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気づけばもう今年も残すところあとわずかですね。
年賀状受け付けも始まっちゃったんですね。イヤ、管理人は手付かずですけどね。
久々に、空飛ぶ青い何か。様から拝借した「空と青で33のお題」から。
このタイトルで古代城(Ⅰ)を思い出したんですが、全くそれを上手に書けなかったです。
本当に申し訳ない限りです…。
23 天空にそびえ立つ古
導く、ものか。
誘う、ものか。
それとも。
*
全ての過去を失ったまま、ここで戦う毎日。
不安がない現状にこそ、抱くのは、己という存在の不安定さ。
本来ならば、自分自身を知らぬことなど、あってはならぬ筈なのに。
『今』しか認識できていない現状を、ただ許容している己に、眉を顰める。
「不思議ね」
私の話に耳を傾けていた、異世界の少女は、ひと言だけを呟いた。
「不思議、とは」
「貴方のこと」
他の仲間と比べても格段に珍しい、艶やかな緑の髪を持ち。
他の仲間とは比べようもない程強大な、魔導の力を有する少女が。
私をじっと見つめ、言葉を続ける。
「私は不安よ。この世界に来た理由も、戦う目的も、まだ曖昧」
「……」
少女の言葉に不審はなく、黙って続きを促すと、彼女は更に。
「貴方の心は、凪いだ海のように、落ち着いているわ」
「落ち、着いて」
「ええ」
意図しない喪失では、ないのかも、しれない。
されど。
最後に彼女が発した言葉は、身の内へ、響く。
(……わたしは、一体、)
全てがない状態だというのに、怯えはなかった。
いや、「怯え」を知らずにいたのか。
(……わたしは、なんだ?)
「ライト、見て」
少女が示す方角に、ぽかりと浮かぶ、建造物。
今まで見たことのないそれに、何故か、鼓動が高鳴る。
(はじめてだ、こんな感覚)
わたしはあれを、知っているのか。
何も覚えていないわたしが、あれを。
「……ライト」
ティナの静かな声が背に届き、振り返る。
「行きましょう」
「ん?」
「あの、建造物へ」
白い指先が、空に浮かぶ。
「きちんと調査すべきだわ」
無表情に近い、少女の瞳は、どこまでも静かに。
今まで経験した事のない鼓動の高鳴りに、動揺するわたしを、映す。
「……行こうか」
空を見上げた私へ、少女は頷いて。
私が貴方を連れて行くから、手を出して、と白い手を差し出して来た。
初めて触れた彼女の手は、硝子細工のように、脆そうで。
されど、生命のぬくもりを、確かに宿していた。
*
そびえ立つものへ。
いざ。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。