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のばら氏が係わる創作の場合、無駄にお菓子とか入れてみたくなります(苦笑)
ほのぼのを目差してみました。
その努力だけは、是非わかっていただけると嬉しいです。
雨が止んだら、一緒に歩こう。
『なないろの約束』
しとしとと、絶え間なく大地を湿らせる雫たち。
窓越しにぼんやりと、灰色の空を眺める華奢な背。
「ティナ、お茶にしないか?」
俺の声に振り返る、菫色の瞳。
高く結われた淡い金髪が、彼女の動きに合わせ、星が瞬くかのように光る。
「フリオニール。お掃除、終わったの?」
「ああ。ティナも洗濯は終わったんだろう、お疲れ様」
手にしていたトレイ─お茶道具と菓子が準備済み─を示すと、彼女は微かに笑みを浮かべて頷いた。
朝食の準備中に片手間で作った焼き菓子でも、ティナはとても喜んでくれる。
どこの世界でも、女性は甘い物が好きだという事だろうか。
「マフィン、とっても美味しいわ、フリオニール」
今日も素直な賛辞を貰えて、嬉しくなる。
「ありがとう、口に合ったなら何よりだな。朝の残りのトマト入りなんだが」
「まあ、そうだったの?赤い果物だと思ってた、私。この生地の色もトマトなの?」
「それは摩り下ろした人参。ホラ、食べない奴がいるだろ?こうやって食べさせてるんだよ、内緒だけどな」
心持ち声を潜め、こっそり種明かしをしてみせると、彼女は目を瞬かせてから微笑する。
「わかったわ、あなたと私だけの秘密ね。うふふ、面白い」
輝く瞳は、好奇心溢れる幼女のそれによく似ていて。
脳裏を掠めたのは、共に育ち、故郷を出てからも共に戦った少女との記憶だった。
(……昔の、あいつのようだ)
妹のような存在としてあり続けた、長い髪の少女に一瞬思いを馳せた。
不意にティナが、声を上げる。
「見て、フリオニール」
「ん?」
白い指で示した窓の方を見ると、空にかかる鮮やかな橋。
「虹か。久し振りに見たな」
「私も久し振り。とても大きくて、綺麗だわ」
窓の外を眺めるティナの、瞳に宿るのは感激の色。
表情がやや硬い印象を受ける彼女が、その心を素直に映すレンズの役割を果たしているように思える。
素直な感動をもって虹を見つめる少女に、教えてみたくなったのは。
「ティナ、知ってるか?俺の世界の御伽噺には、虹の根元を探しに行く物語があったんだ」
試しにそう語ってみると、彼女はじいっとこちらを見つめた。
表情はさほど変化しないけれど、その瞳はとても鮮明な輝きを放っていて。
「初めて聞くわ、フリオニール。詳しく聞かせてくれる?」
「ああ、勿論さ」
俺はまた、幼い頃から家族同然に過ごした少女の面影を見て、微笑んだ。
*
虹の根元に埋まってる、宝物。
きっと今の君の瞳と同じぐらい、綺麗だろう。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。