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勢いだけでとりあえず開設した二次創作保管庫です。「二次創作」をご存知ない・嫌悪を覚える方は閲覧をご遠慮ください。DDFF及びFF6にて魔導の少女を溺愛する駄文を羅列いたします。
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2024/11/22 (Fri) 19:44
Posted by シスターM
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こんにちは、管理人です。


えー、まずお断りしておきます。
こちらに掲載した駄文は先月掲載した現代パラレル創作の続編ですが、某様からリクエストのありました「バツティナ的七夕」でもあります。
予定外のリクエストだった事もあり、此度はこれ以上のものが考えられなかったので、どうぞご容赦ください。
よろしくお願い申し上げます。


と、いう事で、所謂パラレル設定が苦手な方は、閲覧時に十分ご留意願います。

───七月七日、雨。

 


『催涙雨』

 


互いの休みが重なった、今日。
本当は、朝からティナと出かける予定を立てていた。
久し振りに車を飛ばして、互いの愛犬も引き連れて。
さすがに泊まりは無理だけれど、郊外の自然公園まで。
新しく出来たと宣伝してたドッグランが、楽しみでもあった。


ああ、それなのに。


今朝は朝から雨模様で、ベランダも一面水を被っている始末。
「……タイミング悪いなぁ、ボコ」
「クゥン……」
自宅マンションの窓の外、灰色の空を眺めてぼやく俺の足元で。
俺の愛犬・ボコが、いかにも悲しげに声を上げる。
この日を密かに無茶苦茶楽しみにしてた俺の、心の沈みようが伝わるのか。
ボコすらも、落ち込んでいるように見えて。
俺は笑みを漏らすと屈み込み、ボコの頭を撫でてやった。
「どうすっかなー、今日は。ティナに電話して、室内ドッグランでも予約すっか」
ボコに聞かせるように呟いたところに、携帯が専用着うたを高らかに歌い出す。
「お、あっちから先に来たか!いっけね」
俺は慌てて電話を置いてあるテーブルへと駆け寄り、通話ボタンを押した。


「もしもし?」
『あ、もしもし、おはようバッツ』
朝一番で耳にしても柔らかく馴染む、とても可愛らしいティナの声。
癒されるよなあ、なんて思いつつ、俺は彼女へ尋ねる。
「生憎の雨になっちまったなあ。今日さ、どうする?」
『本当ね、残念だわ。せっかく一緒にお出かけできると思ったのに』
溜息を交えた彼女の声に重なるように、彼女の愛犬・モグの声。
どこの飼い犬も、飼い主の落胆を感じ取る能力に長けているらしい。
「君さえ良ければ、どっか屋内のドッグランにでも行ってみっか?」
『うーん……それもいいのだけれど……』
「あれ、どうかした?」
俺の誘いにもやや消極的な回答のティナに、訊ねてみれば。
『ええ。実は、今日はせっかくのお出かけだからって思って、前の日からお弁当作っちゃってて……』
大変予想外な、回答を得た。


「え、マジ?」
『本当よ』
(ティナの手作り弁当……うわー、食いてぇ)
その時俺の頭の中に閃いたのは、あまりに無茶な思いつき。
「じゃあさ、ティナ。それ、せっかくだから持って来て」
『え?』
「だってせっかく今日のために作ってくれたんだろ、俺も超食いたいよ。あ、そうだ、ティナってさ、朝メシもう食ったの?」
戸惑うティナに、俺は矢継ぎ早に質問を浴びせる。
すると彼女は、困惑したような調子ながらも答えてくれた。
『い、いいえ、軽く口にした程度だから』
「よっし決まった!実は俺が、まだメシ食ってないんだよなー。あのさ、今からそっち迎えに行くから、どっか適当に車停めて、車中ブランチってのはダメ?」
『え……?』
「腹減ってる時に、美味そうなものの話聞いちまったらさ、マジで我慢できないんだよなー、俺。どう?」

 

    *

 

そして、結局。
戸惑いながらも了承してくれたティナを、指定された自宅前まで迎えに行き。
結局辿り着いたのは、俺の家のリビング。
ティナやモグを家に上げたのは初めてだったから、こっちが無駄に緊張したが。
やはり人間、食い物の前では緊張など吹っ飛ぶらしい。
何よりも、俺とティナの飼い犬同士が、家に来た途端はしゃぎ始めて。
緊張よりもまず先に、二匹を宥めるのが大変だったのだけれど。


犬達の興奮が収まった頃には、ティナが手際よくテーブルを整えてくれていた。
「うわ、美味そうっ!いっただきまーす」
「口に合えばいいけれど」
大型の二段ランチボックスには、色んな味付けのお握りや、俺がリクエストしたハンバーグや、アスパラのベーコン巻きやら、かぼちゃの茶巾絞りやら、見た目もやたらと美味そうな料理がぎっしり。
俺はさっそく鮭そぼろのお握りをひとつ摘んで、齧りつく。
「……美味い!やっぱりティナって料理上手だったんだな!」
「そ、そんな事はないわ。あの、バッツ、お茶もちゃんと飲んでね」
喉に詰まらせないでね、と言い添えて。
ティナは持参して来たお茶をカップへ注ぎ、添えてくれる。
その間にも、俺はフードファイター的な勢いで弁当を平らげて。
ティナはそんな俺を見て、いかにも楽しげに、ふふ、と微笑んだ。


「……あー、美味かった!ごちそーさん!」
「お粗末様でした。でも……バッツって、食欲旺盛なのね。知らなかったわ」
「ん、そーか?」
驚きの声を上げるティナの視線の先に、空になったランチボックス。
……確かに、ちょっと食い過ぎたかもしれない。
「イヤ、だって本当に美味かったからさ。機会があったらまた作ってくれよ」
「え?ええ、それはもう、喜んで」
笑顔で応じてくれる彼女に、俺はますます上機嫌。
にかっと笑みを見せてから窓に視線を移し、ふむ、と首を傾げる。
「サンキュー。……さて、まだ雨は止まないぞ、と」
「本当ね。催涙雨だわ」
ティナも俺と同様に外を眺め、少しだけ表情を曇らせた。

 

「催涙雨?」
「七夕に降る雨の異名よ。織姫と彦星が会えない事を悲しむ、涙なんですって」
「へぇー……」
ティナに言われて、初めて、そういや今日は七夕だった、と思い出す。
職場の入院病棟でも、子どもたちが色とりどりの短冊を壁に貼っていたのに。
「涙っていうには、ちょっと勢いあり過ぎなぐらいだよなあ」
「それだけ織姫と彦星の悲しみが、深く辛いものだっていう事かしらね」
俺の呟きに、ティナは苦笑しつつも応じてくれて。
その笑顔の優しさに、温かな気持ちになる。
「……ま、俺らはこうやって、会えたけどな」
「うん、そうね。私たちは会えたわね」
良かったわ、と付け足して、笑みを深めるティナを見て。
俺は大きく頷いてから、屋内ドッグランの空き状況を確かめるべく、携帯を手に取った。

 


    *

 


お空の上の2人には、ちょっと申し訳ないけれど。
こっちは雨でも、お構いなしに、デート中。


勿論、楽しいぜ?

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◆ 無題
面白かったです。
私も、以後気を付けたいと思います。
毎日読みに来ますので、宜しくお願いします。
ティファ・ロックハート 2009/07/08(Wed)19:12:51 編集
コメントありがとうございました
大変申し訳ありませんが、これにてご納得くださいませ。
これからもよろしくお願いいたします。
シスターM  【2009/07/10 22:34】
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シスターM
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女性
自己紹介:
とうとう40代になった専業主婦。
二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。
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