◆２８ 心の青と真の赤（少女独白）

ご無沙汰しています、管理人です。
すっかり放置状態になってしまって、申し訳ありませんでした。
空飛ぶ青い何か。様から拝借した「空と青で33のお題」、ほぼ一年近く経ってしまっておりますが、一作アップです。
残りは何とか今年中に終わらせたいですねー。

お相手のイメージとしてはロックさんかクラウドさん。
青いカラーで連想できるふたりです。
ロックの場合は再会前、クラウドの場合は元の世界に戻ってから、という感じです。
…説明不足にも程がありますが、ご容赦を。

２８　心の青と真の赤

空が好き。
青い空が、綺麗で、好き。

青は貴方を思い出すから、だから、好き。

（……そう。青は、貴方の、色）

私の心の中で、ずっとずっと。
貴方を想う度に、鮮やかに蘇る、いろ。

 

「あの青を、守るから」

 

今ここにはいない貴方へ、誓うように紡ぐ言葉。
勿論貴方も、他の誰も聞きとがめてはいないけれど。
聞いて欲しかったわけじゃないから、構わない。

私の、誓いだから。

「……」

唇をぎゅっと結び、睨みつける前方に、立ち塞がるものたち。

全て、止めてみせる。
それだけが、私が貴方へしてあげられる、たったひとつ。

「……はああああっ！」

渾身の魔法を、四方八方へ放ち。
己の力を刃と変える、得物を振り上げ。
私は、雄たけびをあげた。

　　　＊

守って、みせる。
この手を真紅に染め上げてでも、貴方がいる、この世界を。

貴方が青いまま、笑えるように。
私は、赤く、染まる。

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◆２６ 雨も無いのに青傘

ご無沙汰してます管理人（今月初老突入）です。
先週人間ドックとか初受診してみましたら、ちょっとばかし要精検（爆）。
月末行って参ります。

そんな感じの日常ですが（オイ）、空飛ぶ青い何か。様から拝借した「空と青で33のお題」、久々に一作を。
このタイトルから浮かんだ曲が『ＣＯＬＯＲＳ』のワンフレーズでしたので、こういった小噺になりました。
所謂カップリング要素皆無の、ちょっとした小噺です。

とりあえず、不調の原因がとっととはっきりしてくれる事を願っています。

２６　雨も無いのに青傘

黄昏た空に、青はないから。
青い傘を差すの、と、あの子が笑う。

　　　＊

「リルム」
「ん？あ、ティナ」
私を認めてにっこり笑ってくれる笑顔は、年齢相応の少女のそれなのだけれど。
年齢は幼くとも、特技の絵にすら魔導の力を込める、他に類のない才の持ち主。
日頃からスケッチブックを携え、目に留まるものを描いている事が多い、その子が。
手にしていたのは、青い傘。

ちなみに今日は、雨など降ってはいない。
「どうしたの、一体」
「あ、これ？」
私の発した疑問の意図をすぐに理解して、リルムは胸を張り。
「空を思い出してるんだ」
「空？」
自慢げに発せられた言葉に、また私は首を傾げた。

リルムは歌うように、続きを話す。
「世界が壊れちゃった日から、青空が見えなくなっちゃったでしょ？」
「……ええ」
悲しげに紡がれた言葉に頷いて、見上げる真上。
黄昏の色がどこまでも広がる、世界の終わりを示すかのような空。
「たまーにね、寂しくなるんだよ。どこまでも真っ青な、空が恋しくなるんだ」
だからね、と少女は。
「傘を差すと、自分の真上だけでも、青空が広がるでしょ。そしたらまた、頑張れるんだ」
これ他の人には内緒ね、と年相応の笑顔に戻って、言った。

 

「……リルム」
私はそっと、ふわふわした金の髪を撫でる。
「きっと、取り戻そうね。青い空」
「ティナ」
「青空を取り戻したら、思い切り空の下を、走り回りましょう」
みんなで一緒に、ね、と。
そう言い添えたら、リルムは悪戯っぽい表情で。
「きっとうちのじじいは、腰が痛いって文句言うよ。だから、木陰で待っててもらう！」
だから他のみんなでやろうね、絶対ね！と。
それは楽しそうに、また、笑った。

　　　＊

青空を願って、青い傘を差す。
それが、彼女の大事な儀式。

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◆２４ 未だに根を張る青い山脈

新年度も始まって既に桜前線も東北へ到着ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
積雪未だに５０㎝を記録している北の地から、管理人ですこんにちは。
超だらだら運営サイトとなっておりますが、ご訪問して下さるお客様、いつもありがとうございます。
拍手コメントまでいただけて、本当に管理人は幸せ者でございますね…！
せめてもっと精進せねば。

