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拍手コメント等拝読していて、たまに拙宅の旅人へお褒めのお言葉を頂戴できると、物凄く焦ります。
巷で20歳児とかいろいろ言われる彼の描写、今ひとつはっきり定まってないもので(汗)
今日久々にPS版「コレクション」の攻略本をぱらっと見てたら、天野氏版のイラスト発見。
此度の彼の服装のルーツ、そういやここだったんだよなあ、としみじみ眺めておりました。
今GBA版がレベル上げの途中だって事も思い出しました(爆)が、とりあえず保留で<何故
6 何も持たない手で何が出来る
彼はやっぱり、笑った。
*
歩きながら、自分の両手を、じっと見つめる。
他の皆に比べると、小さくて脆弱。
「ティーナ、何でそんな辛そうな顔してんだ?」
「あ……バッツ、ごめんなさい」
声をかけられて顔を上げると、隣を歩く楽しげな笑顔が私に向けられていて。
珍しくふたりで行動していた事を、一瞬でも忘れていた自分が、何だか申し訳ない心地になる。
「大した事じゃないの。少し、考えていただけ」
「ふぅん?」
首を傾げるバッツにここから去る気配はなく、話の続きを待っているかのように見えて。
私はしばし時間が空いてから、口を開く。
「もっと、強くなりたいの」
「え?」
「この世界では、魔導の力しか十分に使えない。皆より戦闘能力が著しく低いわけじゃないけど、もどかしいの」
腰に帯びた剣を見やって、溜息を零した。
その時。
「「!」」
同時に感じた強い気配に、私たちは身構える。
地面を蹴って浮上し、見つめた先には複数の悪しき気配。
「イミテーションが……10体かしら、多いわ」
「とりあえず、叩くべし!」
お互いに頷き合うと、バッツはスコールとクラウドの剣を構成して構え、走り出し。
私は浮遊しながら敵に近付くと、先制攻撃の呪文を放った。
「……ってぇ」
「大丈夫?すぐ治療するわ」
戦闘の結果は、私たちの圧勝。
ただイミテーションに攻撃を受けたバッツが、かなりの外傷を負ってしまい。
慌てて駆け寄りケアルガを施して、傷ついた部分のみを集中的に治療する。
「それにしても、ティナの魔法は大したもんだよな」
「そう?」
しみじみと頷くバッツの言葉の意味が理解できず、首を傾げると、彼は続けて話してくれた。
「だってケアルひとつ取っても、怪我の一点集中とか全体的に分散とか、コントロールバッチリじゃんか」
「……そう、かしら」
生まれつき魔導の力を持っていたために、呼吸と等しく力を操れていた自分にとっては、当たり前だった事。
改めて指摘された事に、少なからず自らの異端を思い知らされ、微かに痛みを覚えるけれど。
バッツのように、能力を賞賛してくれる事はほとんどなかったため、むしろ驚きの方が強い。
「この力、怖くないの?」
「へ、何で?」
私の言葉に首を傾げたバッツは、満面の笑みで答えてくれる。
「確かに魔法は、使いようによっては恐ろしい破壊の力を生み出すさ。敵さんにゃ、そういう奴が多いだろ」
「ええ……」
「でもティナや俺たちは、力を無闇に使わない事を知ってる。だから、大丈夫さ」
バッツは一呼吸置いてから、私の手を不意に取った。
「ティナの手はさ、凄い手だよ。何もできない手なんかじゃない」
彼の温かい手が、私の手を優しく握って。
「強い魔法も、癒しの力も、全部この手が生み出すんだ。本当に、凄い手なんだ」
*
彼の手の温もりが、嬉しかったから。
ほんの少しだけ、自分に自信を持っても、いいのかもしれない。
心が、温かい。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。