[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
こんばんは、管理人です。
な、何とか14日中のアップができました…。
すみません、本日はこれにて…(沈)
『3月、ささやかにお礼。』
受け取って、欲しいから。
*
先月、隣人からバレンタインに菓子を貰った。
……まあ実際は、強奪したようなものだったけれど。
(本当に貰えるとは、思っていなかった)
ちょうど隣人の帰宅時間と一緒になった、偶然の会話の中で。
良かったら、と笑顔を添えて贈ってくれた、彼女の手製菓子。
料理教室のアシスタントとして働いているという隣人の腕前は、勿論プロ並み。
華美ではなく、しかもセンスの良さが伺えるラッピングも併せて、手製と言うのに驚い
た。
お世辞は抜きで、売りに出せる、と下世話な事を思ったのは、俺の秘密。
実際のところ、初めて口にした隣人の手製の品は、絶品だったし。
ここで、俺はひとつの難問を抱える事となったのだ。
(お返しを……するべき、なのだろうか)
何せ菓子を貰った経緯からして、俺の軽い発言を丁寧に聞き入れてくれた隣人の好意。
それは「お裾分け」の範疇で、特定の個人に対する好意を示すものではない。
俺がわざわざ礼などすれば、彼女に無駄な気遣いなど起こさせはしないか、と。
傍から見れば下らない事柄に対して、悶々と悩んだ。
が、しかし。
「相手が負担に思うとか、そういう事じゃないでしょう?」
悩む俺の話を親身に聞き入れてくれて、助言を与えてくれたのは。
事務所の有能な社長秘書にして事務職員の、イリーナで。
俺が悩んでいるのを見咎めて、こっそり解決できないかと思案してくれていたらしい。
イリーナは俺の話を一通り聞いてから、まずは、と前置きして発言。
「感謝の気持ちを持つかどうか、そしてそれを伝えたいか。そこから始まるわ」
「感謝、か」
「そうよ」
鸚鵡返しのような俺の返答にも、彼女はしっかり頷いて。
「相手の方のご心境はともかくとして、貴方は嬉しかったんでしょう?クラウド」
俺の心理を見抜いて、ずばりと指摘。
ぐうの音も出ない俺の表情をちらりと見るや、溜息を漏らして。
「すごく判りやすいわ、貴方の考えは」
「……そうか」
「ええ。嬉しくて仕方ない、という顔ね」
これなら間違いないと思うわよ、とイリーナが太鼓判を押したのは。
最近ミッドガルで流行っているという、新感覚のスイーツ、らしい。
プラスアルファは自分で何とかしなさいよ、と背を押されて、俺は首を捻り。
結局選んだのが、彼女の長い髪を束ねるためのバレッタという、捻りのなさ。
多少自己嫌悪に陥りつつも、日曜だという事で彼女が在宅している事を祈りつつ。
隣家のインターフォンを鳴らすと、程なく柔らかな声が届いて、安堵する。
「休日にすまない、隣のストライフだ」
『え?まあ、すみません、すぐ参ります』
その返答どおり、間を置かずにやって来たティナの笑顔に、思わず顔がにやけるが。
何か御用でしたか、と首を傾げる少女に対して、まずは礼をせねばと顔を引き締める。
「すまない。これを、あんたに」
「え?」
「先月の、お返しだ」
俺の言葉に目を丸くした彼女は、しばし固まって後、頬を染めて。
「あ、あ、あの、ありがとうございます」
私こういうお返しっていうの、あまり頂いた経験もなくて、すみません、と。
すっかり恐縮させてしまった事が、申し訳ない。
「俺こそ済まなかった、驚かせて」
俺も慌しく謝罪を述べて、その場を辞そうと思ったが、その時彼女の声が届く。
「あ、あの、ストライフさん」
「ん?」
「その、良かったら、お茶でもいかがですか?」
せっかくお持ち下さったお菓子ですから、良ければご一緒に、と。
相変わらずの笑顔で以って、言ってくれるものだから。
俺は断る選択肢を敢えてシカトし、頷いた。
*
受け取って欲しかった、俺の想いは。
受け取って貰えている、のだろうか。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。