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勢いだけでとりあえず開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。DDFF及びFF6にて魔導の少女を溺愛する駄文を羅列いたします。
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2024/11/22 (Fri) 01:55
Posted by シスターM
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このシリーズを更新するのは…いやー、半年以上経ってますね(爆)。
しかも今更なバレンタイン創作ってどうなんだよ、と突っ込みは怒涛の如くと思われますが。
その辺りは、気紛れな管理人故、ご容赦を。

ちなみに、まだ交際前である感じのイメージです。

 受け取って、くれますか。


   *


(今年はそういえば、日曜日なのね)
卓上カレンダーを何の気なしに眺めてて、気付いたこと。
年に一度の、バレンタインデー。
職場ではきっと、毎年の恒例で、先生がガトーショコラを振舞って。
意地っ張りのあの子は、それでも彼氏へしっかり手作りチョコをあげて。
もう片方の仲良しカップル以上に、楽しくひと時を過ごすのだろう。
と、そこまで考えて、はたと気付く。
「………………そうだ、バレンタインデー、どうしよう」
自分の事を完全に棚に上げていた、不覚。
遠い異国に住む父親へは、明日にでもチョコを贈る手配をすれば完了だが。
所謂『友チョコ』について、全く考えていなかった。
(どうしようかしら……)
私は顔面蒼白で、慌てて家にある本や資料をひっくり返した。

結局何を作ればいいのか思いつかぬまま、まずは材料の品定めをする事にした。
よく顔を出す百貨店の特設売り場は、文字通りの混雑をしていて。
手作り用の材料コーナーも、普段より充実している。
職場での食材の仕入れがあるため、通常は問屋から食材を買い入れる事も多いが。
何しろ業務用であるため量が多過ぎて、さすがに家では消化しきれない。
(クーベルチュールを5kg、なんて貰っても困ってしまうものね)
ラッピング用品まで取り揃えられた売り場を眺めつつ、思案に耽る。
「……あ」
その時突然に、頭の中に閃くものがあった。
(そうだわ、あれなら)
私は頭の中で思いついたもののレシピを確認し、材料を購入。
可愛らしいラッピンググッズも無事確保して、うきうきと帰宅した。

当日14日は日曜日とあって、職場でチョコを配るのは、前日の13日。
私が用意してきたのは、スノーボールクッキーのココア入り。
しっかりしたチョコ菓子が多い中、軽い口当たりでいいかも、と閃いた一品は。
思った以上に高評価をいただいて、ひと安心。
もちろん他のスタッフも、ケーキ・生チョコ・トリュフなど様々な品を用意。
一日で、驚く程チョコ菓子が充実したと思う。
たくさんチョコが入った袋を抱えたまま、帰りがけに友人のティファに会って。
彼女ともちゃんと、チョコの交換を行なった。
(それにしても、こんなにチョコレートばかりだと、太っちゃうかも)
嬉しさよりも体重を気にしてしまうのが、ちょっと悲しい。
そんな気分とチョコの袋を抱えて自宅に着いてみると、ちょうど隣人が帰宅。
「あ、ストライフさん、こんばんは」
声をかけると、先方は目を瞠ってから、微かに笑みを浮かべてくれた。
「こんばんは。あんたも今、帰りか」
「ええ。そちらもお仕事お疲れ様でした」
他愛ない会話を交わしつつ、エレベーターを待つ。

「ところで凄い量の荷物だな、今日も」
クラウドさんは、私の手に提げたトートバッグを見て微笑む。
何だか少し恥ずかしいなあ、なんて思いつつ頷いて。
「今日職場で、バレンタインチョコの交換したものですから」
「交換、するものなのか?」
私の回答に対して、彼が首を傾げるのも、当然といえば当然だろう。
「お互いの腕試しな感じもありますね。何せ料理教室ですから」
「ああ、なるほどな」
クラウドさんは一通り聞いて納得してから、あ、と呟いて眉を潜める。
「そうか……バレンタインか」
「ストライフさんでしたら、ファンの方からたくさん戴くんでしょう?」
いかにも嫌そうな反応が気になりつつ、訊ねてみると。
「そうだな、バンド全員分の合計が、3トントラック一台分ぐらい、か」
「……想像もつかない量なんですね……」
さすがは世界に名だたる超人気バンド、だと心から思った。
「でも、そこまで行くと個人が食べられる量ではないですよね?」
「基本的に俺たちは、ファンからのチョコは一切口にしないんだ」
全て施設へ寄付すると宣言している、それでもチョコを贈ってくれるファンは有難い存
在だ、と教えてくれた。

やがてエレベーターが到着し、その中でも会話が続く。
「ところでティナは、どんなチョコを作ったんだ」
「あ、私はちょっと捻りましたよ、スノーボールクッキーですから」
スノーボールというものについて説明すると、クラウドさんは。
一度食べてみたいな、と話してくれたので。
「良かったら、おひとつ召し上がっていただけます?」
私は、ちょうどひとつだけ残っていた、自作のスノーボールを差し出す。
するとクラウドさんは、目を瞠ってから、手を出して受け取ってくれて。
「いいのか?俺が貰ってしまっても」
丁寧に確認まで取ってくれたので、私も嬉しくなって頷く。
「はい、もちろんです。あの、今度、感想聞かせていただけますか?」
「ああ、喜んで。ありがとう、ティナ」
クラウドさんは、驚く程綺麗な笑顔で、お礼を言ってくれた。
では、とご挨拶してから自宅の鍵を開け、家に入って。
やれやれ、と自分の荷物を置いてから、鏡を見る。
(え、ちょっと、やだ!私ったら、顔がにやけちゃってるわ)
自分があまりに締まりない顔をしていた事に、唖然とした。
幸運な偶然が重なった事で、思いがけず、クラウドさんにチョコを渡せた事で。
必要以上に心が弾んでしまっているのかも、しれない。
(あちらだって、社交辞令で言って下さっただけなのに)
ご迷惑ではなかったのか、と今更になって気分が沈んでいくが。
それでもさっき「ありがとう」と微笑んでくれたのは、本当だから。
私は結局、『彼が受け取ってくれた』という事実だけで、嬉しいのだと実感し。
沈んだ気分はあっと言う間に急上昇し、どうしようもなく顔がにやけて。
頬が軽く、熱を持った。


   *


 受け取って、くれますか?
 ささやかな、気持ち。

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シスターM
性別:
女性
自己紹介:
とうとう40代になった専業主婦。
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。
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