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つまりは明日に順延となったわけで…おーまいがー弁当がー(爆)
応援が自分ひとりなので、きっと物凄く手抜きが確定です。
実は家に戻って食べるという業もあり<家から学校徒歩1分
苦手を克服してみようか、と思い立って9絡みを1作。
キャラクターを全くつかめていない状況の執筆ですので、キャラ像の違いについては深くお詫び申し上げます。
しかも甘さゼロ…もといマイナスですんで(えー)
──ここは嫌い、と貴女がそっと、呟いた。
初めて俺が耳にした、貴女の負の感情。
『プリズムの向こう、貴女は叫ぶ』
初対面時の衝撃たるや、未だ鮮明に記憶してる。
目の覚めるような、なんてありきたりの言葉じゃ表現できないくらいの美貌を備えたレディ。
(何せ、この俺を含めて全員揃って、活動停止してたもんなー……)
星の色をした淡い金髪も、紫水晶を嵌め込んだような瞳も、淡雪のような肌も。
全てが奇跡のように調和し合って、誰もが認める芸術品を作り出していた。
確かに元の世界でも、色んなレディとお知り合いになって、中には美人だってたくさんいたけれど。
今目の前にいるこの存在は、正に神様の気紛れ?とでも思わずにいられない程。
──まあ言うなれば、彼女のあまりの美しさに見惚れ、俺たちは全員すっかり硬直していた訳で。
「……あ、の……?」
彼女は桜色の唇を僅かに動かし、小声で漏らすと眉を潜め、周囲を不安げに見回した。
俺はその様子で我に返り、慌てて歩を進めると、彼女の白く細い手をそうっと取った。
心の中で、こんな可憐なレディを不安にさせた自分の至らなさを、内省しながら。
「初めまして、麗しいレディ。お会いできて光栄の至り」
「……あなたは?」
外見そのままに綺麗な声と、真摯に見つめてくる澄んだ瞳。
首を傾げる幼い少女のような仕草が、また愛らしい。
「おっと、失礼。俺の名はジタン=トライバル、お見知り置きを」
「ジタン、ね。私はティナ、ティナ=ブランフォード」
「ティナちゃん、か。名前も可愛いね、よく似合ってる」
笑顔でそう話してみると、彼女は目をぱちりと瞬かせてから驚くような言葉を告げた。
「初めてだわ、名前を褒めてもらうなんて」
「え、本当?」
その言葉が意外過ぎて、思わず声を上げてしまう俺に、彼女はまるで動じずに頷いて。
「ええ。私、人から褒めてもらった事なんて、ほとんど経験していないもの」
首を傾げるだけで、深く考えようともしなかった、彼女の特異な境遇を知ったのは、もっと後の事。
全員で訪れた奇怪な建造物を手分けして探索してた時、ふらりと1人で奥へ進んでいた背中。
俺は周囲を見回して、いつも彼女の傍にいる自称騎士のガキがいない事に舌打ちしつつ、その背を追う。
「レディ、単独行動ってのはナシだよ」
「……ジタン?」
俺の声に振り返る彼女は目を丸くするけど、その表情がやけに強張って見えるのが気になって。
「さあ、お手を。いつもの騎士じゃないけれど、たまには俺とご一緒してもらえますか?」
笑顔でそう言って手を差し出すと、ティナはゆっくりと表情を和らげ頷いてくれて。
続いて自然に差し出してくれた手をやんわりと握り、俺はティナと奥へ進む。
(敵の気配はナシ、と。それにしても、嫌な感じの場所だよな)
周囲を見回しながら歩いてると、不意に隣のティナの足が止まって、近くのガラスのような壁にそうっと触れた。
「きらい」
「え?」
「ここは嫌いなの。昔から、ずっと」
普段から色白の肌が紙より更に白くなって、眉間には厳しく皺を寄せて。
ガラスに触れたまま、ぎゅっと握った拳が微かに震えているのが、見て取れる。
感情表現に乏しく、しかも敵に対して恐怖や不安を口にする事はあっても、憎しみを持っていないような彼女が。
あからさまな『嫌悪』の感情を表すのは、珍しい事で。
かけるべき言葉を見つける事ができなかった俺は、繋いだ手にそっと力を込めた。
「ジタン?」
俺の行動に気付いてくれた彼女へ、優しく話しかける。
「そんなに力を入れちゃ、綺麗な手に爪で傷をつけちゃうぜ?レディの美しい手は、大事にしないと」
怪訝そうな表情の彼女に笑顔で語りかけると、震える拳からゆっくり力が抜けて、彼女は微笑んだ。
「ありがとう、ジタン。あなたの手、温かいわ」
「皆のように上手く話すことは、苦手なの。自分自身の記憶じゃないから」
淡々とした口調で、他人事であるかのように彼女が語る、彼女自身の過去。
人ではない生命体の父と、人の母との間に生を受けた、この世にたったひとりの存在。
まだ乳飲み子のうちに両親と離され、その『力』だけのために、実験体として生かされた日々。
あるのは日常の営みではなく、様々な忌まわしい実験や、戦場での破壊と殺戮の記憶の断片。
突然自我を取り戻したところで、幼い頃から封じられた心は、未発達のまま取り残されていて。
本来ならば庇護されるべき立場であったかもしれないのに、結局は戦渦に巻き込まれた。
「だから、皆のように強くない。『心』がいつも、揺れてしまうのだと思う」
微笑むその笑顔は、どうしてあまりにも綺麗で、あまりにも悲しく。
「ねえ、ジタン。あのね、あなた、私の名前を褒めてくれたでしょう?」
「え?」
唐突に彼女が放った言葉に俺は当惑してしまうが、彼女は構わず話を続ける。
「私の名前ね、お父さんとお母さんがつけてくれたものなの」
「ティナ」
「記憶はほとんど残っていない、でも確かに2人が私に与えてくれたものは、残ったわ」
「……」
透き通るように美しく、それでいて悲しい笑みを絶やさぬまま。
「あなたに感謝しているの。私が持っている大切なもの、思い出させてくれたから」
ティナはゆっくりと周囲を見回して、もう一度。
「やっぱり私、ここは嫌い」
お父さんと別れた場所にそっくりなの、と言って、やっぱり笑った。
*
本当は、全てを恨み、泣き叫んでいるかもしれないのに。
精巧なプリズムの仮面、その向こう側。
閉ざされた、彼女の心は、見えない。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。