で、超久々に空飛ぶ青い何か。様から拝借した「空と青で33のお題」を更新。
素敵お題をなぜこんな曖昧な小噺へしてしまったのか…今日がアースデーと知ったのが一因です。
地球の環境について考えるための日、なんですけれど。
アースから大地へ、大地っつったら崩壊後の世界を思うティナでしょう！となってしまった残念な思考回路の持ち主がおりましたよ、ここに。
で、相手特定させてはおりませんが、まあ男性ですね。
口調がアレなんで、限定されるとは思いますが、ご容赦願います。

２４　未だに根を張る青い山脈

緩やかに、終わろうとする世界。
それでもあの場所は、守りたくて。

 

　　　＊

 

飛空艇の甲板で、目を閉じて感じる。

生命の息吹を感じさせない、乾いた風。
どこまでも荒涼とした空気の、静寂なる大地。
死んでいく世界を、包むのは黄昏。

それでもまだ、人は希望を抱き。
心の中に残るかつての麗しい世界を、願う。
青空と太陽が輝く草原を、青く連なる山々を、心に夢見て生きている。

はるか彼方にそびえ立つ、瓦礫の塔を見据える。
思い出すのは、強過ぎる力をその身に受け、心を壊された哀れな人。
どこまでも歪んだ、破壊への憧憬で瞳を輝かせて踊る、悲しい道化。

（きっと、止めて見せるから）

悲しい男の哄笑が、一瞬だけ聞こえた気がした。

 

「何を見てるんだ？」
舵を取る仲間が、尋ねてきたから。
「塔を見てるわ」
静かに答え、指を指す。

「……あそこに、アイツがいるんだな」
「ええ」
「なあ、ティナ。俺たちは、勝てると思うか？」

え、と思わず声を上げそうになる。
いつも仲間を鼓舞するような、強い目をした人が。
不安げに揺らす瞳に、私を映して。
切羽詰まった表情と声とが、彼の迷い。

私の心は、決まっていたから。
「決めているの」
素直に思ったままを、口にする。

「この戦いを必ず終わらせるって。みんなの未来を、守るって」
「未来……」
「ええ」
彼の声に私は頷き、繰り返した。

「必ずこの戦いを、終わらせる」

 

　　　＊

 

私は、勝ちたいわけではない。
終わらせたいから、戦うだけ。
世界の滅びを、止めたいだけ。

心の中の山脈を、再び取り戻すため。

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◆２２ 深く沈んだ青に溶け

こんばんは、ハロウィーン何それ美味しいの、とＦＦでの創作をスルーした管理人です。
懲りずに続けさせていただいている、空飛ぶ青い何か。様から拝借した「空と青で33のお題」、22題め。

 前作「真っ赤に染まった空化粧」 の続きということで、カテゴリー決めにちょっと迷ったのですが。
ＣＰ要素がほとんどないので一般的創作の扱いに。
正直、このシーンも今まで何度か書いてますが、書く度に思い入れが深くなります。
要は私が、思いっきりⅥ好きだということなのでしょう（苦笑）。
携帯機でそのまんま移植してくれないかしら。ＧＢＡでなくて。

２２　深く沈んだ青に溶け

わたしが、ゆっくり、きえてゆく。

　　　＊

最期の時。
最期の、力。
仲間を助けるために、飛ぶ。

戻れ、と声を限りに叫ぶ、仲間たち。

ありがとう。
でもね、もう、だめなの。
わたしのかたちも、ちからも、こころも。
ぜんぶぜんぶ、なくなるから。

さいごは、みんなのために、つかわせて。

黄昏が消えて、戻った空の青。
私が一番大好きな、ひとの色。
この青に溶けて、消えていけるならば。
血に染まった自分でも、きっと。
少しだけ、綺麗なきもちで、眠りにつけるかもしれない。

ありがとう、あおいそら。
ありがとう、みんな。
ありがとう。
だいすきな、あなた。

　　　＊

青に、溶けていけたなら。
私は空に、なれるかしら。

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◆深緑の青紫（少女独白）

空飛ぶ青い何か。様から拝借した「空と青で33のお題」、12作目でございます。

神秘的なものをイメージしたタイトルから、何故こんな駄文となったのか。
書いた自分がわかりませぬ（涙）

１２　深緑の青紫

ふかく、あおく。

　　　＊

綺麗だけれど、悲しい。
それが、魔石。

幻獣の力のかたち。
そして、死を迎える幻獣が、屍骸も残さず消えていくかわりの、かたち。
三闘神が分け与えた力だけが、最期に残るというのなら。
彼らは何もない、生命体なのだろうか。
……その血を受け継ぐ、私、も。

（ねえ、おとうさん。おしえて……）

触れると仄かに温かみのある、父の魔石。
かつて私が、幻獣の力を急激に覚醒させて、精神が不安定になったとき。
在りし日の記憶を伝えてくれたのは、父だった。

今は沈黙を保ち、何も語っては、くれないけれど。
それでも私は、問いかける。

少しでも、ぬくもりを感じたくて。

　　　＊

ふかく、ふかく。
あおく、あおく。

石は綺麗に輝くけれど。

わたしの答えは、見つからない。

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