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拙宅にしては甘めかと。
調子が狂う。
勿論それは、決して嫌な類のものではないけれど。
あまりに無邪気な存在というのも、罪なのだと。
初めて、知った。
*
戦士と呼称するには憚られるような、その麗しい容姿。
だが、此度召還された他の仲間の誰もが持ち得ない、高い魔力。
更にはその特異な生い立ちに拠る、純粋で幼い精神。
俺を含め、誰もが守りたいと思ったであろうことは、必然。
本当に、無知で、無自覚なのだ。
あの少女は、自身が持つ魅力には。
(……調子が狂う)
呼吸でもするかのように浮遊の呪文を容易く唱え、自室へ去る小さな背を見送って。
大仰な溜息が、唇から漏れた。
つい先程の別れ際、頬に寄せられたのは、間違いなく少女の柔らかな唇で。
その意味を勘繰ってしまいたくなるけれど、無駄であろうとわかりきってしまう自分がいる。
何しろ彼女の心は、まだ発達中なのだ。
邪魔も入らぬような真夜中に、夜着のままで男と逢うことができたり。
誘われるままに男の膝に腰掛けて、抱き締められても緊張ひとつしなかったり。
腕の中で上目遣いに、見上げていたり。
彼女でなければ、誘っているのかと疑いたくもなるけれど。
ティナに限ってそんな事あるはずもない、と必死に己に言い聞かせ、自らを律した。
無垢な瞳が語るのは、俺を含めた仲間たち全員への深い信頼。
もしもその信頼を裏切るような行為をしてしまっては、彼女の心に大きな傷を残す事が明白で。
自他共に認める女好きのジタンを含め、全員積極的な態度を取れないのも、わかっている。
そう、彼女は幼い少女だから。
(しかし……あれは、辛いな)
寒いから、と口実をつけて抱き寄せた身体は華奢で柔らかく、吐息すら甘く。
白い肌には傷はおろか黒子ひとつなく、月光の下で星屑の髪はきらきらと輝いて。
幼くも深い慈愛の心を宿した瞳は、真っ直ぐに自分を見つめていた。
本当に、綺麗な女だと思う。
だからこそ。
己を律して身を離し、その眠りを妨げぬ道を選んだというのに。
「……ふっ」
零れるのは、自嘲めいた苦笑。
他愛もない幼子のキスのような、たった一度の口付けで。
これ程までに高揚し、止まらない心。
一応成人している筈だというのに、この始末か。
まだまだガキだな、俺も。
口元が緩むのを、抑えられない。
その真意など掴み取ることはできないけれど、最低でも彼女には嫌われていないのだろうと推測して。
不思議と胸に広がるのは、安堵。
そして、休息を求めた肉体が、欠伸をもよおさせる。
(眠るべきだな)
ゆっくりと自室へ引き返し、ベッドに潜って目を閉じる。
本来外にいて身体は冷えている筈なのに、不思議と温かさを感じて。
目が覚めた原因など、覚えてはいないが。
今宵は深く眠れそうだと、彼女の温もりの名残りを感じつつ、目を閉じた。
*
星の下にて、語らうのは。
皆に内緒の、秘密の集い。
俺と彼女だけの、時間。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。