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やはりイベントは若人のものですね(オイ)
さて本日は6月7日、管理人の本命的カップリングである兵士と少女です。
扱いの贔屓っぷりは他の追随を許さない、ということで、どこぞの少女漫画にも劣らぬご都合主義展開というのはご容赦を。
本作品は現代パラレル設定です。嫌悪感を抱かれる場合は、閲覧をご遠慮願います
人気ロックバンド「J-E-N-O-V-A」。
彼らの存在ぐらいなら、私も知ってはいたけれど。
『ベーシストとわたし。』
友人のティファが熱狂的なファンという事で、無理矢理連れて来られたライブ。
焦りつつ開演を迎えた彼らのステージに、気がつけば釘付けだった。
カリスマ的な存在感のボーカリスト、セフィロス。
軽妙なトークが得意な、ギタリストのザックス。
ザックスとの掛け合いで観客席を沸かせる、パーカッションのレノ。
そして、寡黙なベーシストのクラウド。
揃いも揃った美形のバンド、しかも彼らの曲はとても綺麗で、歌も上手。
ハードな曲だけではなく、心に沁みるようなバラードまで、驚く程のレパートリー。
いつの間にか身を入れて聴き入り、アンコールまで、夢のようなひと時を過ごした。
『……ああ、本当に最高だったわぁ!じゃ、ティナ、またね』
「ええ、ティファ、おやすみなさい」
ティファと別れて帰宅した後、携帯で少しだけ話していたけれど、明日が早いという彼女は就寝。
私はヘッドフォンを耳へ装着して、さっきダウンロードしたばかりの曲を聴く。
流れるメロディーは、ライブで特に心に残ったバラードで、ベーシストのクラウドが作詞作曲したというもの。
瞳を閉じて耳を澄ますと、思い出すのは幼い日の記憶。
(……不思議ね。いつもなら、こんなに鮮明に、思い出す事ないのにね)
もう顔もほとんど思い出せないけれど、優しかった亡き母親が歌ってくれた子守唄。
病気がちで床に伏している事が多かった母の、淡い笑顔とか、白くて細い手と指とか。
驚くぐらい鮮やかに、蘇ってきた大切なものたち。
彼が持っていた言葉や音が、私にこんな素敵な贈り物をしてくれたんだ、なんて。
勝手な思い込みなのは重々承知だったけれど、心の中で感謝の言葉を繰り返した。
──ありがとう。
*
いつものように、仕事へ行く準備は万端整って。
「お父さん、お母さん、行ってきます」
海外に単身赴任中の父と、亡き母が笑顔で並ぶ写真に挨拶して。
マンション玄関を出た時に、気付いた変化。
(……お引越し?誰かしら。やっぱりうちのお隣、だよね)
大きなトラックに、『フェンリル運送』の文字が眩しい。
そういえば、お隣の格闘家さんが先月お引越しして行ったよね、なんて思い出す。
駅から近くセキュリティも万全のうちのマンション、新たに入居する人には所謂有名人も多いけれど。
正直なところ、喧騒が苦手な自分としては普通の方がいいな、何て勝手な望みを抱きつつ出勤。
──そして夕刻、身体を引き摺るように帰宅。
(はぁ、足がパンパン)
料理教室のアシスタント業っていうのも、思った以上に立ち仕事で結構大変。
でも先生のお仕事をサポートできるのは楽しいし、何よりお料理は大好きだから、毎日充実してる。
(さてと、明日はお休みだから、今日は少しだけお料理頑張っちゃおうかな?)
撮影用の料理に使った高級食材の残り物を、多数お裾分けしてもらえたので、実はかなり気分がいい。
管理人さんに笑顔で挨拶してから、エレベーターに乗り込んで、自分の部屋の前に辿り着いた。
すると。
「あの」
「はい?……!」
小声で呼び止められて振り返った私は、目の前の光景が信じられなかった。
私の目の前にいたのは、数日前に観客席から見上げたスクリーンの中、ベースを弾き続けていた人で。
「……その、ここの部屋の人、か?」
「え、あ、はい、そうです。あの、あなたは」
頭の中では『クラウド=ストライフ』ってわかりきってるのに、口から飛び出した言葉はやけに詰まってて。
相手もどこか困ったように頭を掻きつつ、ぼそぼそと話す。
「俺はその、隣に越して来た者で。一応挨拶を、と」
「……まあ!そうですか、すみません、私ったら。あの、ティナ=ブランフォードです」
私は必死に早口で自己紹介し、ぺこりと頭を下げる。
「ティナさん、か。俺はクラウド=ストライフ。その、よろしくお願いします」
向かいの人も慌てて頭を下げたのがわかって、少しだけ緊張が解けた。
「ふふ、クラウドさん、私よりも年上でしょう?丁寧語なんていらないですよ」
「え……あんた、俺の事知ってるのか?」
私の言葉に思い当たる節があったのか、彼の態度もやや変化して、私は頷き説明する。
「友達が大ファンで、先週のライブにも一緒に伺いました。お疲れ様でした」
「そう、か。ありがとう」
すると彼の態度は更に変化し、緊張が解けたのか、微かに笑みを浮かべて。
(……わ、あ!)
ティファに何度も言われるまでもなく、綺麗な人だと認識してはいたけれど、笑顔も綺麗だと再認識。
そんな事を考えながら、彼の顔をうっかり見つめていた。
「済まなかったな、家に入るところを呼び止めて。じゃ、俺はこれで」
「あ、はい」
クラウドさんはそう告げると、エレベーターへ向かうのか、こちらに背を向けて。
私はその背中を見送っていたけれど、手にしていた食材の事を思い出し、家へ入った。
(いけない、早くお料理してあげないと!せっかくの美味しい食材、駄目にしちゃう)
頭の中ではメニューをいろいろ算段しつつ、せっかくだからワインでも空けちゃおうか、なんて考えて。
せっかくの高級食材を一人で食べるのは勿体無い、と携帯を取り出してティファへメールを送る。
……ただし。
(ティファには悪いけど、きっと大騒ぎしちゃいそうだから……ごめんね)
クラウドさんが引っ越してきたのは、内緒にして。
*
その後、アーティストとして時間的に不規則な生活を送る彼と、私とが。
頻繁に顔を合わせる機会はそうなかったけれど、それでも会えば多少の会話は生まれるもので。
私はずっと伝えたかった言葉を、やっと言えた。
『素敵な曲を、ありがとうございました。』と。
彼は私の話を聞いて、とても穏やかに。
「そう感じてもらえたなら、俺も嬉しい。ありがとう、ティナ」
静かに呟いて、笑ってくれた。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。