてもらった。
「ありがとう。もう、大丈夫」
「そうか」
少し腫れぼったくなっているであろう瞼に、優しく口づけが落とされて。
手を繋いで、家路を辿る。
「ティナ」
「え?」
「雪だ」
言われるままに顔を上げると、空から音もなく。
「綺麗、ね」
「ああ」
「貴方と見る雪は、温かいわ」
私を見つめるクラウドに、笑いかけて。
ありがとう、と言葉に出してから、白い頬に口づけた。
*
降る雪を眺めても、寒くないのは。
貴方が共に、いてくれるから。
愛をくれる、貴方がいるから。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。