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1 荒城の惨禍
何も語らぬ、残骸を。
苦しい瞳で、彼は見ていた。
*
カオス軍の猛攻によって、見るも無残な姿となった、コスモス陣営の跡。
無言でそれを見つめ、彼は眉間に皺を寄せた。
その表情も姿も、とても声をかけられる雰囲気ではなく、一瞬迷ったけれど。
「………………あの、ウォーリア」
「ん?ああ、ティナ」
意を決して発した私のか細い声に、彼は即座に応えてくれた。
少しだけ場の緊張感が解けた事に安堵の息を吐いて、私は言葉を続けた。
「セシルがあなたを探していたわ。話がある、って」
「セシルが?わかった、すぐ行こう」
ウォーリアは軽く頷くと踵を返し、仲間たちが陣を張る場所へとまっすぐに歩みを進め。
私も小走りにその背を追いかけ、何とか隣へと並んだ。
ふと、ウォーリアの歩調がやや緩んだので、彼を見上げると。
「すまなかった、ティナ。君を待たずに歩き始めてしまっていたな」
「……いいえ、構わないわ。それよりも、早くセシルの元へ行ってあげて」
彼の丁寧な謝罪に驚きつつも、私がそう促すと、彼はしばし考え込んで。
「ではそうさせてもらうか。ティナ、ちょっと失礼するぞ」
「え、きゃ!?」
予告なしに私を両腕で抱え上げると、驚くぐらいのスピードで走り始めた。
全身を鎧で固めた重装備とは思えない程の速度は、私を抱き上げたままでも一向に衰えない。
私は突然の事態に目を白黒させていたが、漸く思考が正常に働き始めると、彼へ声をかけた。
「ウォーリア、私、怪我も何もしていないわ?自分で歩けるのよ」
すると彼は、走る体勢を崩さぬままに、私へちらりと流し目をくれて。
「君を単独で行動させるわけにはいかない。いつカオス軍の者に遭遇するか、わからないからな」
そう言うが早いか、更に速度をアップさせて。
間もなく、味方の陣営へと辿り着いた。
当然の如く、抱き上げられて戻って来た私を見咎め、ルーネスが声を上げ。
ウォーリアはその意味を理解しかねていたが、当然の反応だろうと思った。
*
どんなに厳しい場所においても、仲間の事を考える事ができる人。
だからこそ、彼は私たちのリーダー。
信じよう。
これからも、彼を、そして光の力を。
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二次創作歴はオンラインで10年程度。たまに好きジャンルのアンソロ本に寄稿させていただいてました。
此度はソフト未購入なのにムービーと素敵サイト様の作品によって墜落→6キャラ総愛され→本編6カップリングプラス、とブログがおかしな進化中。結局ハード込みでソフトお買い上げ(笑)自プレイはチュートリアルで既に断念気味。