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このお題のイメージを拝見したとき、ちょうど5のリプレイ中だった事もあり、あっさりバッツに決定。
歴代主人公の中では印象が薄いといわれるのが、バッツなんでしょうけれど。
私は大好きなキャラクターなんですよねぇ。
かたちのない、思い出。
*
譜面も何もないけれど、繰り返し奏でられる旋律。
弾いているのが彼だとは、正直思わなかったが。
一曲が終わったとき、ほぼ無意識に拍手をした。
「!……クラウドか」
びっくりさせんなよ、と普段通りの快活な笑顔で話すバッツ。
「驚いたのは俺の方だ。あんたがピアノを弾けたとは、な」
「へっへー、これでも一応ピアノマスターだもんね!吟遊詩人もやってたしな」
俺の指摘も意に介さず、Vサインまで送る始末。
ほとんど年に違いはない筈なのだが、これ程までに楽天的な相手には、正直戸惑う。
ふと頭に過ぎった疑問を、口にした。
「そういえばバッツ、さっき弾いていた曲は何と言うんだ?」
「あ、さっきのか?」
うーん、と腕組みして思案する事約10秒、バッツはお手上げといった感で両手を上げて。
「悪い、わかんねーや。俺もガキの頃から耳で聞くだけの曲だったからさ」
「……そうか」
「うん。お袋が大事にしてたオルゴールに入ってた曲だったんだ。もう、誰も知らないからなー」
視線を空へ彷徨わせ、遠い目をするバッツ。
その姿は年相応、いやそれ以上の空気を作り出していて。
陽気な印象とは裏腹の、彼が隠し持つ陰の部分に触れたような、不思議な感覚。
声をかける事すら、躊躇われて。
そんな時、微妙な空気を破る声。
「あの、ごめんなさい、いいかしら」
おずおずと、躊躇いがちな小声の主は、ゆっくりとバッツへ歩み寄る。
俺でなくとも、そんなティナを見て、声をかけずにはいられなくなるのは当然で。
「ん?あれ、ティナ。何かあったの?」
バッツが慌てて尋ねると、彼女は少し俯いてから、首を傾げた。
「さっき、バッツが演奏していたのかしら、って思って」
「ああ、ピアノの事?そうだよ」
答えを告げられると、ティナの表情が輝く。
「とても素敵な音だったわ。あの、できればもう一度、弾いてもらえないかな、って思って……駄目かしら」
「え、気に入ってくれたの?」
バッツの問いかけに、珍しくティナがすぐに頷くと、バッツは目に見えて表情が輝いて。
「よっし!んじゃ、ティナに似合うような可愛い曲を弾いてやるよ!」
「……ありがとう、バッツ」
ティナまで釣られるように、笑っていた。
*
奏でられるのは、優しい想い。
(お題配布元:恋花─こいはな─様)
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。