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フラグクラッシャーな旅人の事ですから、こんな形もありなのかも、と思いまして。
自分に向けられる好意に対して、無頓着になってしまってるイメージがあります、彼。
ハッピーエンドじゃございませんので、苦手な方は閲覧をご遠慮願います。
大丈夫。
いつかまた、逢えるから。
それが貴方の、残酷な口癖。
『優しい嘘にくちづけを』
風が、吹いた。
悪戯なつむじ風のように、一瞬だけくるりと回り、去っていく。
まるで、あの人のように。
(……あなたは、元気?)
思い出すのはいつでもきらきら輝いて、希望を忘れない瞳。
辛さを知っているからこそ、嬉しさを見出そうとする。
悲しみを知っているからこそ、楽しみを伝えようとする。
そんな、瞳。
別れの時も、あなたはそうだった。
いつものように、笑って。
「大丈夫だって!いつかまた、逢えるから」
時代も場所も摂理も、恐らくは空間まで異なる世界の住人同士が。
出逢えるような偶然なんて、起こる事は、まずない。
そんな簡単過ぎる理屈を、知っているのに、あなたは言うから。
私も、信じてみたくなった。
「そうだね」
信じたふりをして、笑って見せた。
「私、大丈夫だよ」
みんなと、何よりあなたの心を知ってるから。
最後まで、頑張った。
笑って、元の世界へ、帰った。
(あれからもう、半年……だよ)
今はどうしているのか、なんて知る術もない、あなたへ。
私は心の中で、そっと語りかけてみる。
決して届かないとしても、どうしても、そうしたくて。
(ねえ、あなたは、元気?)
自分の想い十分の一ぐらいは、自分の事を想ってくれているのだろうか。
いいえ、百分の一ぐらいは。
……ひと欠片ぐらいは。
考え始めると、止まらない。
気紛れな風のように、近付いた途端に距離を離す、あなたの心は難しくて。
最後まで、私には理解できなかった。
そして、今も。
耳に蘇るのは、あの声とあの言葉。
『いつかまた逢える』なんていう、あまりに身勝手な口約束。
それでも、縋ってしまいたくなって。
(………バッツ)
風に向かって、手を伸ばした。
絡みつく風は、あの人のように私を包み込む。
半ば無意識に周囲を見回して、それから長い息を吐く。
姿が見えるわけ、ないのに。
幻よりも頼りない気配にすら、縋ってしまう自分がいて。
「嘘つき」
初めての、あなたの悪口。
「『いつか』って、いつなの?」
ほろり、唇から零れた言葉が、心にずしりと圧し掛かる。
こんなに逢いたいのに、逢えない。
逢いたくて、仕方ないのに。
「……バッツ……」
私の声が。
風に攫われて、流れて行った。
*
せめて、夢の中では私を呼んで。
届く筈がない声で、私の耳元を擽って。
優しくて残酷な幻へ、それでもキスを贈るから。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。