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無謀かつ長い道のりでございましたが、幸いにもお客様たちからとても良い反応をいただけました。
丁寧なコメントまでお送りくださった方もいらして、本当にありがとうございました。
夢想な彼に関しては、さんざん考えました結果…あれ?という出来に(汗)
今回は、影の部分は全く登場しておりませんので、ご了承くださいませ。
何せ現代パラレルですから(苦笑)
捏造設定の嵐なのは、通常の仕様です。
本作品は現代パラレル設定となっております。苦手なお客様は、閲覧をご遠慮ください。
毎週火曜日、午後3時。
今日も扉が開く時刻。
『常連さんとわたし。』
兄の経営するケーキショップの、毎週決まった時間に来てくれる常連さん。
その時間は偶然にも、私が販売員としてお店に立っている時間だから。
気さくな彼に声をかけられ、会話をするのが習慣づいていた。
「いらっしゃいませ」
「あ、ティナ!ちわっス!」
かららん、と耳馴染み良い音を立てて開く扉に、声をかけると。
元気そのものの声と一緒に、私にかけられる明るい声。
「いらっしゃいませ、ティーダ。今日は何にしましょうか?」
私も務めてにこやかに返すと、彼は笑顔のままでカウンターへとやって来た。
見るからに楽しげな様子でショーケースを覗き込むと、早速歓声を上げる。
「そうっスねー……うわ、これ新作?美味そうっスよ」
「うふふ、さすが見つけるのが早いわね。夏も近いから、柑橘系のケーキを増やしたのよ」
「去年食ったオレンジのムース、俺超好きっスよ!もう少しで出るかな?」
目をきらきらと輝かせ、うちのケーキの魅力を語ってくれるのが、嬉しいと思う。
そんな彼、ティーダは世間様にも名の通ったアスリート。
お父さんのジェクトさんと並んで、総合格闘技界で活躍してる。
見るからにパワーファイターのお父さんと違い、彼はスピードを生かしフットワークで相手を翻弄する戦法。
その異なるファイトスタイルや、人好きのする笑顔が人気を呼んで、彼の出場する大会はどこも超満員。
「一度観においでよ!」と声をかけて貰えるのは有難いけれど、生憎と人の多い場所が苦手な私。
いつも「人酔いしてしまうので、ごめんなさい」とお断りし、専らテレビで観戦させて貰っているのだ。
そんな彼が、たまたま昨年の春に開店間もなかったうちの店に立ち寄ったのが、知り合ったきっかけ。
──その時彼はお父さんと、それからチーフトレーナーのアーロンさんと、3人で来店して。
唐突に「超美味そう!」と大騒ぎを始め、更には常識外れのオーダー。
「すまんが、棚の商品全種類をひとつずつ、あの2人にイートインで。俺はコーヒーを。あいつらは水でいい」
え、全種類!?と思わず心の中で聞き返したけれど。
それでも私は全種類のケーキを、大きなホールケーキ用のトレイに乗せ。
イートイン用のドリンクスペースで、コーヒーとお水の準備をした。
コーヒーの横に申し訳程度のクッキーを添えて立ち去ると、イートインから今度は歓声。
「うっめー!やっぱ俺の勘は間違いなかったっスよ、ここのケーキ超うめーっス!」
「だから騒ぐなっつーの、お前は!……しかしよ、真面目にこのケーキは美味いなあ」
「お前ら……静かに味わって食えないのか……」
物凄い勢いでケーキをかっ込む男性二人の横で、静かにコーヒーを嗜む男性。
あの後、お三方とは思えない金額のお支払を現金で済ませて行ったアーロンさんが。
「ありがとう、コーヒーもいい味だった。また来ても構わんか?」
存外優しく言ってくれたので、私もつい嬉しくなって。
「是非いらして下さい!まだまだ開店間もないので、お客様は大歓迎なんです」
笑顔で答えたのが、どんな印象を与えたのか。
程なく主にアーロンさんが1人で来店し、時にはジェクトさんやティーダも1人で来店して。
テイクアウトを大量に、注文するようになっていた。
どんな職業に就いている方なんだろう、と疑問を感じ始めていた頃。
私や兄が正解を知ったのは、某テレビ局の取材というものが、初めてお店に来る事になった日。
「最近人気急上昇中のティーダさんが、お気に入りのスイーツだと聞いたんですよ!是非放映させて下さい」
熱っぽい調子で訴えかけてくるスタッ不さんに、私も兄・フリオニールもひたすら当惑するばかりで。
「……あの、ティーダさん、ってどなたですか?」
兄の質問に対して、相手は大層驚いた様子で。
「この方ですよ!」
「「……あ!」」
総合格闘技の雑誌の表紙を飾っていた彼を見せてくれて、初めてその正体を知ったのだ。
結果として、テレビ出演がやたらと評判を呼んでしまい、うちのお店はその後驚く程に繁盛して。
今ではデパートからの出店依頼を受けるまでになっているのは、本当のお話。
正直なところ、私がカウンターに立たなくても、店員さんは他にもいるのだけれど。
(私がティーダとお話できるのは、この時間だけなんだもの)
心の中に秘めた思いを隠しつつ、火曜の午後は大抵お店を手伝っている。
「じゃあさティナ、今日はこの新作と、あとプリンも!それからアイスティーね。んで、イートインっス」
「かしこまりました。ではあちらでお待ち下さいね」
弾んだ声で彼がオーダーを告げるのに、負けないぐらい弾んだ声で答えて。
私は、アイスティーの準備を始めた。
(また大声で「美味い」って言ってくれるのかしら?)
彼が満面の笑みで、兄のケーキを食べてくれるのが嬉しい。
それから、私が淹れたお茶を飲んでくれるのも嬉しい。
ティーダに会えると、元気をたくさん貰える気がして私も元気になれるから。
やっぱり来週も、私はお店のカウンターに入る。
*
──本当は、ティーダがわざわざ私がいそうな日を狙って来ていた、とか。
体調管理を厳しくしている中、うちのケーキを食べるためにカロリーコントロールまでしてくれてた、とか。
そんな事実を、私が知るのは、もっともっと先のお話。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。