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くれぐれも、よろしくお願いいたします。
最近更新ペースが常人並になってきた管理人です、こんばんは。
7月6日をクラティナの日、と位置づけて色んな素敵作品をアップされたサイト様、多いですよね!
拙宅はちょっと余裕がなかったですよ(涙)
まあ、素敵作品は他の皆様のサイトでご堪能いただくとして!ですね。
大変遅くなりましたが、30000HITキリリクの「7×6か8×6で夏の話」を漸くアップです。
リクエストを下さった時雨様からは、現代パロも可能だとの大変嬉しいお言葉を戴いたのですが、敢えて「7×6でゲーム中っぽく」を意識した結果、見事に大失敗感丸出しな1作に(汗)
時雨様、力及ばず大変申し訳ありませんでした。
ご希望があればすぐにでも書き直しさせていただきますので、是非ご一報を!
なお、蛍=夏、のイメージは管理人の勝手な思い込みという部分があろうかと思います。
有名なゲンジボタルが6月中旬に活動してるせいだとは思うんですが、夏中ずっと活動しているので大丈夫かな?と思い、敢えて選んでみました。
その旨、どうぞご了承願います。
灯火よりも密やかに。
篝火よりも艶やかに。
燃ゆる、炎は。
『蛍火』
新月の夜を、ティナと並んでゆったりと歩む。
少し歩かないか、と誘った俺に、少女は表情を緩めて頷いた。
感情を表現するのは苦手だという彼女の、そんな変化に嬉しくなる。
「静かね」
「ああ」
たまにぽつり、ぽつりと互いの気配を確かめるように、言葉を紡いで。
静寂が支配する空間で、饒舌になる必要などなく。
ふたりの纏う空気が混ざり合うのを感じ、それだけで安堵する。
世界には、自分だけではないとわかるから。
「……あ」
ティナが不意に声を上げ、ぐるりと顔を巡らせる方向を、視線で追って。
空を漂う微かな光に、納得する。
「蛍だな」
「ほたる?」
「俺の世界にいた虫だ。羽化から2週間程度、儚い生命を懸命に生きる」
俺は頭の中から知識を引き出して、教える。
「雄も雌も、互いの伴侶を探すために光る、という説が有力だ」
「とても柔らかな光ね。それに、あたたかい」
微風のように囁くティナは、気配までどこか儚い。
「あたたかい?」
疑問調だった俺の言葉に、ティナは頷く。
「とてもあたたかくて、優しいわ。誰かを傷つける光じゃないもの」
彼女らしい感じ取り方を述べ、蛍の光を眺める。
ちょうどひとつの光が、俺たちの間をすうっとすり抜けていくと。
少女は光を目で追いかけてから、そっと目を細めた。
「自分を知らしめるための、誰かに見つけてもらうための、光でしょう?」
まるで彼らの言葉みたい、と慈しみのまなざしを注いで。
「素敵な相手が、見つかるといいわね」
飛び交う光へ囁きかけて、微笑む。
「ねえ、クラウド」
不意にティナが、口を開く。
「ん?」
「私、元の世界で、ある人に聞いた事があるの」
彼女の過去は幾度か耳にしたけれど、口にするときの表情はいつも辛そうで。
「『人間と私は、愛し合えるのかしら?』」
「……ティナ?」
「───お父さんは、お母さんを見つけてくれた」
あまりに白い肌は、蛍の仄かな明りでも白く浮かび上がる程で。
どこか不確かな存在感が、俺を戸惑わせる。
「元々出会う事がなかったふたりが、出会えたのは……運命なの?」
「……」
「お父さんとお母さんが、短い期間しか幸せでいられなかったのも、運命?」
「……ティナ」
彼女の声の調子が強くなっていくのが、不安で仕方なくて。
俺は無意識に声を大きくして、少女の発言を制しようとしたけれど。
少女の声は興奮のためか震え出し、大きくなっていく。
「私が……私がここで、あなたと出会ったのも、そうなの?」
「ティナ、落ち着け」
「いずれ必ず元に戻らなきゃいけなくて、お別れしなくちゃいけないってわかってて。
なのに、なのに、私」
「落ち着け、ティナ!」
俺は慌てて彼女を抱き締め、腕の中へと閉じ込める。
突然の抱擁に驚いたのか、少女の体は硬直し、向き出しの肩は冷たくて。
冷たい肌に自分の熱を伝えたくて、抱き締める力を強めた。
「……」
「先の事は、俺にもあんたにも、他の誰にもわからないんだ。今あれこれ思い悩んでも
、答えなど出ない」
俺は言葉を選びつつ、震える少女へ囁きかける。
「なあ、ティナ。あんたは俺と、出会わないほうが、良かったか」
「クラウド!?」
俺の言葉に驚いたのか、鋭い声を上げて顔を上げるティナ。
不安げに揺れる紫水晶は、無器用に笑う俺をくっきりと映し出す。
「俺は……あんたと出会えて、本当に良かったと思っている」
「え」
「もしかしたら、明日には別れるのかもしれない。それでも今のこの時間は、かけがえ
のない時間だ。あんたと共にいられるんだからな」
あんたはそうじゃないのか、と尋ねてみれば。
少女は微かに首を振り、私も幸せだ、と呟いた。
ああ、ほら。
あんたのその言葉だけで、俺はもう。
「約束を交わそう、ティナ」
「え?」
戸惑うティナの頬を包んでいた手をずらし、俺は彼女の髪へと触れて。
髪を飾る宝玉を、ひとつ失敬。
それから自分の耳へと手をずらし、ピアスを外して。
ピアスの金具を外してから、石だけを少女の手に握らせる。
「クラウド?」
首を傾げる少女の手を握らせて、握り拳の上から口付ける。
「俺たちは蛍じゃないから、自ら光ることはできないだろう?だから、その代わりだ」
「クラウド」
「いつか別れが来ても、互いを呼び合う事ができるように、探す事ができるように。そ
のための約束だ」
だから無くすなよ、と念を押すと。
少女は握った拳をしばし見詰めてから、ふわりと微笑み。
「……ええ、クラウド。必ず持っているわ、私」
潤ませた瞳を俺へ向けると、誓うかのような調子で述べた。
「俺もだ。必ずなくしたりしない。必ず……」
俺も彼女の耳元へ誓うように囁いてから、そこへ軽く口付けて。
真っ赤に染まる少女の頬へも、唇を寄せた。
*
灯火よりも密やかに。
篝火よりも艶やかに。
蛍火よりも鮮やかに。
俺と、少女の互いの想いは。
絡まり合って、燃え盛り。
誰にも、止めさせない。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。